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ばーちゃんと私

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家族であり他人だった。
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#記憶

雪の日

雪の日

2006年12月

私の住む地域にも雪が降る。
関門海峡を雪雲が抜けて雪を降らせにやって来る。
それをいつも嬉しそうにしていたのは祖母だった。

朝起きて朝食を食べて皆が一息つく中で、ひとり祖母の姿がない。廊下に面する窓から積もりそうな雪が降っているのを、ぼーっと眺めていた。
すると、玄関の外から祖母の声がする。

母と一緒に戸を開けてみると、左手にスコップ、右手にバケツを持った祖母が満面の笑みで

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夜中

夜中

2005年7月

母の実家は古い2階建ての木造の家で、私は両親と弟と2階の寝室で寝ていた。
でも、なぜだか夜中の3時頃に私は起きて、1階の祖母の寝ているリビングに行く。すると、祖母は私が来るのを分かっていたかのように同じタイミングで目を覚ましていた。

「起きたんかね。」
「うん」
「ほら、布団に入り。」

祖母の寝ているリビングは和室でいつも家族で食事をする部屋だ。大きなアップライトピアノとTV

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