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消えゆく?「100円 ”均一” ショップ」。

 「あれっ、これ300円?」

 某大手「100円ショップ」で見かけた商品が@300円@200円というのもある。一部「100円 ”均一” ショップ」で頑張っているチェーンもあるようだが、どうも消えゆく運命にあるようだ。

 (参考)4/18 コロナ後の世界 Ⅱ - これから起こりそうなこと。 ↓ 

 4月時点ではグローバルチェーンの再構築で中国から安い商品が入らなくなることに焦点を当てていたが、根源にあるのは国内の「人件費の上昇」

 「こんなコロナ危機時に何言ってんだか」

 こういうご意見もあろうかと思うが現実は違う。こんな未曾有の経済危機下にあっても、特に非製造業で人手不足が深刻だ。それは最新の日銀短観(12月)数字で表れており、かなり信憑性が高いはず。 ↓

 いや「パンデミックだからなおさら」とも言える。例えばスーパーのレジ打ち感染のリスクも高く、訳のわからない客のクレームまで対応しなければいけないのにあんな安い給料では割に合わない医療従事者の退職が相次いでいるのも同じ理由だろう。仕事が大変になったのに給料を下げられたのではたまったものではない。働いている人々の気持ちが持たないのは当然。

 おまけに海外、特に中国や東南アジアの国々は急成長を遂げており「人件費」が急騰。今やコスト・手間をかけてまで「低賃金」の日本で働く必然性は失せているシンガポールバンコッククララルンプールマニラ等選択肢がたくさんあり、ベトナムも急追。今の「低賃金」では彼らは日本の労働力の助けにはならない

 そこへまた神経を逆撫でするような物価統計指標

 11月消費者物価指数 前年比▼0.90% 前月▼0.40%

 今、物価が下がっている生活実感があるだろうか? そう、これは「GOTOトラベル」マジックである。政府が巨額の補助金を投じて ”▼30%以上下がった旅行代金” をカウントしたから。*経済学の先生方はこれを許容するのか?「物価」が下がった訳ではないだろう。

 声を上げないのかマスコミが取り上げないのかは不明だが、これは確信犯。その「カラクリ」については 11/21 日本式「減点人事考課」について考えてみる。↓ をご参照頂きたいが実態を反映していない。「学術会議」の任命問題などを騒ぎ立てるよりも、こういう「賃上げ」に直結する大事な指標にこそ声を上げて欲しい

 「無理は通っても無理」「損切丸」座右の銘)

 マーケットというのは面白くて、こういう「矛盾」を絶対に見逃さない。筆者がマーケット関連の話が好きなのもこの点が大きい(だからこんなに note. も書ける。笑)。ここで「実質金利」の問題が浮上する。

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 日本人以外でこんな日本式「カラクリ」を知る人はまずいない。経済指標は全て ”正しいもの” として相場を仕掛けてくるが、その時に鍵となる要素の1つがこの「実質金利」。要は目に見えている「名目金利」に物価要素を加味して、その国の金利が "真の意味で高いのか低いのか" を計ろうとする考え方で、特に為替市場において大きな意味を持つ。

 10年国債実質金利 アメリカ@▼0.39%-日本@+0.77%=▼1.16%

 「実質金利」の世界ではアメリカの金利は日本より▼1.16%も低く、これではドル円は買えないドルの「名目金利」が上昇傾向にあるのにドル円がずるずると「円高」に向かうのはこのせいだろう。まるで ”万有引力”

 そして「金利」「円高」に深く関与している部署が同じ「財務省」内にあるのは何とも皮肉ではある。国債を管轄する「理財局」と為替介入などを担当する「為替市場課」(通称.「為市課」(ためしか))だ。省内で「理財局」は "出世街道の王道" と言われる部署なので発言力が強く、**「低金利」>「円高」となるのだろうが、過去にもこの ”矛盾” を市場に突かれて何度も煮え湯を飲まされてきた

 **最大の ”失敗” は「バブル」とその後の崩壊だろう。1985年「プラザ合意」後の「円高」対応で「利下げ戦略」に財務省が乗っかったが、景気回復時の不要な利下げは「バブル」を生んだその後の「失われた30年」はご覧の通り。目先の利払い減額に拘った結果、もの凄く高くついてしまった。日本の “転勤・異動文化” も悪い方に働いている。

 こういう話になるといつも政治や霞ヶ関が表立っているが、 ”黒幕” はいつも「経済団体」であるこの30年ずっとそうだが、「デフレ」「物価下落」は企業にとって居心地が良い賃金を上げなくていいからだ

 特に大企業は5年単位で変わる「サラリーマン社長」が主なので、自分の在籍時の業績だけを考えるようになる一番手っ取り早いのは「コストカット」でその中で最も大きいのが「人件費」である。この辺りを政権与党とがっちり手を組んできた結果が200兆円を上回る「剰余金」であり、国としての発展は犠牲になった。厳しく言えば日本企業は弛んでいたのである。

 だがこれも今回のパンデミックが大きく変えてしまいそうだ。今生き残っている企業やお店はいずれも「高付加価値」のものばかり。冒頭の「100円ショップ」の話で言えば、もはや消費者は「安さ」だけを求めてはいない。多少高くても良いものを求めるようになってきており、@100円で価値のない物より、@300円でも良い物を、という意見も多い。「安さ」より「安全・安心」を求める消費者も増えている。

 加えて「人材確保」の面で「コロナ後」に大きな変革期が訪れるだろう。今でも非製造業を中心に人手が足りていないのだから「コロナ後」は推して知るべし人件費はもっと上がり、今従業員を切るだけで生き延びようとしているところは大きなしっぺ返しを喰うはずだ

 企業、店舗が大幅に整理縮小されるため、これまでよりサプライサイドが価格統制力を持つようになり「値上げ」もし易くなる日本経済も「インフレ型」に大きくシフトすると筆者は見ている。米国債金利が上がってきているのはその ”序章” であり、日本もあとはタイミングの問題。「無理に押さえ込んだ低金利」の反動が必ず来る。

 日銀も財務省も官僚は有名大学卒の俊英ばかりだから「損切丸」が言っていることなど百も承知だ。だが彼らは自分達が勤めている期間を無事にやり過ごし「出世」するのが主目的。だから政策に一貫性がない。本当に「能力の無駄使い」だと思う。 ”人事考課” を中心に組織の見直しを進めればまだまだ戦えるのに...。「日本人」の1人としてつくづく残念に思う

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