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★フォロワー300人到達記念作品★ 300文字ショートショート『虚構の船』

それは突然の事だった。

地元民は勿論、造船所の従業員でさえ知らされていない。

造船所岸壁より約300メートル先、回遊する青物を狙う海鳥達もびくりと一斉に舞い上がった。

次の瞬間「海が割れる」と表現するには荒々しく、対岸に向かって巨大な一筋の滝の道が出来た。

そこから姿を現した船は、何ともメカメカしいSF映画などで見る宇宙船のようだった。

この船が、いつ何処で、何の為に、建造されたのかは謎である。

確かに考えてみると、福岡ドーム12個分もあるこの造船所構内で、一つ一つ何処で何を造っているなど、いちいち誰も知らない。

そして、勢いよく飛び出した船の側面にはこう書かれていた。

『日本の最西端から宇宙の物流を支える』



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