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「事業者として、大熊町を気に入っていただくアイディアを提供できれば」三瓶勇樹さん

大熊町の「までぇ~なひと」=丁寧、真面目な仕事をする人をご紹介するインタビュー企画。
第1回目は、大熊町役場すぐ近くの不動産屋さん【株式会社ニーズエステート】の三瓶勇樹さん!


株式会社ニーズエステートHPはこちら↓

株式会社ニーズエステートは、震災前まで6号線沿いで営業していた不動産屋さんです。

不動産の賃貸や売買はもちろん、不動産のことなら何でも相談できちゃう不動産屋さんです。

6号線沿い旧店舗


大熊町や浪江町・双葉町の3町でお住まいを探された方や、土地の相談をされた方にはお馴染みの三瓶さん。

「見かけると癒される」「声を聞くとほっこりする」という声がちらほら。

そんな三瓶さんのところでは、現在いっしょに働く人を募集しているとのこと。
営業職、事務職、広報マーケティング担当など幅広く募集されるのだとか。

大熊町の不動産屋さんってどんな仕事をしているの?
三瓶さんから見た大熊町ってどんな町?


震災前から現在までのことも含め、お話を伺いました。

三瓶勇樹さん
双葉郡浪江町出身、在住。人の気持ちに関心があり、中学の頃から心理カウンセラーを目指す。上京していた在学中に東日本大震災が発生し、一転して不動産仲介業の企業へ就職。出かけることが大好きで、美味しいものにも詳しい。

人の心に寄り添う仕事をしたいと考えていた


「震災前までは心理カウンセラーを目指していました」

―心理カウンセラーを目指していらしたんですか。意外です!
三瓶さん:実家が不動産業と建築業を営んでいて、自宅兼事務所だったんですよね。だから人が話しているところは昔からよく見ていて。「こういう言い方をするのはなぜだろう?」って考えるようになりました。中学生の頃から臨床心理士(いわゆる心理カウンセラー。現在の公認心理師資格)を目指して在学中は勉強していました。

そんな中で、東日本大震災が発災して。すぐにお金を稼ぐことができるようにと一般企業への就職にシフトしたんです。大学院では農業を勉強していました。

―今度は農業。転向につぐ転向ですね。
三瓶さん:それから、同級生の就職活動開始から大分遅れた時期に就職活動を開始しました。
就職活動開始をきっかけに社会や経済を考える中で、元々興味のあった食品商社や小売系の企業を中心に就職活動を行っていましたが、あまりうまくいかなくて。
活動を開始した時期も遅く、応募できる企業も少なく、途方に暮れていましたね。

人の心に寄り添い、つなげていく不動産仲介業

―不動産業は最初、選択肢になかったんですか?


三瓶さん:そうですね。私は次男で、家業を継がなきゃって意識もあまりなくて。
でも震災があって、自分のことは自分で食わせていかないと!って意識でした。大変な時だから、実家に負担をかけるわけにはいかないぞと思ったんです。

不動産業や建設業に目が留まったのは、ある時のことです。
企業の募集要項で見た「カウンセリングのようにクライアントの意向をよく聞き、理解し、つなげていく仕事としての不動産仲介」。これは私が志していたこととより近しいなと感じ、不動産仲介業の業種を選択しました。
当初は東京・吉祥寺で勤務していましたが、とにかく売上第一主義の企業体制で。それは会社がというよりは、都心はどうしてもそうなっちゃうんですよね。

―いかにも営業!というか、不動産関係の仕事ってどんどん売るイメージがあります。
三瓶さん:そうなんですよね。でも、田舎ではもっとゆったりしているというか。お客様に寄り添える仕事というか……。都心での働き方と家業である不動産・建設業とのギャップを感じましたね。
その頃、父からの助言を受け、仙台・福島で展開する家業の会社に就職をしました。


この地らしい、人を大切にする働き方


大川原地区にある現在の事務所

都心の仕事と違う部分は、そのままやりがいに

―大熊町や浪江町、双葉町と都心では働き方も変わりそうですよね。
三瓶さん:
特にこの地域は、被災・避難地域を主な担当エリアとするので、全国的に見ても変わってきますね。不動産取引の相手方となる売主・買主の選好志向もバラエティに富んでいます。

