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"他人の不幸は蜜の味” ? 日本人の思考回路

 年男「損切丸」の辰年が明けました。本年もよろしくお願いいたします

 まあ休んでいるのは日本だけで、海外市場は既に開戦。New Year のっけから飛ばしているのがビットコイン(BTC)等暗号資産。良くやるなあ、と感心しつつも2024年に賭ける業界の並々ならぬ意気込みは感じる。

 ”これで大儲けした人、いるのかなぁ…”

 多くの日本人がまず抱く感情がこれ。欧米なら ”あぁ、買っとけば儲かったのに!” と「自分事」で考える。だが日本人は「他人」が気になって仕方が無い嫉妬心が深いとも読める

 ネットで読んだ「ゲーム理論」の話が面白かったのでご紹介しておこう:

 ①A、Bでペアを組む
 ②各々1,000円ずつ配る
 ③双方で供託した金額の総額×1.5倍が配当される
 例1 A.1,000円+B.1,000円=2,000円×1.5倍=3,000円がA、Bに配当
 例2 A.0円+B.1,000円=1,000円×1.5倍=1,500円 → 持ち金 A.2,500円(1,000円+配当1,500円)>B.1,500円
 例3 A.0円+B.0円=0円×1.5倍=0円(結果)持ち金A、B1,000円のまま

 こうやって字面で読めば例1=1,000円ずつ出し合うのがもっとも合理的で一番儲かる。だが日米の大学で研究した結果、6割以上の確率で日本人はそうはならないという。傾向としては「どうやって供託金を減らして相手より持ち金を多くするか」に執着する。なかなか興味深い考察である

 Z世代の娘の答えは明解:

 「相手と話が出来るなら説得して1,000円ずつ出し合う」

 だが昭和~平成世代は違う受験戦争出世競争に晒されていつも「他人」との比較が考え方の主流。だから "他人の不幸は蜜の味” 「他人」が失敗したり損したりするのを喜ぶ。それもこれも元凶は「減点主義」にある

 相場の仕事をしていて邦銀から英銀に転職した筆者が最も違いを感じた点だ。個々のトレーダーや調査能力では、はっきりいって外資の東京支店は大手邦銀の本店には遠く及ばない。だが蓋を開けてみると「収益力」で邦銀が劣るのはこの*「他人」比較「減点主義」が大きな阻害要因だろう

 *収益を比較する時よく用いられた尺度が「他店比較」「他地域比較」「他行比較」JGBで▼1,500億円損をしても、他行が▼2,000億円やられていればOK。下手をすると褒められたりする。これをロンドンの同僚に話したらジョークだと笑われた。▼1,500円の損は▼1,500円の損。外資なら担当役員やトレーダーの "首" は免れない。例え競合行がどれだけ損していても

 この「ゲーム理論」が面白いと思ったのが「失われた30年」「ゼロ金利政策」にピタリ当てはまるから。「配当」をみんな平等に「ゼロ」にしたことで「お金」を出し渋り30年も「持ち金」が増えなかった日本。その間に「配当」を求めて「供託」=「投資」をしてきた海外と差がついてしまった

 これは日本がある程度豊かになった弊害でもあるが、比較・競合の対象が「国内」一辺倒になってしまった。これが 2023年は「社会大変革」の年 - 貯まりに貯まった「失われた30年」の "膿" |損切丸 (note.com) となって一気に噴き出した。近年の「円安」も起るべくして起ったといえよう

 そもそもZ世代はSNSを通じて「ボーダーレス」(Borderless)。筆者の娘がそうであるように考え方は非常に合理的だ。この「ゲーム理論」で示された "日本的なモノ" からはドンドン遠ざかるのは間違いない。その点は希望の光も見えてきている。あとは「ゲーム」の「ルール」を司る行政=政治が設定を間違えないことに尽きる

 元旦から大地震・津波に見舞われたり飛行機が爆発したりとショッキングな出来事が続く日本だが、さすがにこれだけ悲惨だと "蜜の味” より "助け合い" 。その「和」の精神や良し。「東北大震災」の当事者だった筆者としても、2024年はこれが最悪であって欲しいと祈るのみだ

 願わくば「お金」も「投資」も「相場」も「自分事」で臨みたい。 "他人の不幸は蜜の味” だけでは一銭の足しにもならないからだ。政府に対する要望もそうだが、日本人はもう少し「自分本位」でいい。 日本人はもっと「お金」に拘っていい。 ー 「清貧思想」の呪縛からの開放。|損切丸 (note.com) 年初に当ってそういう思いを強くする

 

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