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「リスペクト」に思う

 いつ頃からだっただろうか。「リスペクト」する、という言葉を聞くようになった。「尊敬する」だと固いように感じられるし、尊敬と言いたいのだけど、カタカナを使う方が言いやすいのか格好いいと思うのか、使い出したのではないだろうか、と私なりに考えている。
 私の周りでは、その言葉を使う人がいなかったので生活の中では聞く事がなかった。私より若い世代は使っていたのかもしれないが、友人や同僚、家族と話していて「リスペクトする」が出てきたことはなかった。テレビや雑誌などのインタビュー記事で、その言葉はよく見聞きした。
 初めて聞いた時は違和感を感じたが、そういう言い方が、いいように聞こえるのなと思っていた。話し方にもよるけど、リスペクトになると、日本語の尊敬とは違う意味にとらえられる気持ちもある。尊敬するわ〜、と軽い調子で言うことはあるが、その使い方に近いものがあるのではないかと思う。「すごい」とか「好き」という意味も含んでいるようにも思う。
 私のお気に入り、いわゆる「推し」が、この言葉をよく使う。ある人をリスペクトしていると話しているのを知る。すると、この人のことをどのくらい詳しく知っていたのだろうと考えたりする。言葉には、その中でも度合いがあるけど、その一言では分かりにくいものもある。
 この言葉を使うのに、便利な部分もあるのだなと最近気づいたことがあった。ある人が、異性に対してリスペクトを使う時だ。この人を気に入っている、好きだ、すごいと思う。ひっくるめて一語で完結させる。好きだと言うと、それが有名人同士だと噂になる。なので、リスペクトは使いやすいのではないか。
 この言葉、私の周りでは聞かないけれど、日常語のように使われているのだろうか?若い人の言葉と思っているけど、年齢関係なく使われるだろうか。気兼ねなく使えるのは、言葉に対して柔軟に向き合えるのだろう。違和感を感じる私は、それだけ頭がかたいのだろう。言葉というのは時と共に人と一緒に形を変えていくと分かってはいるのに、ふと疑問に思う言葉もある。


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