「無頼のススメ」伊集院静(著)
「今、私は私の足で立てているか?」
私がこの本を読むたびに必ず一度考える「問い」です。
要は「自立した健全な精神を持っているか?」ということを確認しているのです。本書は「無頼」という言葉を意識して書かれています。
著者は「無頼」の定義について、「頼るものなし」と書いています。これは「自分の責任は自分で取れ」「人に左右されず、自分の意思で行動しろ」というメッセージです。
本書はこの「無頼」の観点から、人は社会の中でどうあることがいいのかという一つの生き方の提案をしています。
・何事も経験して慣れる
「世の中甘くない」とはよく聞く言葉ですが、本当にそうだと思います。「簡単に成功」というわけにはいきません。
若くして成功した人には成功するだけの要因と苦悩があります。それをすっとばして成功というわけにはいかないもんです。
社会は甘くないし、組織の中にいれば当然、自分に理由がない無理難題や不条理に遭遇することもあります。確かにそれは嫌な経験です。
ですが、同時に仕方がないと割り切るのも肝心です。
自分を中心に世界が回ってくれればどれだけ楽かと思います。ですが、そうはいきませんし、似たような苦悩を持つ人も探せばたくさんいます。
ですけど、その経験はかけがえのないものです。不条理に耐えた人だからこそ、できることがあります。
経験は自分を裏切ることはありません。長期的に辛い環境にいるのは良くないことですが、短期的に辛い経験をするのは将来への投資です。
その辛い経験がそれ以降の自分の負担を軽くしてくれます。
「チャレンジ精神」「恐れずに経験する」これは大事です。
大体、人は面倒なことはやりたくないものです。ですから、やりたくないことを率先してやることで面倒くさがった人より一歩先に行けます。
「何事も経験」
何かに迷っているときにこの言葉は一歩を踏み出す勇気をくれます。
・所詮は一人
本書の中で何度も出てくるのは「人間、本当はめんどくさがり」という言葉です。間違いありません。みんな楽したいのです。
ですから、組織行動において他者に依存してしまうこともあるでしょうし、過度に期待をすることもあると思います。ですが、これは甘えです。
最低限のリスクヘッジは当然しておかなければいけません。「期待」は人との関係において重要なものです。けれども「期待」を多用すれば、それは「毒」になってしまいます。難しいです。
だから、どこかで「自分の足で立つ」という精神に帰らなければいけない瞬間があります。
書き物をするときの心構えとして、「ライター向けの本」に必ず書かれているのは「読者はお前に興味を持ってない」です。
この初心は大事で、いつまでも心構えだけは謙虚でなければいけないと感じます。
自分の足で立って、謙虚な心構えを持って取り組む。
「信頼」も「期待」もほどほどに、社会において、所詮は一人。
こう思うだけでも生き抜くため、努力の必要性を痛感できます。
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