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204. ごはんいきます?

ひとりで食べる飯がうまいのは
ふたりで、さんにんで
人と飯を食べる機会があるからだと
知った

自分は人とご飯を食べることがあまり好きでないと思っていた。

家でひとりで料理をする
ひとりでお店に行って外食
あの時間がとても心地よかったのは
うっとうしくも感じていた人々と共に食事をすることが多かったから。

ひとりでの食事は食べ物と、そして自分との対話だった。
人に囲まれ続けることの窮屈さから逃避できる時間だった。

最近は人と食事をする機会がめっきり減った。
ひとりになれる
望んでいた環境が手に入ったんだ
そんなふうに思っていた。

けれどもいま
飯がまずい
食べているものは同じ、もしくはもっと高価な
質が高いとされているものを摂っているのに、だ。

思い返してみれば
ひとりで外食をしに行った際は店員さんと
あるいはそこに居合わせたお客さんと会話を交わしていた。

そうだもともと家でひとりで飯を食べるのはそこまで好きじゃなかったか
そう思おうとした
店で食べる食事も同じだ
空腹は満たせる
でもなぜだろう
うまくないのだ

そうしてある日友人と、家族と食事をすると
味の変貌に驚くのだ。

いつも誘いを断っていた
ひとりがいいと
思っていたはずだった

ひとりで食べることに満足できないから人を誘う
自分がこんなことをするとは露にも思わなかった昔の私

パートナーは遠く
彼女との再会を待ち侘びる

次に人と会う予定日が楽しみな自分を知って
そんな新しい自分にわくわくしている

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