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「お金」の価値 - "一度一方向に走り出すと止まらない日本人"

 ”ドル円も日経平均もS&PもWTIもBTCも…何でもかんでも「上がる」相場が筆者の頭の中で「アラーム」を鳴らす”

 悪い ”胸騒ぎ” |損切丸 (note.com) について筆者自身もその理由を自問してみた。1つの結論が、人々、特に1,000兆円もの「預金」を抱える日本人が「お金」の価値に目覚めてしまったことが原因ではないか

 生活がつらい ≓ 「デフレ」

 半年前ぐらいまでは「お給料」が上がらない生活苦を「日本はデフレ」と言い張って聞かない一派が存在したが、さすがに消えつつある。「失われた30年」=「デフレ」では支出を抑えて我慢すれば持っている「預金」の価値は上がったが、令和の今そうはいかなくなった。我慢して待てば待つほど生活は苦しくなる一方。そう、これが「インフレ」。経験がないから戸惑っていたのかもしれない

 「新NISA」は導火線だったのかもしれないが、こんなに早く日経平均が@38,000円に到達(場中)とは…。 "一度一方方向に走り出すと止まらない日本人" の面目躍如か(苦笑)。とにかく自ら動かないと「インフレ」を克服できないという意識がこの日本でもやっと芽生えつつある

 さすがの ”我慢強い日本人” も「インフレ」に「円安」「増税」と重なれば堪忍袋の緒が切れよう「法定通貨」=「円」を嫌って株や不動産に「お金」が流れるのは自然とも言える。世田谷区の端っこにある筆者の自宅周辺でも古い家が取り壊されて更地になったと思ったらあっという間に新築の家が建つ「お金」を「モノ」に変える典型

 欧米:「お金」は借りるもの
 日本:「お金」は預けるもの

 「インフレ」が骨の髄まで染みている欧米では物価に見合わない「金利」は定着しない日本のような「低金利」が続けばガンガン借りるからだ。株でも不動産でも物価に見合う値上がりが見込めればその方が得。彼らにとって「お金」は借りるものであって銀行に預けておくものではない

 30年も「デフレ」が続いた日本では「預金」の価値が膨らみ続けたわけで、なかなかその癖が抜けない。これは高度成長期で「土地神話」を信じた昭和世代が「住宅ローン+自宅」スキームから抜けられなくて地獄を見たことの裏返しでもあり、一度根付いた”恐怖”を払拭するのは大変。特に ”皆で渡れば怖くない” 日本人はどうしても一方通行になる

 現状を「しめしめ」とほくそ笑む一団がいる。日米欧の財務当局だ。「リーマンショック」(2008)~「コロナ危機」(2019~2022)と空前の財政支出を迫られ、世界の総債務は約4京円にも膨張。もう「増税」で穴を埋めるのは不可能で「インフレ税」に打って出ている。だから今の「インフレ苦」は彼らの狙い通りでもある。「お金持ち」は「投資」で逃げ切れるが、我々一般庶民は置いてけぼり貧富の差は拡大の一途

 だが ”好事魔多し” 。何事にも「限界」が来る。「インフレ税」であまり調子に乗っていると必ずしっぺ返しが来る。政治的には政策与党が選挙で苦戦していることがあるが、やはりメインは「金利」。今の欧米の「逆イールド」や日本の「超低金利」には違和感を感じざるを得ない

 「インフレ」≓ 貨幣価値の低下なので株や不動産の名目値が上がるのは当たり前「金利」が物価を上回って上昇しない限り「モノ」に「お金」は流れ続けることになる。PER(株価収益率)や「イールドスプレッド」から割高感があっても溢れた「お金」は「金利」≓「預金」「債券」には戻らない

 それでも ”青天井” の相場はない

 「いつも買う相手」のいる有り難み - 今度は「インフレの免罪符」 |損切丸 (note.com) の間 "エルドラド" (桃源郷)は続く。だが「新NISA」でもいつか "弾" は尽きるわけで株高も「円安」も必ずピークが来る。おそらくきっかけは米国債やJGBなど国債市場が主導する「金利」の反騰になる

 今でも@4%台のドルMMFに「お金」が流入し続けているのがその証拠「お金持ち」の立場になれば、ここまで株価が上がれば無理をする必要も無い。2年以内の米国債で@4%以上の「金利」>物価(CPI)が確保できれば十分10年超なら@5%を超えれば買いに動くだろう

 「モノの値段」にも「限界」がくる

 例えば最近トルコ産のオリーブオイルが輸入されているが、これは*「リラ安」が生んだ ”成果” 。同じ地中海に面しているのだからユーロ建のギリシャ産やイタリア産に対して競争力が出てきた10年トルコ国債金利が政策金利を▼20%を下回る凄まじい「逆イールド」を示しているのがいい例で、その理屈で言うと「リラ安」も「限界」に近いのかもしれない

 *中国、ロシアはちょっと事情が違う。いくら「通貨安」になっても「サプライチェーン」から外れているためそのメリットが生かせない。それどころか国内から「お金」が逃げ出すのを防ぐのが精一杯で「利下げ」も出来ない「お金持ち」は "足" が付きやすい「ドル」や「円」の代わりに分散型のブロックチェーンを利用してビットコイン(BTC)等に換えているとの指摘もある。これはいつ没収されるかもしれない「人民元」「ルーブル」に対する不信感から来ており、一種の「インフレ」とも解釈できる

 これだけ日本に観光客が押し寄せるのもそれだけ「価値」があるからで「円安」の「限界」を示唆しているとも読める。筆者がドル円@90円台でハワイに行った時に「何でも安い」と感じた事の真逆。「キャリートレード」や「新NISA」で膨張している「円安」分は差し引いて考える必要があろう

 これで ”胸騒ぎ” の理由は少しはっきりしてきた。問題は金融当局、特に日銀がどこまでダラダラと「利上げ」を遅らせるか「インフレ税」に固執し過ぎれば「金利急騰」というしっぺ返しを喰う確率は高まる10年JGBが@3%を超えてくれば十分買う「価値」があるが、大概そういう時は個人も金融機関もスッカラカン。その時に手元に「お金」を残していおけるか...。この日本ではかなり難しいことでもあるが「最後に勝つ」ためには一種の "異端児" ≓ ”天邪鬼” でなければならない。道のりは険しい

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