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「お金」は嘘をつかない。

 ニュースなどを見ていて家人と意見がすれ違う事が良くある。最近だと「脱炭素」や皇室の婚姻問題などで論点がずれたが、よくよく考えてみると「損切丸」は「お金」の断面から物事を眺めていたことに気付く。

 29年間も「お金」まみれの仕事についていたので ”職業病” のような所もあるが、一つ確実に言えるのは、いくらでも "綺麗事" を飾れる「言葉」と違い「お金」は誤魔化しがきかない ”FACT” (事実)を如実に反映する。

 さて、標題は良く見る「純金融資産」の図(2019年)。「富裕層」の定義に使っているようだが、どうも ”違和感” が拭えない

 「純金融資産」= "預貯金・株式・債券・投信・一時払い生命保険や年金保険などの「金融資産」として世帯として保有する合計額から住宅ローンなどの「負債」を差し引いたもの" 

 「超富裕層」「富裕層」は全体の8.8%(資産額で21.4%)。だがここには肝心なものが1つ抜けている。そう「不動産」だ。これが ”違和感” の元。

 例えば預金10億円の「資産家」10億円のローンを組んで "タワマン" 等不動産を買い、賃貸に出しているとする。するとこの「資産家」「純金融資産」はゼロ=マス層? 相続税に詳しい方ならご存じだろうが、これは広く知られた「節税」対策*「不動産」評価が低めになる事を利用している

 今は評価方法が変わったようだが、少し前まで「富裕層」はわざわざ値段の高い高層階の "タワマン" を好んで購入していた。これは1階も最上階も同じ評価額を用いていた事に着目した、いわば「タックス・アービトラージ」(税務裁定取引)。「現・預金」なら半分取られてしまう「相続税」を大幅に減らせる

 なぜこれを日本では「お金持ち」の基準として用いるのか

 透けて見えるのは、過剰なまでの「現金・預貯金偏重」一種の「お金信仰」である。日本ではまだまだ株や投資信託等は普及しておらず、要は「純金融資産」≒ "預貯金" と考えていい。

 思えば「お金のマニュアル」-損をしないコツ- 其ノ2 「清貧思想」と日本人の投資① ↓(2019.4.13)を書いたのが2年半前ほど。「清貧思想」「性善説」がいかに「投資」に向かないか、を説いたのがこの「損切丸」書き始めのきっかけだった。

 この国ではまじめに働いてコツコツ「お金」を溜めるのが "美徳" で、株等の「投資」≓「博打」で儲けるのは ”邪悪” と長い間信じられてきた。

 戦後の高度成長期から約50年間、この「お金」が日本で積上がったが、「インフレ」の中幸いにも多くの日本人が「豊かさ」を享受できたのは「不動産」のお陰「住宅ローン+持家」という「インフレ」型の "鉄壁スキーム" が機能していた。今の中国がまさに同じ状況だ。

 それが「リーマンショック」から「東北大震災」後の「デフレ」、そしてダメ押しが「コロナ危機」と日本人の「資産」は切り取られてきた。中でも「不動産」の目減りが大きかった不幸だったのは、この「デフレ」が「現金・預貯金偏重」を益々助長してしまったことだ。

 だがここに来て「お金」の話が大分 "表" に出てくるようになり、 "目覚め" も見られる転換点になったのは「インフレ」の顕在化である。

 「お金のマニュアル」の中でも書いたが、「お金」=「貨幣」というのは、本質的には原価が100円にも満たない「紙切れ」に過ぎない。それが1,000円とか10,000円とかで流通するのは「国」がその価値を担保しているから。これを根底から覆すのが「インフレ」である。

 最近「インフレ」に関する言説がメディアにもネットにも頻出し、「損切丸」を始めた2年半前とは様変わり「円安」など「貧しい日本」が世界の ”置いてけぼり” になっている ”FACT” も指摘されている。最近の「値上げラッシュ」で切羽詰まった事が、皮肉にもこの "目覚め" に繋がっている

 「お金」は嘘をつかない。

 「清貧思想」の支配する日本では、長い間「お金」の話は "タブー" 視され、忌み嫌われてきた。だがここまで追い詰められて、ようやくこの国も ”FACT” に気が付き始めたようだ。

 そもそも皇室などという、いわば「国の頂」で「お金」が論じられるようになった事には隔世の感があるし、「コロナ危機」「COP26」「脱炭素」も、裏を返せば "薬" や "エネルギー" の利権争いが ”FACT” 。典型的なのは**EV(電気自動車)を巡る日欧の戦い「温暖化阻止」という "錦の旗印" の裏で、本筋の ”二酸化炭素の排出量を減らす” 議論はそっちのけで血みどろの「お金」のバトルが繰り広げられている。

 **冬季オリンピックで日本勢が金メダルを取りまくると、スキーの長さや体重制限等々、あの手この手でルールを変更してきたのがヨーロッパF1で日本勢が勝つのも我慢ならない「天然ガス」の価格が急騰して「脱炭素」が厳しいと見るや、今度はフランス「原発増設」表向きの「綺麗事」とかけ離れた彼らの ”ご都合主義” は枚挙に暇がない

 幸いこの日本では***20~30代の意識が大きく変わってきている「お金」に関しては様々な書籍、言説も増えており、目にする情報「ニュース」についても ”飾り” に囚われず、「お金」の切り口から見ていくと違う ”FACT” が見えてくるはずだ。世代交代が進めば、今までのように国際社会で ”言われっ放し” の状況も徐々に克服されていくだろう。

 ***買い物について、最近は「物を所有する」よりも「一定期間借りて手数料を払う」感覚が強まっている。ネットなどで中古品を買う時も必ず「リセール・バリュー」(再販価格)をチェックするという。これはまさに「投資」の基本「お金」に強くなっている証拠だ。

 大体「給与」の半分近くを税金、社会保障費などで "上納" しているのだから、日本人はもう少し「お金」に厳しくて良い。こんな note. を書き綴っている筆者としては、ここに来ての "目覚め" は喜ばしい限り。こうやって日本は変わっていくのかもしれない。期待も込めて。



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