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「CPIの誤謬」。- 日本で「賃金」が上がらない理由。

 10/28 首相会見「物価を▼1.2%引き下げる」...???

 「将来の "お金" が無い」の深刻度。- 「長生きリスク」にどう対応するのか。|損切丸|note 

 「CPIさえ下がれば庶民の騒ぎは収まる」

 そういうたかをくくった態度が見て取れる。 "技術" 的には2022年度の補正予算29兆円で電力会社へ「補助金」を出すことに起因しているが、この "技術" が曲者経済効果は一人当り29万円の「給付金」と一緒だが、本来物価やCPIとは全く関係がない。 

  ”リアル” な体感物価は+6%を超えている ↓ 。

 4/7「生活意識に関するアンケート調査(2022年3月)」(日銀):
  ”消費者が実感する物価上昇幅” (回答者平均)= 前年同月比+6.6%
 2008年12月(同+10.22%)以来約13年ぶりの高水準

 (参照): CPIの「低め誘導」。ー お給料も年金も国債金利も全て「低め」に。|損切丸|note

 これと似たような "CPI操作"ここ数年頻発。代表例が「GOTOキャンペーン」だ。これまた政府による「補助金」で ”見た目” ▼30%以上値引きされた旅行代金がCPIに算入され、▼1%も名目値を引き下げた

 ” iPhoneは2009年以来▼20%以上値下げされている "

 ??? うちの奥さんが iPhone 利用者で買換えを考えているが、14万円を超える14シリーズが高過ぎるので今と同じSE(8万円前後)を検討中。ところが、総務省のCPIの中では値下がりしているらしい(苦笑)。

 これは「機能性評価」という "マジック" で、新製品などで付加価値が上がった分を「値下がり」と判定している。自動車や他の機械製品でも同じなので新商品を出し続ければ「値段は上がらない」?

 この他にも「帰属家賃」で、建物劣化で年平均▼1%下がる家賃が5年後に同じなら、米国式CPIでは+5%になる。これも日本では扱いが違うようだ

 ここまで ”リアル” な物価と開きが出ると「CPIの誤謬」と言える状態。これを政府や首相が大手を振って通そうとする点に、この国の病巣の根深さが覗える。当然 Beneficiary(受益者)が存在する。今なら:

 財務省と現・日銀総裁(低金利)と企業経営者(低賃金)

 「補助金」の企業向け給付を「物価引下げ」に転換するアイデアはどこかの ”賢い” 官僚が政治家に進言したのだろうが、はっきりいって浅知恵。それどころか「失われた30年」の根本原因となっている。日銀総裁「来年のCPIは+1~2%に低下する」と根拠不明な発言をしているのも、ひょっとすると「CPIなどどうにでもなる」の裏返しのようで訝しい。

 これはCPIに限らず、建築物の構造計算データ改竄自動車の検査不正、食品の産地偽装も全て根っこが一緒目先の "都合" を優先させ問題を先送りした結果、ツケが大きくなった。CPIの場合は「利上げ」が遅れ、とんでもない「円安」となって返ってきた

 昭和の高度成長が前提となって組まれている日本経済「賃金」も「年金」も全て物価=CPIに連動している。だが20年もの「デフレ」を経て「お金」に窮した政府も企業も「低物価」志向に陥ってしまった

 2016年以降、人手不足による人件費上昇で「インフレ」に転じた時 ↓ モデルチェンジ出来なかった。それが "操作" に走らせた原因だろう。

 日本は仮にもG7の一員であり「市場主義経済」を標榜している。「信用」を基準に動いているマーケットで「嘘」は御法度。給料も上がらず「失われた30年」はある意味「嘘」の代償であり*マーケット軽視の報いでもある。

 * 「公的マネーが大株主 8割」 ー 日銀・GPIFによる「株買い占め」。なぜ今更 ”表沙汰” にするのか?|損切丸|note なんていうのはやはり異常であり、市場レートを固定する「国債無制限買取オペ」は明らかな禁じ手「戦争」を仕掛けている独裁国家のように市場取引を制限するならいざしらず、日本にとっては「弊害あって一利無し」

 CPI「損切丸」のシリーズになって来た感もあるが、その甲斐あって(苦笑)国内の雰囲気も大分変ってきた。こういう「嘘」「操作」に気付いてきており、来年春闘の「賃上げ」要求もCPIの+3%ではなく「体感物価」に近い+5%を目指すという。気が付いていようがいまいが、このままでは #政府に殺される

 29兆円の補正予算と同時進行で:

 「年金の受給開始年齢を70歳に引上げ」
 「年金支払期間を40年→45年」
 「国民保険料上限、2万円引上げ」
 「75歳以上の医療保険料引上げ」

 こんな事をしれっと言われたら、羊のようにおとなしい国民でもさすがにキレる薄く広く集金した「お金」を自分の「お友達」だけに配る政策はもう限界。兎にも角にも「信用」を取り戻すことが先決だ。

 その第一歩として「CPIの誤謬」を解消し、リアルな「体感物価」に近付けることから初めて見てはどうか。メディアも過大な忖度は止めて "事実" を堂々と書けば良い。そうすれば「金利」も「賃金」も「年金」も全て ”正常化” する。 ”ビフォーアフター" で改築・増築を重ねた「昭和建築」はもう建直しの時期に来ている

 一点、物価も賃金も上がる「アメリカ型」と、どちらも上がらない「日本型」はどちらが幸せなのか。|損切丸|note には注意が必要。「賃上げ」が実現して「アメリカ型」に移行すれば「物価」はもっと上がっていく。結果、多額の「預金」「現金」保有は今よりもっと危なくなる「お金」の使い方は少し訓練が必要になるかもしれない。


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