チームにおけるデザイナーの役割 ─ 入社1年目が考えてみた
「WEBサービスの画面とかのデザインしてるわ。」
いま何の仕事をしているのかを友人に聞かれたときに、いつもこう答えながら違和感を覚えていました。デザイナーの役割は画面という表層の見た目を良くするだけではないけどなあ、と思ってはいても端的に伝えられないから言葉にするのは諦めていたのです。
──LIFULLに入社して一年弱、これまでに様々なデザイン業務に携わってきました。本記事では、その経験を基に“チームにおけるデザイナーの役割とは”という問いに対して、自分なりに考えを整理してみました。
チームにおけるデザイナーの役割
デザイナーの役割とは“チームの試行錯誤の精度を高める”ことです。
グラフィックやサービスあるいは建築、ファッションであれ、デザイナーは必ず手を動かして試作します。その行程の中で現状を疑ってかかり、より良くするためのアイデアを得て、また試作して理想に近づいていく。
この営みの肝は思考・アイデアを目に見える、手で触れるようにすることです。そうすることで頭の中で考えるだけでなく、視覚・触覚からも情報を得て、理想に近づくために有益な手がかりを見つけやすくなります。
チームにおいても同様です。見える、触れるようにした思考・アイデアを共有することで、チームメンバーに与える情報量を増やし、チームの試行錯誤を強化できるのです。
百聞は一見に如かず。言葉を連ねるよりも実例を見た方が速いですね。
事例紹介 ─「FRIENDLY DOOR」
LIFULL HOME'Sが提供するサービス「FRIENDLY DOOR」の改修の一部を事例にして具体的に紹介します。
ここでは検索絞り込みヘッダー部分の改修のみ言及します。結果的には下図のように改修が行われました。
Before / Afterの違いだけを見ると些細な変化ですが、直ぐに「これだ!」と決まったわけではありません。ユーザーに最も優しいことを理想として、Afterに辿り着くまでに沢山のパターンを試し、常に現状よりも良いユーザー体験を追求しました。下図では改修部分のヘッダーのみを切り取って表示していますが、制作時には全て実画面に当てはめて検証しました。
[検索絞り込みヘッダーの検証例]
UI(ユーザー・インターフェース)の設計時には“気づき”や“疑問”を含め、初期段階からデザインの進捗を共有していました。実際に見える・触れるようにした上で、チームメンバーにも思考を共有していたということです。その上で先輩社員の方からフィードバックを何度もいただき、議論を重ね、UIの試作検証のサイクルを何度も回すことができました。
[実際に共有した資料の例]
以下は実際に挙げた気づきの一部です。
「そりゃそうでしょ!」と思いそうなことでも改修前のUIを見て、ただ頭の中で考えているだけでは気づかないものです。(もしくは僕が未熟なだけ)
デザイナーという開発側だけではなく、サービスを使うユーザー側の視点・リテラシーも想定して試作を続け、仮説検証を繰り返して気づくことができました。
ユーザーにとって何が理想なのか、理想と現実とのギャップは何か、そのために何が必要なのか、手を動かしながら考える。もちろん外見の魅力や美しさも追求するけれど、構造や仕様などのメタな部分までチームを巻き込んで疑い、より理想に近い状態を常に探り続ける。──それがチームにおけるデザイナーの役割です。
まとめ
あとがき
外見を良くする意味でのデザインだけではなく、事業や施策の上流から携わり、チームや組織をドライブできるデザイナーになりたい。
意思はあるけれど、そのために具体的にどのような行動を起こせば良いのかわからない。ずっとそんな状態にありました。
そこで本記事を書くにあたって、組織の最小単位とも言えるチームの中で、デザイナーの職能を最大限発揮するためには何をすれば良いのか、そのために今の自分が出来ること、あるいはしていたことはなんだろうか、逆にチームはデザイナーをどう使えば良いのか、を考え抜いて書き表した次第です。
また本記事では、あえて「〜と思う・〜と考える・〜と感じる」のような文章表現を極力排除しました。どうせ書くなら僕のデザインに対する考えをこの機会に言い切ってやろうと思ったからです。
結果、自身の考えを自分の言葉でストレートに発信する良い機会になりました。自己満足的で拙い文章ではありますが、この記事から何か得るものがあれば誠に幸いです。
※あくまでもLIFULLという企業ではなく僕個人の見解を述べた記事です。もしかすると的外れなことを書いてしまっているかもしれませんが大目に見てあげてください!
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