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乳首の洗礼


まだ20代も前半だった頃。

地元の友人3人と大阪旅行へ行った。

この3人は相変わらずユーモアに溢れている。
笑いのツボが中学から変わっていない。

彼女たちと見たもの、触れるものは全て面白になるのだから不思議だ。

そして凄いのは
彼女たちは面白いだけではない。
全員容姿端麗且つちゃくちゃオシャレ。
センスこそ違うものの、それぞれよく似合っている。

それでいて人間の器まで大きい。


カッコいい友達が出来たものだ。


ずんぐりでむっくりな私が並ぶと
まるで中学生のようだ。

いや、これはあながち例え話でもない。

30歳が来る今でもコンビニで時々年齢確認をされる。

25歳の時、とある田舎のバスで小学生料金を請求された。

お釣りは要りません。

と、倍の料金(通常大人料金)をくれてやった。

極め付けは
バスのおっちゃん。降り側にベトナム語の地図を渡してきた。

何がハブ ア ナイス デイ!だ。

ナメ腐っている。

何がどう見えているのか。
もう、何の証を差し出せば全国民に届くのだろう。

早く、70歳ぐらいになりたい。

とは言うものの、
未来でAIが
私たちの額に遍歴、能力、特性の全て寸分の狂いなく映し出せるような時が来ても
それはそれで怖いのだが。



話を関西まで戻す。

そんな素敵な友人たちと
その日は京都の名所で遊び呆け、
ホテルでも飲み散らかし、はしゃぎ倒した。


次の日、通天閣に行く途中のことだった。

駅の改札で1人の友人の動きがスマホを持ったままピタリと止まった。
その場で泣き崩れそうになっているところに駆け寄った。

どうやら遠距離中の彼氏に振られた瞬間だったようだ。


色恋沙汰に全く興味のなかった私にとっては
その辛さを1ミリも理解することが出来なかった。

そんな悩みさえ、あるだけ有難いのでは?

そんな甲斐性のない気持ちにしかならないのだから重症だ。

なんの言葉もかけられないまま、
友人2人に介抱を任せた。

とはいえ、
大切な大切な友人。流石に心配になる。

その日の夜、
落ち込んでいる友人のためにと
皆んなで考え、
とあるストリップ劇場に行った。
確か素右衛門町だった気がする。


説明するにいい言葉が見つからないのだが、
心も身体も女性になった元男性の方々で構成されたスタイルの劇場。







煌びやでポップな扉を恐る恐る開けた。


そこは大ホールのような広い客席と舞台がある。
客席には各テーブルがあり、
そこでお酒を飲むかたち。

最前列には沢山のおじ様達がいらっしゃった。

細かいシステムは忘れたが、
何十分かのショーだった気がする。


































衝撃だった。































刺激が強すぎた。















内容は到底言えないが、


カーテンコールくらいで

この子はまだ工事未着手でーす!

と、
下半身だけが男性のままの方がステージから出てきた。

勿論そこだけ隠してある。














衝撃の連続。

どれもこれも
見たことのない世界だった。

















ショーが終わると、
ステージにいた演者達がドレス姿で客席まで足を運んでくれる。

私たちの席に来てくれた方は
なんと出身が同じだった。

優しい綺麗な方だった。








よく来たわねぇ〜。
ありがとぉ〜〜っ!
で、悩みってなんなのよ?








凄い、確信をついている。


底なしの明るさは、
我々では計り知れない屈強や逆境の
その薔薇道を生きてきた証なのだろう。


程なくして大御所っぽいオネェさんも私たちの席に座った。

古田新太さんみたいなオネェさんだった。

そのオネェさんは言う。







振られたぁぁぁあ?

で、ここに来てどうしろっていうのよ?

可能性が1%でもあるなら、
さっさとやれることやりなさいよぉぉおお!


その1%の特権をあんたたちは持ってんのやろぉぉぉおおおおお!!


女なんやろおぉぉぉおおおおおおおお!!!







































ひぃーーーーーーーーっ!

つ、つ、つよい。強すぎる!

確信というナイフで突き刺された。

これ程どストレートに納得させられた事はない。


まだ、イワンコフにも出会っていない頃だ。

恐らく誰よりも先に
奇跡について改心したと思う。








この後、
部活の顧問にするような返事をしながら
ありがたい言葉達を受け取り、

最後に乳首を触らせていただいた。


感触こそ同じだったが
向きが少し不自然だった。
















とても貴重な経験をした。
因みに東京にもこのお店はあるそうです。



当時は恋愛の悩みこそ、
一つもなかったが
その言葉は今も私の中で生き続けている。


この先誰を好きになろうとも
可能性は0ではない。
確実に、
1%の可能性を私は既に与えられている。


この奇跡は本物だ。




















数年後、友人は別の方とめでたく結婚をした。







さて、来週のこの時間は
・小学校の帰り道、坂の上からボーリグの球が転がってきて危うく大怪我するところだった
・お気に入りのハート柄の真っ白ワンピースで颯爽と街を歩くがショウウィンドウに映っていたのは透明ワンピで歩くハートの露出狂だった
・耳に入ったのはGではなく、小さなムカデだった

の3本です

oki

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