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青空

バンコクはここのところ大気汚染が酷くて、いつも空がぼんやり霞んでいる。
だいぶましになったようだけど、今日もすっきりとしない空。
健康への影響も気にしないといけないんだろうけど、空気が悪くなって真っ青な空が見れなくなったことの方がさみしかったりする。
スコーンと晴れた青い空と、白い雲のコントラストが大好きなんだ。

青い青い空を見ると、ふと思い出すことがある。
思い出すことというか、思い出す空。

20歳を少し過ぎた頃、友人の旦那さんが交通事故で亡くなった。
彼女は私の人生ではじめての友達で、旦那さんは中学の同級生でもあった。夜にひとりで車で出かけ、反対車線のトラックに突っ込んで即死だったと、起き抜けに別の友人からの電話で聞いた。冗談かと思った。

東京から駆けつけると、彼は聞いていたことから想像していたよりずっと穏やかで綺麗な顔をしていた。
「寝てるみたいでしょ」と、棺の横でどこかのアニメで聞いたようなセリフを言う彼女は少し疲れたような顔をしていたけど、泣いてはいなかった。もう泣き疲れたのかもしれなかったし、私はかける言葉が見つからなかった。

火葬の日はとても気持ちの良い晴れた日で、澄んだ青い空に少しだけ薄い雲が浮かんでいた。
鳥の鳴き声がした。
何故かその時の空だけをはっきりと覚えている。
とても綺麗なのが逆に悲しくて、ああ、誰かが死んでしまっても、こうして世界は何も変わらないのだなと思った。
また明日も普通にやってくる。

もちろん彼女と彼らの子供の人生は変わってしまったし、私が知っているより想像するよりずっとずっとつらい思いをしたはずだ。
あれから何年もの月日が経った。以前よりも遠くなってしまったので彼女にも何年も会ってない。
連絡を取るのも一年に一度あるかないかで、でも会えばいつもの友達っていうやつ。
最後に会った時も、去年電話で話した時も元気そうに笑っていて、その度に安心する。

元気だと嬉しいこと、あまり人につらい顔を見せず、大変なことをいくつも乗り越えてきたあなたを尊敬しているよと伝えたことがなかったけど、今度会ったら言おうかな。
照れてうまく言えないかもしれないけど。やっぱり手紙にしようかな。

悲しかった思い出なのに、胸が痛んだあの空を思い出すのは好きなんだ。
どうしてなのか自分でもよくわからない。
早く晴れるといいな。
青空が見たい。


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