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ナッジ株式会社 第二創業に向けて

2024年5月8日、ナッジ株式会社では、シリーズAのエクステンションラウンドとして、TISさんからの追加調達を発表致しました!

これによりシリーズAラウンドの総額は30億円を超え、昨年10月のMUFGさんからの借入等を含めると、2020年2⽉の創業からの資⾦調達総額は約50億円となりました

TISさんは、私の前々職でも、資本業務提携を行なっており、ナッジの立ち上げ当初からの共同開発パートナーでもあります。

これまでも協業パートナーとして、ともに次世代クレジットカード「Nudge」を創りあげてきた関係ではありますが、今回改めて資本業務提携を行った狙いは2つあります。


チャレンジャーバンク事業の加速・強化

1つは、これまでの「チャレンジャーバンク事業(金融D2C)の加速・強化」です。

Nudgeは、2021年9月にサービス開始以降、ユーザーやクラブとともに、スマホネイティブな次世代クレジットカードサービスを進化させています。
成人年齢の引き下げ以降は、10-20代を中心に利用が加速しており、2023年は3.6倍の成長を遂げました!

ユーザーの多くは、Nudgeをメインカードとして活用いただいていますが、「いつでもどこでもナッジを使ってもらう」ため、さらにサービス満足度を高めていくとともに、Nudgeの特徴であるスマホApp上での新たな付加価値提供を目指していきます。

「Nudge」を支える技術基盤

もう1つの狙いは、上記の「Nudge」を支える技術基盤をプラットフォーム化し、OEM提供することです。

一般的に、金融機関のシステムは、メインフレームで構築されていることが多く、カード業界も例外ではありません。
(私が「有識者」として参加している全銀ネットも、2027年にオープン基盤に切り替える方針を発表していますが、それがニュースになるくらいです)また、いわゆるモノシリックなシステムが一般的であり、機動的な開発を行うことが非常に困難でした。

ナッジでは、日本を代表するチャレンジャーバンクとして、フルクラウド・マイクロサービスというモダンなアーキテクチャを採用し、サービス開発を行っています。

マイクロサービスアーキテクチャ

ナッジでは、アジャイル開発のスプリントを2週間としており、2023年の実績としても、隔週で必ず新機能・新サービスをリリースしていました。
(事実、NudgeのスマホAppは、2023年下期だけで19回のアップデートを行っています)

このような機動的なサービス強化を支えているのが、柔軟なシステム基盤です。特に、単純にクラウドを利用しているだけでなく、サーバーレス・マイクロサービスを基本としています。
(詳しくは、AWS Hero 新井雅也さんの『サーバーレスファーストで考えるクレジットカードビジネスの最適化』のスライドをご覧ください)

スライドの 40 ページ目以降で詳しく触れていますが、Nudgeでは基幹系にはAWSを利用しつつ、データ分析プラットフォームとしてGCPを併用することで、データの民主化も実現しています。

今回、TISさんからはM&Aと同等レベルでデューデリジェンスを行っていただきました。専門家による財務・法務に加え、技術DDも含まれています。

TISさんは、そもそも創業パートナーであり、ナッジのシステムのツボを知り尽くしております。
いわば主治医に人間ドッグを受けるような状況で緊張もしましたが、上記のアーキテクチャーをはじめとする、DevOpsを実現する仕組みなども含め、評価いただきました。

優れたシステム基盤が生み出す優れたUX

もちろん、これらのシステム基盤は、サービスを通じて優れた金融体験を提供するというのが目的です。

顧客満足度には、NPS®︎(Net Promoter Score)という指標を使うことが多いのですが、クレジットカードの業界平均は-42.9で、トップ企業でも-27.1となっています。

対象のクレジットカード会社18社のうち、NPSのトップは楽天カード(-27.1ポイント)、2位はdカード(-28.7ポイント)、3位はANAカード(-29.7ポイント)となりました。対象18社のNPS平均は-42.9ポイント、またトップ企業とボトム企業との差は38.7ポイントとなりました。

https://www.nttcoms.com/service/nps/report/creditcard/

Nudgeの特長の1つが、スマホAppを活用したテキストベースでのサポートです。(Nudgeのサポート満足度は、CESというスコアをベースにしているので、単純比較はできないのですが)NPS換算したスコアは+20.06(2024年4月)となります。

