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コロナ後の世界 Ⅳ - 「インフレ」「デフレ」どちらに向かうのか?(続編)

 2年半前(2020.5.11)の投稿 コロナ後の世界 Ⅳ - 「インフレ」「デフレ」どちらに向かうのか?|損切丸|note で恐縮だが、「インフレ」「デフレ」どちらに向かうのか?について1つの答えが出てきた。

 国際政治の状況は単純化出来るものではないが、「アメリカ側」と「中国側」で色分けすれば、最新はこんな感じになる  。

 この30年間で進んできた「グローバル分業」の流れが「コロナ危機」と「戦争」で真っ二つに割れ、物価については「アメリカ側」=「インフレ陣営」「中国側」=「デフレ陣営」に分れつつある。
 
 11月の中国CPIが年率+1.6% (← 10月+2.1% ← 9月+2.8%)は衝撃的だったが、中国寄りの国々にも影響が現れてきた。典型がブラジル(11月+5.9% ← 10月+6.47% ← 9月+7.17%)で、実はギリシャ(11月+8.5% ← 10月+9.1% ← 9月+12%)にもその傾向が見て取れる  。

 理由は単純明快。「サプライチェーン再構築」の名の下に「アメリカ側」が「中国側」からの「安い製品」「安い労働力」「安いエネルギー」を閉め出してしまったからこれで「中国側」は景気が悪化し、モノが溢れかえることになる。つまり「デフレ」

 これに中国の「不良債権問題」が重なり状況は悪化。銀行危機に繋がるため、いかに独裁国家といえども身動きが取れない状態。大卒の仕事もろくに無いし「借金」返済がままならない債務者も増加大規模なデモが勃発しているのもこれが根本原因だろう。CPI急落1990~2000年代の日本のバブル崩壊時に酷似する事態を示唆している。

 本来中国は「利下げ」が必要な状況だが「借金」が大きすぎて「資金繰り」が苦しく、米国債を大きく下回る金利に下げられない。結果「実質金利」は高くなり、金融引締め状況が強化されている。ブラジルも同様

 FXにおける「金利差相場」が本当なら「人民元高」「レアル高」になりそうなもの。だがかつての日本がそうであったように「デフレ」傾向の国に「通貨高」は最悪。その結果悪循環に陥る懸念があり、単純に「金利差」だけで「通貨高」とはならない

 そこへアメリカのリセッションが重なれば最悪「世界同時不況」だ。ただこちらは「中国側」とは逆の理屈でモノも労働力も不足する「構造インフレ」早く「利下げ」に転じれば良いというものでもないFRBはまさに "Walking on the tight rope" (綱渡り)を強いられており、「利上げ」「利下げ」を成功させるのはほとんど曲芸の世界だ。

 そういう米中の苦悩が現れたのが先日のG20”威厳” を示すためにいつも仏頂面だった習氏が薄ら笑いで握手している様がなんとも不気味だった。銀行危機も含め、余程内情が厳しいのだろう。「アメリカ側」に対しかつてと同じような "商売" を開始したくてウズウズしている。

 バイデン米大統領も本音を言えば元に戻したいはず関税引き下げを言い始めたのも「戦争」を終わらそうとしているのも「インフレ」を緩和したいから。このまま「利上げ」だけで「インフレ」抑制に動けば景気の "Over Kill" が起きるのは確実。

 だが内外の政治状況はもう後戻り出来ず、米中ともニッコリ笑って仲直りとはならない。「戦争」を二度と起こさせないためにも「アメリカ側」はここが踏ん張り所「グローバル分業」に戻ることはなく、あくまで「お金」で片を付けようとするだろう。つまり「インフレ」が恒常化する。

 日本では コロナ後の世界 Ⅱ - これから起こりそうなこと。|損切丸|note で書いた:

 ・(お弁当などの)割り箸がなくなって「マイ箸」持参が常識に
 ・「100円ショップ」は「200円ショップ」に
 ・@990円のシャツは@1,990円に値上がり
 ・スマホは「Made in India」に
 ・ジェネリック医薬品は減少もしくは廃止
 ・観光、百貨店等インバウンド関連施設は縮小へ。カジノ構想は頓挫

 ジェネリックの薬品会社が倒産したり、かなり現実化しつつある。今後数年この流れは変らないだろう。十分な「賃上げ」がないと日本は苦しい

 ”電力大手5社「規制料金」値上げ申請”
 ”来年4月から平均で東北電力は32.94%、北陸電力は45.84%、中国電力は31.33%、四国電力は28.08%、沖縄電力は43.81%の値上げを申請”

 このニュースを見て違和感を感じなかっただろうか。マーケットを見ると、WTI(NY原油先物)は@120ドル台から@70ドル台前半に下げ ↓ 、ドル円もピークの@152円台から@136円台まで下落「値上げ」どころか「値下げ」があってもおかしくない

 まあこれが ”理想の社会主義国”  "不思議の国・日本” の本領発揮なのだが、お米も電力も「値段」を国が決めているため、マーケットの動きをタイムリーに反映しない。確かに*この半年、電力会社は大赤字に陥ったがそれを後から徴収する形になっている。一時が万事、全てこの昭和的「統制経済方式」なので、金融政策も含めマーケットに沿った政策が打てない

 *膨張する防衛費を賄うのに「増税」か「国債」かで揉めているが、国民にとってはどちらも同じ税金をすぐに徴収するか「借金」で先延ばしにするかの違いだけ。本来の「税の使い道」=支出の議論がスッポリ抜け落ちているこんなことを続ければ国民負担は増すばかりだ。

 何れにしろ「アメリカ側」の日本では「デフレ」時のような「待てば値段が下がる」状況は当面訪れない国からの「取り立て」は厳しくなる一方なので、せめて必要なモノ、特に値の張るモノは「値上げ」前に買っておきたい数年単位で考えると数十万、数百万円単位で家計支出が変ってくる

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