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"助け合い" で生きる日本人。 ー 「貧しくなった日本」の正体。

 「また次の職場探すよ」

 外資系では良くある、いわゆる ”Lay-Off” (首切り)の光景。日本企業に勤めていると恐ろしげに感じるかもしれないが、首を切られた本人は意外とサバサバしたもの。むしろ新しい職場に向け前向きでさえある

 元・同僚のイギリス人が言っていたが、1970年代の不況のどん底からイギリスが復活した最大の要因は「雇用の流動化」。つまり首を切りやすくしたことで逆に人材の流動化が進み、金融を中心に産業が復活した。反対にドイツが苦労したのが「強すぎる労働組合」だったという。多分に手前味噌もあろうが、ひとつ真実を突いている。

 さて「貧しくなった日本」と世間は大分喧しくなってきたが、イギリスドイツ、あるいはアメリカを参考にその原因を考えて見よう。

 根源は日本人特有の "助け合い" の精神

 圧倒的に多い「東京の飲食店数」↓ から伺えるのは、 ”広く薄くみんなで分け合う” という考え方。だからサービスを提供する側も利鞘を削ってでも
「値段」を安く
しようとするし、多くの人が給料が安くても我慢する。「和をもって尊しとなす」 ー 肩を寄せ合って暮らす日本人の様だ。

 「雇用」給与を増やすより雇用者数を維持する方に傾きがち。日本同様雇用流動化が課題のドイツでは、「強すぎる労働組合」をバックに公務員もごみ回収拒否など強硬なデモで「賃上げ」を要求日本とは真逆である。

 「雇用」の "助け合い" も、為政者や経営者に労働者に対する “リスペクト“ (Respect、尊重、敬意)があってこそ批判の槍玉に挙がっているのが*「非正規雇用者」で、その派遣元の会社のトップについたT中氏が ”中抜き” などで随分叩かれている。労働組合への参加率が17%まで落ちている日本では交渉力も低下し、「雇用流動化」の掛け声の下、 "助け合い" の精神が悪用されている。日本人は「お金」に関してもっと声を上げていい

 ある記事で見たが、平均時給:正規2,500円 非正規1,660円 パート1,050円、で日本ではこれが時間をかけて正規 × 2+非正規 × 1=平均2,220円 → 正規 × 1+非正規 × 1+パート×1=平均@1,737円のように変化してきたという。これはT中氏が唱えた「生産性向上のための雇用流動化」とは似て非なるもの”我慢強い日本人” の悪用である。

 さて "助け合い" の精神というといかにも ”美徳” に聞こえるが、裏を返せば ”強い嫉妬心” が発露する。日本での「平等」は「同一」=「皆が同じ」である事だが、欧米の「平等」は ”Fair”機会の平等と共に、結果に沿って ”Fair” に「お金」が分配されることを指す。「皆が同じ」ではない。

 「越後屋、お主も悪よのぉ」「お代官様もお人が悪い」

 良くある時代劇の一コマ。日本では「お金持ち」= “悪” のイメージが強い。法律違反は駄目だが** “越後屋” も “お代官様” もその地位・財を築くにはそれなりの努力、苦労があったはず。それを一方的に “悪” と叩くのはどうだろうか株や不動産で儲けた人を叩くのも同じ心理だろう。

 **特に今のように「インフレ」だと ”儲ける” よりも「お金」の目減りを防ぐための「投資」が必要。そこにはそれなりの研究・勉強が必要で、アメリカイギリスなら賞賛されこそすれ批判されるいわれはない「現金」を持ったまま資産を減らして他人を羨むのは「お門違い」というもの。

 「悪用」も人手が余っていたから可能だったわけだが、これから本格的な「人手不足」に突入するとさすがの日本も様相が変わるだろう。大手企業が自主退職の募集を増やしているのがいい例で、法律で出来ない「首切り」を埋めるためのアクションと考えていい。

 企業にとっては高すぎる人件費を削れば「分配」できる「お金」も自由度が増す。自主退職した人も第二の人生を踏み出せる。人の入替が頻繁に起これば真の意味で「雇用の流動化」が促進され、「人手不足」なら若い世代を多く登用すれば良い8百万人もの「団塊」の壮大な入替が起き始めており、これが「シン・日本」の起爆剤になる(期待半分。苦笑)。

 思えば中国アジア諸国はこの30年間日本の背中を追ってきたが、その過程が「円安」を伴って終わりつつある。いくら日本特有の "助け合い" の精神といっても、欧米との差がここまで開けば「雇用」も含めた「日本買い」が徐々に顕現化するだろう。安くて勤勉な労働力は魅力的なはずだ。

 「安くなり過ぎたものには必ず買いが入る」

 これがマーケットの鉄則。例えば日経平均にしても、企業業績もそこまで悪くないのに年初来+4%で、「円安」分の▼10%もカバー出来ていないのは違和感がある。NYダウやナスダックが+20%近く上昇しているなら尚更だ。今日(12/13)出た日銀短観大手製造業のDIが先行き12月+18 → 3月+13と悪化しているが、そもそも+10台は悪くない

 (時間軸は別として)低すぎる金利も必ずあるべき金利まで戻る「フラットニング」(e.g. 短期債売+長期債買)や「日本化」の影に怯えて激しいアップダウンを強いられている米国長期債トレーダーは本当にご苦労だが、ここが踏ん張り所***本筋の「インフレ」→「資産価格上昇」→「金利上昇」のルートに戻りそうな気配もある。

 ***その後「金利上昇」によって株などから金利資産へ「お金」の逆流が始まるだろうが、それはあるべき金利まで上がってからの事。現段階でそこまで神経質になる必要はない。まずは金利動向をきちんと見極めること。

 **** "助け合い" は大事だが、自分の “安売り” は避けて欲しい。特に若い世代の方々、貴方達の価値は貴方達が思っている以上に高いアメリカ人のように「お金」にガツガツ行くのは無理でも、間違った「平等」に流されず ”Fair” な「お金」を勝ち取って欲しい

 ****「投資」で言えば、大事な「お金」を「実質マイナス金利」に「投資」するのは “安売り” そのもの。今はまさに貴重な「 “お金” の体験授業中」で、「預金」は「インフレリスク資産」と十分自覚すべき



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