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求めて求めて。


オタクが、必死に踊りを覚えている映像。
というのがツイッターで流れてきていて、扱いが「キモイから笑える」みたいな、感じだったのだけれど。

「……」

それをカフェで眺めて、感動してしまった。
太ってて、変なシャツ着ていて、人が入っていないライブ会場の片隅みたいな場所で、好きな地下アイドルなんかを見ながら、必死で振りを真似している。
それが、全然、動きとして変だっていうことなのだけれどさ。

どう見ても、人見知りな雰囲気で、そんな彼が、ライブ会場に足を運んで、好きになったアイドルの踊りを覚えようとするまで、自ら行動して積極的になっているっていう事実がさ、感動する。

実際の彼がどうかなんかは、勿論分からないのだけれど、凄く頑張っている最中なんじゃないのかなぁって思ったり。

誰かが言ってた。
「人っていうのは、自分が重要って思われたいために、一生懸命頑張っているんだよ。みんな、誰もが」

つまり、彼の踊りが「重要って思われたい」と思っての、行動と仮定した場合、それは、やっぱり好きになったアイドルへの応援であって、そのどうみても不器用な自分を、その殻を抜け出そうと、頑張っている一つの姿なんだと思うと、泣けてきてしまう。

でもまあ、こうやって、隠し撮りみたいな映像が、拡散され、笑いものにされ、また、本意ではない形で多くの人の目に留まっているっていう事実の怖さもあって、彼が胸を痛めて苦しくなってなければいいけれどなぁと思ったり。

ということで、今週は、「誰もが重要と思われたいがための行動」と仮定した場合、目線で世界を見ている。

そうすると、ニヒルな呟きも、おじさんのランニングも、似合わない髪型も、唐突な正義感も、諦めも、ババシャツも、そこそこな洋菓子屋も、ピアノの練習も、先輩への相槌も、ピザまんですら、愛を求めて、でも、一方通行で、それぞれが、枯渇して、でも、求めてと、そんなドラマを感じて、感動してしまう。

僕も、求めて見失って、また、求めてるのだろうと。
「……」
踊り動画を眺めて、小さなため息を吐いた。


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