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見えているものが全てではないⅡ。ー 「情報」の中に潜む ”都合” ”切り取り” ”忖度” 。

 続・見えているものが全てではない。ー 偽りの「ルーブル高」「逆イールド」。|損切丸 (note.com) からの続編。

 銀座の某有名店で店員が漂白剤入りの "お水" を出して大騒ぎになっている。確かにこれはどんな事情があるにせよ、許される事ではない。だがその後客も店員も「処理水」問題を煽ったお隣の国の人という「情報」が流れ、一部メディアで「ヘイト」にまで言及。これではもう何が何だか…。最悪 ”当たり屋” の可能性すらある。

 とかく「情報」は見極めが難しいSNSを使って他国の意見や風潮を曲げようとする部隊が存在する国もあるなら尚更だ。「正義感」に駆られてガンガン書き込む人達がいるが、 "FACT" (事実)を見極めないと煽る側の思う壺「情報」のアクセスには慎重さが求められよう精緻なフェイク画像や動画もあるだけに「お金」のかかったマーケットでは特に要注意。読む時も書く時も出来るだけデータなど具体的な裏付けを取るようにしたい。

 今「損切丸」が注目しているのは原油価格の突然の急騰一時@70ドルをを割り込んでいたWTI(NY原油先物)は1か月半足らずであっという間に@91ドル台。いくらサウジが生産調整しているとはいえ、それだけでは実現不可能だ。関連で筆者が気になっているのが ↓

 ・アメリカとイランが「囚人」を交換、凍結していた60億ドルを返還
 ・ウクライナ戦争「停戦」に向けての "裏" の動き
 ・日本の「エネルギー補助金」
 ・中国の「スタグフレーション」リスク
 ・G20で提唱されたIMEC(インド・中東・欧州経済回廊、India-Middle East-Europe Economic Corridor)

 筆者が記者さんとお付き合いして驚いたのは、我々の知らない "FACT" を相当掴んでいる事ただその内の大半は書けない、か、書かない。前者の場合は裏付けが取れなかったり出自が怪しい時であり、後者の場合はやばいネタ ≓ 書きたくても書けないケース我々が目にする記事やニュースは氷山の一角であり、多くは ”都合” ”切り取り” ”忖度” に支配されている

 例えばWTI急騰と筆者の類推 ↑ を直接結びつける記事は存在しない。だが投資銀行の中で売買いしていた立場でいうと、隠れた "FACT" が相場を主導する場合がほとんど。今は「コンプライアンス」(法令遵守)が厳しく「情報漏洩」「インサイダー」は後ろに手が回るので ”スパイ・ディール” は難しい。だがプロが表に出ている記事を材料にする事はほとんどない新聞に載る時には、その "FACT" はマーケットで既に終わっているからだ。

 シェールガスの増産で今やアメリカも立派な産油国原油価格が上がって困ることは何もないIMEC ↑ の動きを見ると、既に中国を見限っている国が増えており国産EV(電気自動車)100%に舵を切るなら電気の元になるエネルギー価格を上げてしまえ、という結論になる。採算割れ分岐点が@70ドルというサウジに対する政治的配慮もあり、アメリカが原油価格上昇にGOサインを出したのだろう。メジャーが動けばそんなことは容易い。

 だがやり過ぎて中国が深刻な「スタグフレーション」に陥れば相当の返り血も浴びる中国依存の激しいドイツはマイナス成長が確実視され日本も似たような状況。どこかで落し所を見つけたいのが本音だろう。だから最近米中高官の接触が増えている。めっきり報道が減った事から察するに、ウクライナ侵攻「停戦」を交換条件にしているのではないか。

 ちなみに原油価格急騰と日本のCPI、更には日銀の金融政策を考えると、仮にエネルギー価格上昇で総合CPIが+4%台に跳ねても、コアが低下に転じれば日銀の「利上げ」は遠のく。これは米CPIも同様で、原材料価格が上がっても「人件費」が落ち着いてコアが低下すれば「利上げ」を休止できる。なぜなら*商品価格には「需給」メカニズムが働き、価格が高過ぎれば「需要」を抑制して価格が下がる「利上げ」でどうこう出来はしない

 *日本のように「補助金」で小売価格を下げるやり方は最悪「需給」メカニズムが働かなくなるからだ。どのみち後で「増税」で賄うのだから、これでは税金をアメリカに上納しているようなもの。エネルギー資源に乏しく、安全保障で守ってもらっている立場上やむを得ないのかもしれないが、本来「補助金」ではなく代替エネルギーの開発に向けられるべき。この国の長年の懸案でもある。これは巨額の「補助金」をEVに出している中国も同様で、これでは足元を見られるだけ。

 「コンプライアンス」もあるし大変な時代になった。銀行や証券会社に帰属するエコノミストやストラテジストはさぞや窮屈だろう。SNSやメディアを通して「情報」が氾濫しているが、その裏に潜む ”都合” ”切り取り” ”忖度” も考慮しなければ "FACT" は見えてこない。国際情勢も複雑化しており、「探究心」「好奇心」、そして「何か変だな...」の "気付き" が肝要。疑り深い人間になってしまう副作用はあるが(苦笑)。

 一見関係ない事象を結びつける想像力は現状「AI」でも限界があり、相場の世界ではまだまだ「人」の介在余地がある。犯罪捜査同様 ”状況証拠” を集めて最後は「エイヤッ!」売りと買いで50%のはずの相場の確率がそうならないのは、 ”証拠” をどこまで詰めたかの差「損切丸」でも見落としがないよう、諦めずに粘り強く追っていきたい。

 今マーケットの最大の焦点はお隣の巨大な「灰色のサイ」アメリカの ”忖度” の甲斐無く倒れると筆者は見ている。何しろ「借金」が多過ぎる日本への影響は不可避だが、同時にこれは最大のチャンスでもある。日経平均JGBの相場がその行く末を指し示すことになる。

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