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芸術新潮「追悼|総力特集 坂本龍一」

本を読むきっかけ
 坂本龍一の追悼特集が組まれていたため。

この本を推薦したい読者層
 音楽という側面ではなく芸術という側面で坂本龍一を捉えている。音楽家ではなく芸術家が見た坂本龍一が語られている。

概要
 芸術新潮が音楽家を表紙にするのは、武満徹以来2人目になるという。一昨年ご逝去された、ドラゴンクエストの交響曲、筒美京平の師匠である「すぎやまこういち」さんが表紙を飾っていなかったのは意外だが、坂本龍一が芸術本で表紙になるのは、非常に納得できた。
 本特集では、坂本龍一を「聴く」「見る」「読む」という三方向から切り込んでいる。
 音楽家としての坂本龍一、活動家としての坂本龍一、表現者としての坂本龍一。私の知らなかった坂本龍一像がそこから現れてくる。音楽家としての坂本龍一は、「スウィートリベンジ」以降はリアルタイムで体験してきてるので、少しばかり知っていた。そして、ミュージシャンの坂本龍一の評価・意見も音楽雑誌などのメディアで広く世間に知られている。
 ただ、「芸術新潮」は芸術の雑誌だけあって、より美術的な側面で坂本龍一が語られている。そういう視点は私は持ち合わせていなかったので新鮮だった。遺作となった「12」をモチーフに、12人の芸術家が坂本龍一について語っているのだが、その中には音楽家は大友良英、カールステン・ニコライしかいない。あとは、別の分野で活躍している芸術家から見た坂本龍一である。その意見は、音楽家という同業者とは違う切り口で語られており、新たな坂本龍一像が見えてくる。少なくとも、坂本龍一を「もの派」の芸術家という考えはこの特集を読むまで私にはなかった意見だった。

12人
#李禹煥 (美術家)
#村上龍 (作家)
#カールステン・ニコライ (音楽家)
#宮永愛子 (美術家)
#宇佐見りん (作家)
#大友良英 (音楽家)
#田中泯 (ダンサー)
#島袋道浩 (美術家)
#アピチャッポン・ウィーラセタクン (映画監督)
#中谷芙二子 (アーティスト)
#岡崎乾二郎 (造形作家)
#大竹伸朗 (画家)

#書籍

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