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ポッポを食べるためだけにわざわざ国領まで

地元のイトーヨーカドーには、ポッポが入っていた。
今はもうなくなってしまったらしい(店舗が縮小傾向にあるらしくてちょっと悲しい)。

小さい頃に家族で行ったり、小中高の友だちともサッカーの練習の帰りなどによく寄った。
ラーメンやお好み焼き、たこ焼きなどをお手軽な価格で食べられる。庶民的な味で美味しい。
ファストフードチェーン、ファミレスチェーン、個人店など選択肢はたくさんあるが、その中でも無性にポッポを選びたくなる時がある。
不思議な魅力の持ち主である。

何より僕が好きだったのは、山盛りフライドポテトだ。
ポッポに限らず、僕はフライドポテトに目がない。
山盛りポテトだけを買って、イトーヨーカドーの屋上でムシャムシャ食った記憶がある。

そんなポッポの記憶を思い出したのは、僕が仙川に住んでいた時のこと。
奥さんも同じようにポッポラバーだったらしく、調べてみると一番近い場所が国領だった。
電車で数駅ではあるものの、国領で他に用事を作れそうな場所はなかったので少し迷ったけれど、ポッポが食べたい気持ちは止めることができなかった。
むしろ数駅で行けるなんて、ラッキーじゃないかと思い始めた。

とても暑い夏の日だった。
国領駅に着いてから、一目散にイトーヨーカドーに向かった。
住みやすそうな落ち着いた街ではあったものの、やはりポッポ以外に用はない。
そこそこ歩いてイトーヨーカドーに着くや否や、ポッポに直進した。

ラーメン、チャーハン、そして山盛りポテトを注文して、奥さんと二人でがっついた。
イトーヨカドーの中は涼しかったけれど、ラーメンを食べていたら汗が噴き出た。
汗まみれで食べる久しぶりのポッポは、やはり美味しかった。
思い出補正なんかではなかった。
うまい。

ポッポを食べた後、床に敷く細長いクッションを買った。
そのクッションは今も変わらず使っていて、それを見るとたまにポッポを食べるためだけにわざわざ国領まで行った時のことを思い出す。

先日、大学時代の友人に会いに南大沢まで行った。
南大沢には、ポッポがある。
再会した友人とちょっと時間を潰すことになったとき、僕は「ポッポに行こうぜ」と提案した。
山盛りポテトが食べたかった。

行ってみると、生憎ポッポは満席だった。
今や店舗数が減って貴重な存在になったポッポには、多くの人が殺到しているのだろう。
山盛りポテトは飛ぶように売れている。

今住んでいる街には、ポッポがない。近くにもない。
南大沢は遠いし、人が殺到している。
いつかまた、ポッポのために国領を訪れないといけない日が来るのかもしれない。

Lucky / スーパーカー

<太・プロフィール> Twitterアカウント:@futoshi_oli
▽東京生まれ東京育ち。
▽小学校から高校まで公立育ち、サッカーをしながら平凡に過ごす。
▽文学好きの両親の影響で小説を読み漁り、大学時代はライブハウスや映画館で多くの時間を過ごす。
▽新卒で地方勤務、ベンチャー企業への転職失敗などを経て、会社員を続ける。
▽週末に横浜F・マリノスの試合を観に行くことが生きがい。

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