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AOTY2023

アルバムオブジイヤー2023です!
今年は100枚くらい新譜を聴きました。そして随時「これはだいたい何位」「これはランク外」と大まかに考えた暫定順位をつけていました。
12月に入り、そろそろ順位を整理して確定させようと再聴すると、あら不思議、最初に聴いた時と印象(評価)がガラッと変わった盤が結構ありました。ただ10位以内に関してはあまり順位の変動はなかったと思います。


20位から11位

20位 Olivia Rodrigo『Guts』
AOTYをやる人はどうせみんな選ぶだろうから、僕は選ばなくてもいいんじゃないか?とも思いましたが、確実に今年を代表するアルバムなのは間違いないので。米国の女優、シンガーソングライターの2ndアルバム。
オススメはM1 "All-American Bitch" です。

Olivia Rodrigo『Guts』

19位 Cryptopsy『As Gomorrah Burns』
驚異的なテクニックを持つカナダのテクニカルデスメタル・バンドの12年振りの8thアルバム。聴く前の正直な感想は「まだ活動してたんだ、、」だったのですが、、フロー・ムーニエのドラミングは相変わらずえげつなかったです。
オススメはM5 "Flayed the Swine" です。

Cryptopsy『As Gomorrah Burns』

18位 Jesus Piece『...So Unknown』
米国の5人組メタルコア・バンドによる5年振りの2ndアルバム。かなりハードコア寄りのサウンドで良いです。今年2度目の来日も果たしました。
オススメはM2 "Fear of Failure" です。

Jesus Piece『...So Unknown』

17位 Veil of Maya『[m]other』
米国のメタルコア・バンドの7thアルバム。結成20年の大ベテラン。プログレ的な変拍子の多用、高速ブラストなど今作はかなり満足のいく内容でした。
オススメはM9 "Lost Creator" です。

Veil of Maya『[m]other』

16位 Blondshell『Blondshell』
NYで生まれ、LAで活動しているシンガーソングライター、サブリナ・タイテルバウムによるBlondshell名義のセルフタイトルのデビューアルバム。グランジフォークみたいなサウンドで聴いていて気持ちのいい僕好みのサウンドです。
オススメはM3 "Olympus"です。

Blondshell『Blondshell』

15位 Truth Club『Running From the Chase』
米国ポストパンク・バンドの2ndアルバム。Dinosaur Jr.とPavementを足して割ってエモったようなオルタナティブ・ロックです。実はTalking Headsを始祖にもつベース紅一点バンドの系譜に連なっていたりします。
オススメはM3 "Blue Eternal"です。

Truth Club『Running From the Chase』

14位 August Burns Red『Death Below』
米国の大御所メタルコア・バンドの10作目。ここ数作マンネリ気味というかパっとしない大人しいアルバムが続いたように思いますが、今作は何故か全方位的に炸裂しています。
オススメはM3 "Ancestry"です。

August Burns Red『Death Below』

13位 The Ace『I've Loved You for So Long』
米国インディーポップ・ガールズバンドの3rdアルバム。80年代ポップ感満載の力作です。
オススメはM6 "Suburban Blues"です。

The Ace『I've Loved You for So Long』

12位 Mitski『The Land Is Inhospitable and So Are We』
日系米国人シンガーソングライターによる7thアルバム。最近エレクトロなリズム音楽に癖々していたのでアメリカーナが心に広く沁みます。凄くいいです。実は日に日に順位が上がっていき12位になったアルバムだったりします。ハーフとして生まれ自分のアイデンティティを探し求めていたミツキ・ミヤワキの答えがMitskiというアーティストネームなんだと思います。
オススメはM7 "My Love Mine All Mine"です。

Mitski『The Land Is Inhospitable and So Are We』

11位 blink-182『One More Time...』
トム・デロング復帰後初のフルアルバム。正直あまり期待してなかったのですが、こんなに良いポップパンク・アルバムをまた出してくれるとは。それにアルバムが懐かしき "Anthem" のPart 3で始まるのはズルいと思います。。本作のプロデュースもしてるトラヴィス・バーカーのドラムは相変わらずキレが凄いです。
オススメはM1 "Anthem Part 3"です。

blink-182『One More Time...』

選外供養

ここで、今年リリースされた話題作や音楽メディアなどで絶賛されたアルバムのうち、聴いたけれど僕は選外にしたアルバムを綴っていきます。ひとこと言いたいだけです。
好きな作品を貶されると頭に来る方はスルーして『10位から4位まで』に飛んで下さい!