「電話をしても、なかなか繋がらない」という体験は誰しもが経験すると思いますが、例えばNudgeで利用の覚えがない取引があった場合、ワンクリックで問い合わせができる仕組みとなっています。

このような話をすると、旧知のカード会社経営者からは、「沖田さんのところの仕組み、良いよね。システムだけでも売ってくれない?」というご相談をいただくことも多くありました。

共同でテキストサポート体制を構築しているベルシステムさんとOEM提供に関する発表も行い、たくさんのお問い合わせをいただいていますが、スタートアップであるナッジでは、各金融機関固有のカスタマイズ要望までは応じることができずにいました。

TISとナッジの資本業務提携による新サービス

今回、TISさんと資本業務提携を行い、共同でのサービス構築を行うことで、大手の金融機関の方々に対しても、安心してサービスをデリバリーする体制を構築することが可能となります!

TISさんはクレジットカードの基幹システム開発で国内市場シェア約50%、ブランドデビットカードのサービス提供/システム開発では国内市場シェア約86%を誇るNo.1企業です。
今回共同で開発したサービスを「ライト版クレジットカードプロセッシングサービス」として、同社のサービスラインナップに組み込んでいただくことで、ナッジ単独ではカバーできない領域までサービス提供を広げることが可能となります。

https://www.tis.co.jp/news/2024/tis_news/20240508_1.html

ナッジは引き続き、Web3時代のチャレンジャーバンクを目指します!

今回の発表を見ると、「ナッジはB2Bにピボットするのかな」と思われるかもしれませんが、むしろ反対で、B2B分野はTISさんが主体となることで、同社の厚みのある人材に主導いただきます。これにより、ナッジは、これまで以上にB2C事業に集中することができます。

議論の中では、「OEM提供は、競合を生み出すだけでは?」という懸念もありました。でも、安心してください。決済市場のTAMは大きいです。

ナッジとしては、我々が得意とするユーザーセグメントにフォーカスし、「エッジの効いたサービス」を提供することで、ますます高度な顧客満足度を実現し、未来の金融体験を生み出していきます。

一方で、技術基盤の優位性を無駄なく活用することで、ナッジ単独では手の届かないユーザーの方々にも、プラットフォーム上のステークホルダー各社とのオープンイノベーションにより、未来の金融体験をお届けしていくことが可能となります。

調達資金の使途

今回、新たに調達した資金は主に以下の3点に投下させていただきます。

  1. さらに愛されるサービスに進化する

  2. 毎日Nudgeを利用するユーザーを獲得する

  3. これらを実現するチームに進化する

本業であるB2Cが強くなってこそ、OEM事業も効果が増します。そういった意味では、まずは、これまで以上に愛されるサービスに進化をしていく必要があります。
それを愚直に推進した上で、「いつでもどこでもNudgeでキャッシュレス」というユーザの方々を拡大していきたいと思います。

実は、昨年末から今年の前半にかけては、成長そのものよりも「限界利益率向上」のための各種施策を優先してきました。その甲斐もあり、足腰が強化され、黒字化のために必要なユーザー数も、さらにハードルが下がっています。

満を持して、これからはいよいよ成長を加速していくステージです!そのグロースを実現していくためのチーム創りに、今回の調達資金の多くを投下してきます。

第二の創業に、ともに挑戦してみませんか?

サービス開始から2年半が経ち、第二創業期に差し掛かったと言えるこの春に、新たな人材に参加してもらっています。
創業前から4年越しで熱心に声かけを続けたメンバーや、発表直後に問い合わせをくれた大手エンタメ企業の出身者などです。明るく前向きな彼らに引っ張られ、もともといた仲間たちとの融合も一気に進んでいます。

私たちは、『ひとりひとりのアクションで、未来の金融体験を創る』をミッションに掲げ、新たな価値観と行動様式を持つ金融機関を一から作り、未来の金融体験を創造することを志しています。Fintech業界での豊富な知見を持ったメンバーに加えて、未来を担うデジタルネイティブ世代も集まり、ダイバーシティに富み「free, fair, flat」という当社のバリューを体現したチームが事業を推進しています。
大きな志を持ち、裁量を伴う自律分散型の組織で、チャレンジャーバンクを目指したい方、是非Nudgeと共に第二の創業に挑戦してみませんか?

ご関心をいただいてくださった方、カジュアル面談からでもぜひ!

2024年5月
ナッジ株式会社
代表取締役 沖田貴史


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