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曜変天目は自分が美しいことを知っている

モノにも意思と意識がある。

私は一つの茶碗に在り方を学んだ。

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【大徳寺龍光院 国宝 曜変天目茶碗】

小学生のころ「茶道を習いたい」と母に突然いったらしい私は、今でも細々と茶道のお稽古に行っている。

その割には茶碗にそれほど詳しくはないが、全く知らない人よりは知っているはず。

曜変とはその柄のことをさし、天目とはその形をさす。

曜変天目は世界にたった3つしかない茶碗で、その全ては日本にある。

中国福建省で南宋時代に作られたものだが、曜変の柄ができたものは不吉とされ、割られてしまっていたらしい。

割られることなく何百年も前に日本にやってきた、3つの曜変天目茶碗は強運の持ち主であることは間違いない。

両手にすっぽりおさまるであろう小さい茶碗が

ただそこに置いてあるだけなのに、堂々とした姿に見えた。

ライトを浴びて輝く曜変が美しいことは私が言うまでもない。

「この茶碗は美しかったから、大切にされ愛されたのか……」

「いや、大切に愛されたから、美しいのだろう……」

「いやいや、自分は大切にされ愛される存在であると、本人がそう思ったからだろうな……」

これから先の時代も、人々を魅了し続けるであろう曜変天目茶碗。

私もそれを愛でた一人になれたのも、また光栄なこと。

名だたる武将たちに愛され、

何百年もの間、これでもかというほど大切にされ、

その時代の人たちを魅了し、愛され続けた小さい茶碗は、

『私は特別である』

そう本人がわかっていると確かに感じた。

モノにも自尊心がある。

『自分で自分の価値を認めること』

まず、それからスタートなんだ。

それは何百年も異国で生き残り続けている茶碗に教えてもらったこと。

その輝きを目に焼き付けようと、ゆっくりと目を瞑った。

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