役割が分化された都市部の不動産取引営業よりも担当者がやらなければいけないことは多々ありますが、その分、知識や自分の案件対応力も磨かれる。より不動産業を深く知り携わりたいと考える方にとってはとても興味深い仕事であると考えています。
「都市部での不動産仲介業が肌に合わないな」って人は、もしかするとすごくやりやすい部分があるんじゃないかなとも思います。

お客様の気持ちに応えたい、そのためにできることを全部やりたい。いわゆるノルマというものがないので、そこは本当に徹底的に寄り添えます。

―住まい探しって不安も大きいですものね。寄り添っていただけるのはすごく頼もしいです!
三瓶さん:これはなかなか、都市部ではできない働き方だと思いますね。

三瓶さんの思いを感じる、HPのトップページ


まちづくりのプロとして、生活者として「大熊町ってどんな町?」

―不動産というお仕事の目で見て、この地域にはどんな違いがありますか?
三瓶さん:
都市部などに比べて不動産取引数が少なく、情報が得ずらいところが違うかもしれません。その分これから変わっていきやすいエリアかなとも思います。
大熊町は、行政の取り組みも活発で、個人・法人への様々な補助・支援や駅前の開発計画などもあります。そういった行政側からのプッシュアップが力強いため、そういった情報を駆使しながら不動産の利用提案をする必要があります。

―変わっていく地域ということで、「人が増える」「生活が整う」のどちらが先にできたらいいのか?という部分が話になることもあるかと思います。
三瓶さん:人口と利便性、どちらもゆるやかに上がるものではないと思うんですよね。どこかで、ぽん、ぽんと大きく変わるのではないかと。
そういう町づくりの話は土木業の方とも話しますね。

―どちらも町の土台に関わるお仕事ですものね。生活者として見るとどんな地域ですか?
三瓶さん:大熊町や双葉郡で好きな部分は自然豊かなところですね。
自然と言えば、海、山、川とよく言いますが、それらがすべてそろっているのが大熊町、双葉郡です。

震災以前、こどもの頃は、鮭が産卵のため登ってくるため、それも風物詩でしたし、釣りや川で遊んだり、山で山菜や栗を拾ったりなどそれが日常でした。

大学入学のため上京してからはそのような風景や遊びはなかったので、そういった日常が特別であったと今では考えていますし、将来的にもそういったことが日常に感じれるような町になってほしいと感じます。

現在では、震災以前に営業されていたお店も再開されていて、レインボーさんのカツカレーライスは絶品ですね。ハンバーグも絶品ですが、カツカレーライスは元気を出したいときに食べています。


天気のいい時はデッキ席もおすすめです

―暮らしていて気になるところはありますか?
三瓶さん:今のところ、正直言ってとても不便です(笑)。
大熊町には地方銀行の支店が無く、出納処理には隣町までいかなくてはなりません。銀行の他、病院など生活利便施設と言われる施設が最低限の立地となっているため、現段階では仕事をする上で不便だなと感じています。

逆に言えば、不便くらいが悪い部分で、あとはおしなべて良いと感じています。人も穏やかな方も多く、移住して来られる方も活発で魅力的な方が多いですね。
そういった方々とこれからどういった町をつくっていけるのか。ハードの面からサポートする仕事なので、頑張っていきたいと考えています。


土地からまちづくりを仕事にするのは、こんな人


向いているのは「食べ歩きが好きな人」?!

―町と人に寄り添うお仕事だと、ただ「資格を持っている」だけではなさそうですよね。こんな得意があるといいよ、とか趣味があるといいよといったものはありますか?


