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匂いから思い出す景色

カレー味の揚げせんを食べていたら、にわかに中国を思い出した。今までいろいろなカレー味を食べたけれど、そんなことは初めてだった。なんで中国なんだろう。

モグモグと食べ終わって口の中に残るスパイス。鼻に抜けていく匂いがアレに似ている。中国の、ちょっと狭くて暗いスーパーに入ったときの匂い。日本のスーパーではない。どこか乾いた感じで、少し埃っぽさも残っていて決して明るくないところ。

インスタントラーメンやスナックがキツキツに並ぶ棚、当たり前のように置かれている強くて安いお酒の瓶たち、ビッグサイズのお肉や冷凍食品が詰められた奥の冷蔵庫。その一角で、この匂いを絶対嗅いだことがある。

そこで売られている調味料と、食べた揚げせんの調味料が重なるのかもしれない。食べるとたちどころに景色が湧き上がってきた。

揚げせんを食べるまでは中国のスーパーのことなんてすっかり忘れていた。でもこの味は強い。食べ終わってもずっと口の中が中国な気がする。そしてちょっと懐かしい。

口に放り込むたびに「中国」が浮かぶので、面白がって何個も食べてしまった。消えてしまうのは惜しいな。

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