Paramore『This Is Why』
40位以内には入りますがLPでいうところのB面が弱かったです。Paramoreは『Brand New Eyes』が100点満点のAOTY2009ですし、僕も思い入れのあるバンドなので採点が辛くなってしまいます。

The Rolling Stones『Hackney Diamonds』
これも40位以内には入りますが楽曲がStonesぽくないというか、グルーヴ感がないというか。簡単に言うとチャーリー・ワッツ不在がむちゃくちゃ大きいなと。

Rita Ora『You & I』
リタ・オラは僕の大好きなプリンス殿下ともゆかりのあるアーティストなので聴くようにしてますが、どこがいいのか分からない盤でした。

Caroline Polachek『Desire, I Want to Turn Into You』
各方面で大絶賛された盤です。M4 "Sunset"とかは凄く好きなんですが、シンセリズム音「タン」「パン」「カチャカチャ」が妙に引っかかって無理でした。

The Amity Affliction『Not Without My Ghosts』
今年聴いて一番ショックだったのはこの盤です。デビュー作からずっと追いかけて来た豪州メタルコア・バンドだったのですが、、ツインボーカルの意味がないしシンフォニックの使い方や構成がダサいです。

Blur『The Ballad of Darren
デーモン・アルバーンの声が刺さる人には好盤だと思いますが、僕はそもそも刺さりませんでした。

Neil Young『Chrome Dreams』
これは扱いに困った幻の盤です。内容だけなら3位以内は確実。1977年制作ですが諸事情によりお蔵入り。アーカイブ企画として今年リリースされましたが、2023年の盤ではないと判断して見送りました。

Asking Alexandria『Where Do We Go from Here?』
最近のAsking Alexandriaは、メタルコアな演奏をバックにボーカルのダニー・ワースノップだけ殆どクリーンで歌っていて違和感ありありです。ダニー出戻りの際、追い出されたデニス・ストフが不憫でなりません。

Noel Gallagher's High Flying Birds『Council Skies』
聴いてません。

10位から4位

10位 To the Grave『Director's Cuts』
豪州の新鋭デスコア・バンドの2ndフルアルバム。王道ながらテクニカルで難解な展開が特徴です。あとデスコア・バンドなのに何故かボーカルがフィル・ボーズマン系のイケメンなのが謎です。今後も要注目のバンド。
オススメはM8 "Axe of Kindness" です。

To the Grave『Director's Cuts』

9位 Invent, Animate『Heavener』
米国メタルコア・バンドの4thアルバム。聴いた瞬間これは10位以内に入れなければならないと強く思いました。UNFDに移籍してノイズの幻想性・神秘性が増したのはいいのですが、一貫して寝巻のMVが気になって仕方ありません。
オススメはM7 "Immolation of Night" です。

Invent, Animate『Heavener』

8位 Wilco『Cousin』
米国6人組バンドによる13枚目のアルバム。これは今年かなりヘビロテしました。まず前作と音作りが全く違うことに驚き、大ベテランなのに新境地を開拓しているのが凄いです。車で聴いていると故障したかな?と思うようなノイズが入ってて愉快です。
オススメはM3 "Levee"です。

Wilco『Cousin』

7位 Parannoul『After the Magic』
韓国のシューゲイザー・ソロアーティストによる3作目。再生回数的には今年1位だったかもしれません。SNSをやっていなければ存在も知らず聴くこともなかっただろうと思います。感謝。
オススメはM7 "Imagination" です。

Parannoul『After the Magic』

6位 Sigur Rós『ÁTTA』
大好きなアイスランドのポストロック・バンドによる10年振り!!のフルアルバム。暗く絶望感しかない世相を反映しながらも他にはない美さを醸し出すアルバムだと思います。前作『Kveikur』と比較すると全然アプローチが違って面白いです。 
オススメはM2 "Blóðberg" です。

Sigur Rós『ÁTTA』

5位 Signs of the Swarm『Amongst the Low & Empty』
今年のデスコア部門での年間ベストアルバム。メタル系大手Century Media移籍第1弾であり通算5枚目のアルバム。人間ってこんなに速くドラム叩けるのかな?と不思議な気持ちになります。しかし今年はデスコア勢+メタルコア勢が不作を通り越して凶作だったので寂しかったです。
オススメはM7 "DREAMKILLER"です。

Signs of the Swarm『Amongst the Low & Empty』

4位 Greta Van Fleet『Starcatcher』
米国ハードロック・バンドの3rdアルバム。ライブの熱量をそのまま注入できるように工夫して制作されたアルバムらしいです。曲のパーツにZeppelinフォロワー感が滲み出てて良いですし、内容も安心して聴ける好きなバンドの一つです。デビュー以来Zeppelinの物真似だなど色々言われてますが、影響がもろに出るのは仕方ないと思いますけど。
オススメはM3 "The Falling Sky" です。

