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眠れないと世界で一人みたいになる・2終

でも一人じゃないと知る


昭和の話だ。
わたし、小学六年生の移動教室の初日。
同室のクラスメートが全員眠り姫になったあとも、眠りの国の入り口に立つことも許されず孤独を深めていたわたし。
その時。部屋のドアがゆっくりと開いた…。

前回の話↓



開いた引き戸から廊下の光が差し込む。

そして、懐中電灯を持った先生が現れた。
部屋の見回りに来たのだ。


その途端、わたしがどうなったか?


立ち上がって、いきなり号泣

である。


せんせい…ヒックヒック(泣)、眠れ、ないんです…ヒックヒック

先生も驚いたであろう。

でも、その後の先生の言葉にわたしも驚いた。
「そうなの? 隣の部屋はまだみんな起きておしゃべりしているよ


実は、わたしは6年生の頃、クラスの気の意思の強い女の子ばかりのグループに入っていた。
正直、違和感しかなく、他のグループに入りたかったのだが、女子グループというのは、一度グループが決まると、カエルがおたまじゃくしに戻ることくらい、所属変更が難しい

隣の部屋のグループは、わたしがしっくり来ていた友達たちで(グループは違ったけど、仲は良かった)、先生に言われてやってきたわたしを「こっちきなよ~しゃべろうよ~」と歓迎してくれた。
とても嬉しくて、楽しかったなあ。

最終的には、元の部屋に戻って眠った。
すぐには眠れなかったはずだが、孤独感は薄れていた。

翌日は、きつい山登りがあった。
へとへとになりながら頂上についたわたしが思ったことは、(睡眠不足の上、ここまで疲れたのだから、今日は早々に眠れなきゃ嘘だよね)ということだった。


わたしは自分を甘く見ていた。

期待は虚しく裏切られたのだった。

また、部屋で一番最後。(疲れでみんな前日よりお早い就寝)
言っておくが、わたしも間違いなく疲れているのだ。眠いという感覚もあるのだ。
でも、眠れない。
二日目も見回りの先生が来た時は起きていたように思う。
ただ、さすがに号泣することはなく、自分が起きていることをアピールすることもしなかった。

みんなが安らかに寝ていると信じた先生はドアを閉め、わたしは他人の寝息を聞きながら、夢の国への迎えを待った。
まあ、一日目よりはさすがに早く眠れたと思う。

しかし、今だに旅先では寝付きが悪い上に早朝に目が覚め寝不足気味だ。
そしてその出発点は、あの日光の夜なのだった。

娘が新生児の頃、娘も寝つきが悪く、わたしも今しかないという隙間時間を睡眠にうまく当てられなかった(疲れているのにすぐ眠れない→そのうち授乳やオムツのタイミングが来る)。
夜の0時に寝かしつけをはじめて、結局寝てくれるのが深夜2時過ぎなんてこともしょっちゅう。
わたしが小学生で、眠れない夜に悲しんでいた真夜中も、どこかで新生児のお世話してるお母さんはいたんだよな、などと思った。


#エッセイ #眠れない夜 #移動教室 #小学生 #昭和 #睡眠 #眠れない #眠れないと世界で一人みたいになる

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