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令和コソコソ噂話【心理編】~2022年7月版

最近読んで面白かった心理データをまとめておくコーナーです。

スポーツのイメトレって意味あるの?

「イメトレとセルフトークの組み合わせでパフォーマンスが向上する!」みたいな研究(R)が出ておりました。いずれもスポーツの世界では定番の手法ですけど、両方組み合わせることでより高い効果を得られるのでは?ってわけですね。

これはフランスのアンティル大学などの研究で、平均年齢15歳の若いテニスプレイヤー33人が対象。全員少なくとも8年間テニスを続けていて、地区や国内の大会に出場した経験がある人が選ばれたらしい。

で、実験では全員を以下の3グループに分けてトレーニングを行ってもらい、3か月後のサーブのパフォーマンスがどう変わったのかを分析したんだそう。

  1. イメトレ群(実際の動きを心の中でリハーサルする)

  2. イメトレ+セルフトーク(自分を鼓舞する言葉を自分自身に投げかける。「俺ならできる!」「次のポイントではいいプレーをするぞ!」みたいな感じ)

  3. 対照群(メンタル面でのトレーニングはなし)


その結果どんなことが分かったのかといいますと、

  • イメトレ群とイメトレ+セルフトーク群では、ファーストサーブの成功率とエキスパートが評価したエフィシェンシーの両方が向上していた。

  • 一方対照群ではパフォーマンスに変化は見られなかった

  • も高いパフォーマンスを発揮したのは、イメージとセルフトークを組み合わせた選手だった

  • ただし、サーブのスピードに関しては向上は確認されなかった(もっと長いトレーニング期間が必要?)

って感じだったそうです。イメトレだけでもパフォーマンスは上がるんだけど、自分自身に対して「自分はできるぞ!」って声をかけてあげるとより一層高いパフォーマンスにつながるわけですね。

研究チーム曰く、

イメージに関しては、自分がその動作に成功しているところを想像することが重要だろう。セルフトークに関しては、肯定的な言葉やフレーズを使うことが重要です。これらのテクニックは集中力を高め、モチベーションや感情を積極的、反応的に調整し、努力を持続させることができるため、プレーヤーが試合中に優位に立つのを助けてくれる。

これらのメンタルテクニックがもたらす有益な効果は、ラケットスポーツだけでなく、個人・団体を問わず、多くのスポーツに転用することができる。誰にでもできることなので、ぜひやってみてほしい。

ってことなんで、スポーツをやる際にはプレーがうまくいった状況を想像してみるのはありかもですね。


人のあくびに嫌悪感を覚えるのは何で?

「人のあくびを見るとヤな感じがするのはあくびが病気の兆候になっているからでは?」みたいなデータ(R)が出ておりました。

これまでは、あくびが「疲労」や「退屈」の証拠になることが原因で嫌悪感につながるって考えられることが多かったんですけど、あくびに嫌悪を感じるのは「病気を避けたい!」って本能に起因している可能性があるというんですな。たしかにそういわれるとあくびをしたときに口を隠すのは細菌やウイルスの拡散を抑えるしぐさに見えてくる気もします。

ってことで、研究チームは196人の大学生に様々なアンケートに回答してもらうように依頼。みんなには「間違って血の付いたガーゼに触れてしまった」みたいな、感染と関連しそうなシナリオをどう感じたのかを教えてもらい、さらにあくびやくしゃみ等に対する感じ方と比較したところ、結果はこんな感じになりました。

  • 咳やくしゃみはあくびよりも高いスティグマと関連していた(嫌悪感の高さ、人前で行うことに対する失礼さ、口を覆うことの重要性)。一方、あくびはしゃっくりよりも高いスティグマを持たれる傾向があった

  • また、細菌等の病原体に対する嫌悪感が高い人ほど、あくびや咳、くしゃみに対して強いスティグマを感じていた

  • Covid-19に対する恐怖は、あくびに対するスティグマをこれ以上高めることはなかった。(あくびに対するスティグマがパンデミックの時だけ現れるものではなく、「先祖代々のルーツ」に基づくものであると指摘されている)

まあ、当然のことながら、病気の感染を強く気にする人は単に息を吹きかけられるのが嫌であくびを避けるだけかもしれないし、現時点で「あくびは病気の手がかりになる!」って結論を出すのは尚早でしょう。口を隠すのも、「無礼な行為を働くつもりはないよ!」って意図を相手に伝える非言語的方法の一種かもしれないですしね。

とはいえ、ある種の神経疾患ではあくびの頻度が異常になったりするし、発熱があくびと関連するってことも確認されてることを踏まえると全くあり得ない話ってわけでもない気がしますね。(ちなみに発熱であくびが頻繁に出るようになるのは脳を冷やすためとか言われたりするけど、この説には異論も少なくない)


アントレプレナーシップと被害者意識

「どうやったらアントレプレナーシップを高められるのか?」ってのは近年高い注目を集めているテーマの一つ。現時点では、自己効力感、独立性、モチベーション、リスクテイク、楽観性といったあたりがアントレプレナーシップと関連することが確認されていますが、最近の研究(R)では「被害者性とアントレプレナーシップ」の関係が探られてて面白かったです。

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