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P2yの終焉 その評価とVTuberの記録

先日、VTuberのニュースやゴシップを中心に掲載するウェブサイト・P2yがクラッキングの影響でサービスを終了した。このことについて短く書き残しておきたい。

そもそもP2yは実のところゲームについても伝えるサイトであったが、長期にわたってその主題の重きはVTuberにおかれてきた。

しかし、P2yは以前よりゴシップや飛ばし記事、偏向報道が多いと評判は悪く、業界内でも忌み嫌う者も多かった。確かに筆者もこれについては何度も思うところはあり、好きなVTuberについて誤った記事を何度か読んでいる。

しかし、P2yはそうしたゴシップや偏向報道が目立つ一方、事実として国内で唯一海外のVTuberニュース情報について定期的に伝えるサイトであったことについては一定程度筆者は評価している。
ただ内容の大幅な誤りがあることもあることから、その点については問題視しているが。

我々ライターが情報を追う事が出来るリソースは限られている。
これは人間であるから仕方がないことだ。

さらに、国外のVTuber情報を伝えたところで、おそらく国内のウェブメディアの閲覧者はさほどその情報を追い求めていない。

そうした背景から、筆者を含め国内のメディアは海外の情報を意欲的に求めることは少ない(筆者は求めているが収集するリソースが足りない)。

その中でP2yはある程度広く海外の情報を収集し、掲載していることについてはある程度リスペクトしている。特にあまり情報が集まりにくいWACTORについて定点的に報道していることはゴシップ性が高い話題とはいえ、少し見習うべきとも思っていた。

WACTORは、活動中のVTuberの本名を公式アカウントで勝手に公開するなど、個人情報を侵害する行為をはじめ、重篤な人権問題が多数発生している。
中にはミツルギリアほか所属タレントが自殺未遂にまで追い込まれる事象が発生しており、この重篤さが広く伝わっていないことは重く筆者も受け止めている。一刻も早く業界関係各社は取引を中止してほしいとも願っている。
そうした問題意識をp2yとは共有できていたように思っており、こうしたWACTORの定点報道がなくなることはゲートキーパーを失うことを意味し、そこだけは本当に惜しく思う。

このように一部分に限っては高く評価もしているが、繰り返すように、これまでP2yは繰り返して偏向報道を行ってきている。その責任は重く、様々なVTuberの活動にも影響をもたらしてきた。
今回、こうしたクラッキングはそうした応報として行われた可能性があるだろう。

今後、P2yは閉鎖後に新たなメディアを稼働する模様で、新たにそちらで更新する姿勢を示している。

筆者はこれまでも、これからも「VTuberを記録する」ことに重きを置いているため、そのポジションから言えることはP2yという例え評価が低いサイトでも、いち記録が消え、閲覧できなくなったことは惜しく思う。
あっていようが、誤っていようが記録が消えると、それを見ることは出来ず、何の参考にもできない。誤っている情報からも、公式のソースをたどることで事実に近づくことは出来る。
ゴシップを歴史に残すつもりはあまり筆者にはない。ただ、先出のWACTORに代表される事件性の高い案件は記録に残していくべきだと考えている。

かつて日本テレビグループのV-ClanがUp-Starionというウェブメディアを消したように、これから先ウェブメディアが消えていくこともあるだろう。

https://upstation-ntv.com/archive-original

VTuberは動画や配信を消し、VTuberを長年記録したメディアもまた消える。そう、VTuberが一切残らない時がやってくるかもしれない。筆者は『風とバーチャル』というVTuberの記録誌を編纂している。

VTuberも、メディアも消え、そして『VTuberスタイル』や私たちが書き記さなかったVTuberはおそらくこの先どこにも情報が残らないだろう。VTuberがただ消えていく存在にはなってほしくない。そう思う。


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