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今年は桜を何度も楽しめた

桜、というと1週間ほどの限られた期間しか見られない印象がある。だから咲き始めたら早く愛でないと終わってしまう。咲いたら見に行く。咲いたら写真に撮る。なるべくたくさん「咲いたねえ」と話題にして春を味わう。

「時間」という縛りがある分、一連の「愛で」を素早く済ませておかないとその年の春を逃してしまいそうな気になる。浮き立つ空気の中にはちょっと焦りも混じっている。

でも今年はもう少しゆったり、何度も楽しめている。私にとっての今年後半の桜は現在進行形で満開で、大雨さえ降らなければ週が明けても見られるだろう。

焦らずに済んだのは、時期の違う桜の木を何カ所か覚えたからだ。正確に言えばここに住み始めた10年前からその桜たちはずっと立っているのだけれど、今年になってやっと「ここにあるのか」と私が認識したのだった。

一番早いのは近所の通り道にある早咲きの桜。2月の半ばから弾が装填されるように着々と薄桃色の蕾がふくらんで、3月初めにはポツポツ咲き始める。散歩をしている人が足を留めて小さな花輪を見上げるのが合図。誰かが止まっていると「あっ、咲いたのか」と思う。

まだ寒い頃に下からどんどん明るい花を付けていって、確実にもうすぐ春が来ると教えてくれる。人間が空気の暖かさを実感するかしないかのうちに散り始めて、今はもう若葉が生い茂っている。早い。でもいつもありがとう。

2番目に見に行くのは、ちょっと歩いた先にある3本の桜。芝生があって少し開けていて、近くにはベンチがあるので散歩休憩によく使われる。ここは3月の半ばが見頃で、先週寄ったら大撮影会場になっていた。

何かのサークルのおばちゃんグループ、まだ抱っこされている子と桜のベストアングルを探るお父さん、望遠レンズを付けていろんな角度から激写しているお兄さん。

そこに交じって私もスマホとコンデジと一眼レフで堪能した。一番見に行った桜かもしれない。昼と夜とでは表情も変わる。このnoteのトップ画像は夜にコンデジで撮った写真だ。

3番目に見に行くのは、よく使う駅のそばにある桜並木。ここは今週に入って花が綻び始めて今が見頃になっている。通る人通る人みんなが何かを構えて写真を撮っている様子は、ちょっと離れて見ているとユーモラスだ。

考えてみると今月に入ってずっと桜を見ている。1週間どころか1カ月近く、ひょっとしたらこの先もう少し桜を楽しむことができる。電車に乗れば意外な住宅地の狭間に桜が咲いているのが見える。数は多い。

毎年寒いうちから蕾にエネルギーを溜め込んで、思わぬ場所に咲いては人を惹きつける。桜は強い。とてもとても、はかないとは言いにくい。それでも楽しみにしてしまうのが桜の魅力かもしれない。


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