Greta Van Fleet『Starcatcher』

AOTY騒々しい音楽部門

(黙ってメタル部門と言えばよくね?)昨年まではデスコア部門、メタルコア部門と分けていたのですが、「デスコア大凶作」「ジャンル跨ぎしていてデスコアと言い切れないバンドの存在」「フルアルバムじゃなくてEPが多い」などの理由で、1つにまとめようかなと思います。7位以内はAOTYトップ20と重複しています。

20位 Cannibal Corpse『Chaos Horrific』デスメタル
19位 Suicide Silence『Remember... You Must Die』デスコア
18位 Cincinatti Bowtie『Incantation』デスコア
17位 fromjoy『fromjoy』メタルコア
16位 Thy Art Is Murder『Godlike』デスコア
15位 Zulu『A New Tomorrow』メタルコア
14位 Bury Tomorrow『The Seventh Sun』メタルコア
13位 Aphyxion『Ad Astra』メタルコア
12位 Chelsea Grin『Suffer in Heaven』デスコア
11位 Left to Suffer『Feral』デスコア
10位 Distant『Heritage』デスコア
9位 Periphery『Periphery V: Djent Is Not a Genre』ジェント
8位 The Acacia Strain『Step Into the Light』デスコア
7位 Cryptopsy『As Gomorrah Burns』テクニカル・デス・メタル
6位 Jesus Piece『...So Unknown』メタルコア
5位 Veil of Maya『[m]other』メタルコア
4位 August Burns Red『Death Below』メタルコア
3位 To the Grave『Director's Cuts』デスコア
2位 Invent, Animate『Heavener』メタルコア
1位 Signs of the Swarm『Amongst the Low & Empty』デスコア

上段がデスコア・トップ5、下段がメタルコア・トップ5

最近のデスコアシーンは?

では、今年のデスコアについての雑感です。

デスコアシーンの大御所のアルバムは評価が難しかったですね。Suicide Silenceはカリスマだったミッチ・ラッカーが亡くなってからずっと迷走してますし、Chelsea Grinはトム・バーバーの別ユニットDarko USの方が圧倒的に面白いです。

大雑把に二分すると、シンフォニック・デスコアとオールドスクール・デスコア(シンフォデス以外すべてのデスコア)がありますが、僕が思うにシンフォデス勢なのにシンフォニックを効果的にセンスよく使えてるバンドは一握りしかいません。他のバンドは使い方に試行錯誤というより四苦八苦しているように聴こえます。オールドデス勢がシンフォニックを取り入れて酷いことになってるアルバムを何枚も聴いた上での感想です。
そんな中でもDarko USなどは、両派とは別に我関せずの独自なエレクトリックでインダストリアルなデスコア路線を走っています。これがサウンド的にも一番面白く、今後のデスコアシーンに何らかの形でフィードバックしていくのだろうと思います。

3位から1位

3位 Slowdive『everything is alive』
大御所シューゲイザーバンドによる6年振りの5thアルバム。シューゲイザー御三家の名に恥じない名盤。来日する?ライブ観に行きたい!と思わせる圧巻の内容でした。
オススメはM1 "shanty" です。

Slowdive『everything is alive』

2位 100 Gecs『10,000 Gecs』
米国デュオによる2ndアルバム。チープに感じて評価と順位が揺らいだ時期もありましたが、内包している多様な音楽性がかなり面白いです。でもライブは何回観てもあまり好きになれません。
オススメはM10 "mememe" です。

100 Gecs『10,000 Gecs』

1位 Black Honey『A Fistful of Peaches』
文句なし。英国インディーロック・バンドの3枚目。今年3月に世に出てからずっと僕の中でAOTY首位であり続けました。2ndアルバムはヘヴィな内容でしたが、3rdアルバムになり格段とポップに磨きがかかったと思います。とにかく全曲楽曲のクオリティが高いです。あとはイジー・フィリップスの歌声ですね。
オススメはM2 "Heavy" とM6 "Cut the Cord" です。

Black Honey『A Fistful of Peaches』

以上となります。
これはあくまでも僕の12月末での評価順位ですし、来年になったら順位は変わっているかもしれません。というか変わるでしょう。Beatlesの各アルバムの評価も時代ごとに変遷がありました。
今でも歌い継がれるあの名曲がチャート2位止まりだった。その時1位だった曲は?は?
そんなもんです。

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