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邦画三昧 -2020年5月17日


年間、けっこうな数の映画を観る。特に、引っ越した家の近くに小さな映画館を見つけてからは、頻繁に行くようになった。
上映中の映画を検索する瞬間も、始まる前に予告を観ている瞬間も、全部好きだ。
映画を観るってだけで全部わくわくする。
チケット代の1000円札が、魔法の切符に思える(大学生になったので、1000円ではもう観れないけど)。

そして私は、異様に邦画が好きだ。洋画はほとんど観ない。

理由は色々あるが、台詞を翻訳なしで、そのままのニュアンスで聴きたいというのが大きな理由だ。
俳優さんが発した言葉を、発したそのままの空気の震えで受け取りたいと思う。
翻訳や吹き替えは、俳優さんの口の動きに合わせる都合だったり、場面ごとの文字数の都合で
台詞が決まる。私は、映画になるたけ「都合」を感じたくない。
多分、英語が私の母国語だったら、同様の理由で洋画が好きだったんだろう。

で、今回はつらつらとお気に入りの邦画を紹介しようと思う。だいぶ前に観た映画もあるので、説明はあまり出来ないけれど。メモみたいなものです。

①リップヴァンウィンクルの花嫁(岩井俊二)

平凡な派遣教員が、恋人との結婚式を目前にトラブルに見舞われ、なぜかメイドとして働くことになる、というストーリー。
(初手でこの映画、出す?と思った邦画好きのあなたへ。私はあえて初手でこの映画を出します。好きなので…)

ちなみに、タイトルの「リップヴァンウィンクル」はアメリカの童話の主人公の名前。
主人公が酒に酔って寝ている間に、20年もの月日が経過し、世界は一変している…という物語である。「外国版浦島太郎」とも呼ばれているようだ。

黒木華とcoccoのシーンは、悲しくてとかじゃなく、純粋に「美しくて」涙が出た記憶がある。
あー、こんな私でもこの世界では許してもらえるんだな。となぜか思った。
映画の中の美しい俳優さんたちは、私の替わりに泣いてくれるようだった。
そして最後は猛烈なカタルシスを得た。

特別な映画。

②21世紀の女の子(山戸結希ほか)

15人の女性映画監督が、「自分自身のセクシャリティあるいはジェンダーが揺らいだ瞬間が写っていること」を条件に撮った短編映画集。

年齢も立場も夢も全然違う女の子たちが、21世紀に生きるという共通点を持ってスクリーンに登場します。
もちろん、これを撮っている監督も観客も同じように、21世期の女の子であることをお忘れなきように。それを意識しているとこの映画は単なるファンタジーではなく、もっとリアルな感触で迫ってくると思う。

③夢売るふたり(西川美和)

夫婦で借金返済のために結婚詐欺。阿部サダヲ×松たか子の夫婦、最高すぎ。

④ロボジー(矢口史靖)

コメディ。普段コメディなんか観ないのに、これだけはなんか好きで、たまに観てしまう。

⑤容疑者Xの献身(西谷弘)

初めて映画で泣いた気がする、という意味で入れた。

⑥花とアリス(岩井俊二)

まだ若い蒼井優さんが出ているということで…。

蒼井さんはバレエを習っているという設定で、バレエ教室の仲間と踊るシーンなどもある。ストーリーは恋の三角関係がメインだが、それ以外にも見所が多い映画。特に、映像として純粋に楽しめるシーンが多い。個人的に、家の内部のセットや、浜辺の演出が凝ってるなと思った。

⑦そして父になる(是枝裕和)

育ててきた息子は、実は血の繋がった息子では無かったとしたら…。というストーリー。

産まれた病院で、他の家の赤ちゃんと取り違えられていたが気づかずに育てていた、というのは実際にあった事件らしい。
そのまま育てるか、実の息子と早いうちに交換してそちらを育てるか。
家族の出した答えに至るまでの過程が、丁寧に描かれている。
重いテーマだが、気分が沈むような作品ではない。是枝監督作品は、テーマありきの映画ではない。映画としてのオチ、というよりは、これからも彼らの人生は続いていくのだ、という示唆的な終わり方をする。

是枝監督作品には他に「海街diary」「万引き家族」などがあります。どれも好き。ちなみに、気に入ったので初期の「空気人形」「歩いても歩いても」まで観ました。

⑧サヨナラcolor(竹中直人)

主人公の医者が働く海の近くの病院に、高校時代の初恋の相手が入院してくるストーリー。
古い映画だからかなのか分からないが、総天然色のような淡い色合いの映画。なんとなく味がある。
なぜか、この映画を見るたびにスピッツの「チェリー」のMVを思い出す。

海のシーンが多い。ラストが好き過ぎる余り、何回も観た。主題歌も映画で知ったのだが、
人生で一番好きな邦楽と言っても過言ではないくらい気に入っている。私の人生のエンドロールでは、この主題歌が流れて欲しい。

⑨以上です。また書くかも。

あくまで、オススメとは別に、個人的に好きだったり印象に残っている作品を紹介した。
面白そうだな、観ようかな、と思ってもらえたら嬉しいのだけど、あくまで自己責任で…。

【番外編】地獄でなぜ悪い(園子温)

入れるか悩んだので番外編。冒頭からブッ飛びすぎてて笑った。個人的に、恋ダンスで流行る前から星野源はこの映画のイメージしかなかった。
4時間くらいあるけれど、最後30分の怒涛の展開には頭を抱えてしまった。ネタバレはしないけど、あのシーン撮ってて役者さんとかスタッフは心を病まないのだろうか。あくまでコメディっぽくしてるから大丈夫なのか?と要らない心配をしてしまう。

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