三瓶さん:
得意ですか……。
「食べ歩きが好きな人」とかですかね。

―食べ歩き?!また意外なキーワードですね。
三瓶さん:食べ物って、その土地のことがすごくわかるんですよね。
その町の文化や風土、流通だとか色んな要素がそこにあって。だから、美味しいものが好きで食べ歩きや旅をする人は向いていると思います。

―なるほど。三瓶さんご自身も、美味しいものやお出かけがお好きですよね。
三瓶さん:はい(笑)。このあたりでも美味しいものを出してくれるお店はたくさんありますから。話が出来るお店が好きで、そういうお店は特によく行きますね。

不動産業って、分析も仕事なんですよ。取り扱う不動産の一つ一つ、他の不動産とどう違って、どのように価格、最適な利用用途などを考える。だから分析することが得意な人が向いていると思います。

―そう考えると、食べ歩きってじつは知的なんですね。美味しいだけではないという。


―その他「こういう人が向いている」といったものはありますか?
三瓶さん:お客様との折衝や天災などがある中で、ネガティブな状況に陥った時でも「それはそれ」と割り切れたりするバランス感覚がある方も向いていると思います。
仕事をしていると色んな事があるんですよね。何か起きた時に「わー!」ってなったとしても、「よし!対処するぞ」って切り替えられる方。

―色んな対応力が上がりそうですね。
三瓶さん:そうですね(笑)。
逆に、向いていないかもと思うのは「とにかくたくさん取引をして、たくさん手数料を稼ぎたい!」という方。
先ほどお話した通り、この地域は不動産取引数が都市部に比べて少ないですから。
もちろん収益は大事ですが、こういったエリアのためにどうすべきか考え、様々な不動産取引を通じ、町内不動産の価値を高めていく。そういった方向性を持つ方がこのエリアでは向いているかもしれません。

この場所、この仕事ならではの難しさ

三瓶さん:不動産取引は、様々な業務を経て至る集大成です。
お客様との関りや不動産調査、査定、広告、相談アドバイス……1つ1つが重要な作業であり、その集大成が取引であるため、気が抜けない時間が多いと感じるのではないかと思います。
毎日取引があるわけでもないので、成果が出るまで忍耐やネガティブなことがあってもポジティブに考えることができるバランス感覚が必要だなと感じることもあります。そのため、すぐに結果が欲しい人にとってはなかなかストレスフルになると思います。

―住まい探しでいえば、生活基盤に関わるわけですから簡単に決定できませんよね。
三瓶さん:一方で、お客様と会話したりアドバイスをしたりということを着実に積み上げ、自分の実力を以て成果を上げていきたい人にとっては、とても合っている職業かと思います。
特にこのエリアは、被災により一旦取引市場がなくなってしまったといっても過言ではありません。

もう一度ゼロベースから始まり、震災以前を越えていくようなまちづくりを行っていく。その中で不動産業は、とても重要な役割を担っています。
やらなければいけない課題は山積ですね。だから、巨大な山を越える様なチャレンジ精神も必要になってくるのかなと感じます。


読者の方へのメッセージ

「インターネットではわからないこと、知りたいことがあればお気軽にお声がけください」

大熊町情報noteをお読みの皆さん、初めまして。
ニーズエステートの三瓶と申します。
弊社では大熊町の不動産の利用を盛んにする事業を行っています。大熊町で不動産をお探しの方はもちろんですが、不動産情報以外の町の状況などインターネットではわからない情報もあるかもしれませんので、お気軽にお問合せいただければ幸いです。

これからの大熊町には様々な方のお力が必要です。とはいえ、大熊町を気に入っていただかないと始まれませんね。
町の事業者の1つとして大熊町を気に入っていただくアイディアの提供ができればと思います。先ずはお手元の携帯電話でお問合せください。



編集後記

三瓶さんのお話は、とにかく面白い!

「じつは、紅茶が好きなんです。本格的なイングリッシュティーの喫茶店兼事務所を作りたいんですよね」

「じつは、農業も勉強していたんです。まちづくりに役立てたいなと思っています」

などなど、話すほどに新しい話題が出てきます。


ゆったりとした語り口で穏やかな印象ですが、やはり商人の町・浪江っ子。サービス精神が旺盛で「喜んでもらえるだろうなって思うと、なんでもやりたくなっちゃうんです(笑)」とお話されていました。

まちづくりのまじめなお話も、双葉郡の美味しいお店情報もなんでも答えてくれる三瓶さん。
今回は読者の方へのメッセージだけではなく、「いっしょに働きたい」と思っていただける方へのメッセージもいただきました。

営業職だけではなく、今後は事務職や広報マーケティングスタッフも募集予定なので、気になる方はぜひのぞいてみてくださいね!


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