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御仏飯と馬と私

お盆の仏壇は賑やか 持ち寄られた菓子果物が精霊馬を喜ばす 仏教伝来当時の馬は 現代の姿より ずんぐりしていた… 古墳から出る形象埴輪の馬を見ればあきらかで 大陸北方の遊牧民が跨がる馬に近い 祭祀に欠かせない馬… 藤ノ木古墳の馬具は古代オリエントの意匠をやんわり伝える その古墳の主の父ともいわれる厩戸皇子は甲斐の烏駒で富士上空を駆けた… 檜隅大内陵には天皇として我が国で初めて火葬された持統が眠る 鸕野も讚良も馬に深い繋がりを持つ土地で持統の諱でも知られる 式年遷宮を初めて行った持統天皇   自然アマテラスと持統のイメージは重なる… 伊勢の神宮に縁ある御神酒は 白鷹 蔵元の辰馬氏が奉納した青銅の馬おはす西宮神社は商いの神 皆すぐ賽銭を投げにいくので 本殿脇の馬一対に目を向ける人は少ない  青銅と言えば 神社近くの辰馬考古資料館を思い出す… 野洲大岩山出土の銅鐸の肌は なめらか… 景初四年銘の盤龍鏡は彫り深く重厚な面持ち…… 供出を免れ伝わった金属は貴重そのもの 同館所蔵の鉄斎筆「阿倍仲麻呂望月屏風」は 重文指定のわりに あまり世に出ない 仲麻呂が日本へ帰ろうとする折りの宴を描いたもので  (蓬莱郷路は遠く 若木故園の隣 西を望み恩を懐かしむ日 東へ帰って義に感ずる辰  平生一宝剣  留め贈る交を結びし人に…) と辰馬氏を讃えるともとれるドラマチックな賛が添ふ 結局は難 続いて帰国叶わなかった仲麻呂 その寂寥を最小に表現したかったのか 人物は小さく描かれ 画面全体を 山景が占める構図がとられる 
命懸けの旅が当たり前だった時代を思うと お精霊さんに 早く来て ゆっくり帰ってなどと この世の都合を言いづらい… 仏の世界にラッシュがあるのか知らないが 向こうは向こうで結構大変そうな気がしないでもない… まぁ極楽に苦は無いかと かぶせて馬鹿馬鹿しい考えが走馬灯の如くめぐる…… 

箸さして立たせる お馬さんは
キュウリでなく丸々太ったニンジン…
牛さんはナスでなく 実  はち切れんばかりのトウモロコシ……
たまには それくらいの御馳走をしても罰は当たるまい 

いやはや仏様の乗り物にばかり気を取られて肝心の御仏飯を疎かにしてはならない 

今日は送り火 

いつもより少しいい お米で
おもてなししよう

日頃の感謝を込めて……

遠いところ
本当にお疲れ様でございました

また来年…………

合掌
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