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創作大賞出品作品系

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長文&短編作品に成ります。中途半端な物も含まれます。
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(´-`).。o(呟き)
創作大賞のここまでは出しても大丈夫だと思う所迄を出してみました。この先を3パターン程ぐちゃぐちゃ考えており、およそ締切に間に合う気が致しません。それでもここまで紡いだ言葉を葬るのも寂しく感じて出しました。文香には幸せを最後に感じて欲しいと考えております。

もう一度聴かせて   #創作大賞2024

もう一度聴かせて #創作大賞2024

-①-
文香はその夜、幼い時によく見た夢を見た。
文香が父親の首を信じられない力で絞める夢だ。
父親は無抵抗のまま力を込められた首から何とも言えぬ音だけ鳴らし、目を見開いて視線だけが合う。
真っ白なノースリーブ、くるぶしまで丈のあるワンピース姿。
首から上は見えないのだがそれでもその女性が自分だと分かる夢。
今年初めての台風が日本列島に直撃をして蒸し暑く、寝苦しい夏の夜の事だった。

県内外でも有

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二つの時計-short story-

二つの時計-short story-

「花、うんじょー生ちち!」
あなたは生きて!祖母はそう言って母を豪から追い出し、自分は親族達と手榴弾でこの世から消えた。

花こと私の母は当時のトラウマにより時々幼い花ちゃんに変わってしまう。

先程もそうだった。
沖縄から関東に移り住んでこちらのお盆に慣れ親しんだはずなのに、豚肉が無いと御先祖様に味わって頂けないと言ってパニックを起こし、家から出て行った。

私は慌てて後を追って近所のスーパーで

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ショートストーリー:青空の2人

ショートストーリー:青空の2人

「隆夫さん、助けてくれてありがとうね。」
「いや、助けた程でも無いよ。
同期をリハ出来て面白い体験させて貰ったわ。」

あの時、膝を壊さなければもう会う事何て無い運命だと想う。
12年振りに会った彼は専門家として仲間にも慕われ素敵な大人となって居た。

私達が付き合って居たのは学生時代のほんの1年でしか無く、別れた原因は私のパニックだった。
あのパニックも話し合えば別れる原因にはならなかった

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創作大賞出品 「川辺の月」

創作大賞出品 「川辺の月」

観音山にかかる様に真っ白な入道雲が2人の見詰める先にあった。
7月7日、高校最後の七夕の帰り道、茜と晃は何時もと同じ様に烏川の川辺の階段に腰掛けていた。
新緑を過ぎた山は青々と光り、7月の太陽を映すかのように煌めき、それを2人は見詰めていた。
ふと晃が茜の横顔を見ると汗ひとつかかない真っ白なその横顔は何時もと様子が違い、やけに淋しく悲しそうに感じた。
「茜、何かあった?」
茜はチェックのプ

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