【大学新入生向け資料 その4】 メモは相手をやる気にさせる
メールの書き方、生徒と学生の違い、インタビューの技法に続いて、4回目!今回は、「メモ」についてです。これが実はかなり大切なお話です。大学生のみならず、社会人一年目の皆さんにも役立つかもしれません。
とにかくメモろう
大学に入ったら、人の話を聞くときにはメモを取るようにしましょう。
( ..)φメモメモ
電子的なメモでも構いません。最近は音声認識技術も進んでますから、声で吹き込むメモもありますよね。私はいまだに紙にペンで書くメモを使っていますが、タブレット端末やデジタルペーパーなどもありますよね。
ボールペンやシャーペンなどの何か書けるものと、パッと出して書けるメモ帳や手帳を持ち歩くことをオススメします。私は小さめのノートやルーズリーフをカバンに入れて、いつでもメモしたり、思いついたことを書きつけたり、考えを練るために使ったりしています。
授業が始まったら、ゼミでも講義でも、パッと筆記用具とメモ帳をテーブルに出します。先生の研究室に何か質問に行った時も、事務局に何かを尋ねに行ったときも、サークルの会議の時も、とにかく皆さん、メモの準備を!
なぜ、メモを取るのか?
さて、そもそも、なぜメモを取るのでしょうか。
そんなの簡単ですよね。「内容を忘れないため」です。記録のためにメモを取る。以上。
・・・と思うでしょう?
実は、それだけではないのです。
あなたが嬉しい聴衆の態度はAかBか
たとえば、あなたが何かのレクチャーか講演か、授業か、とにかく人前で話をすることになったとしましょう。なかなか緊張する場面ですね。聴衆の態度は次のA、Bのうち、どちらが良いですか?
A.全員よだれ垂らして寝てる
B.全員メモを準備して真剣に聞いてる
AはAで、実際遭遇したら面白いですけどね。講演しようとしたら全員よだれ垂らして寝てると。もう壇上からその様子をスマホで写真撮って、そのまま帰ったろうかなというレベルです(笑)
多くの方は、どちらかと言えばBが良いんじゃないでしょうか。レクチャーや講演や授業を依頼されたら、「時間を使って聞いてくれる人たちのために、できるだけちゃんと準備しよう」と頑張って準備しますよね。何度も練習するかもしれません。前の晩は緊張して眠れないかも…。
それで、いざ行ってみたら、全員寝てるとか辛いです(-_-;)
メモには、相手のやる気をアップさせる力がある!
さて、おわかりになりましたか?実は、メモを取る、という行為には、話し手のやる気をアップさせるという力があるのです。
それってなんか私にとって、得がありますか?
良い質問です。ものすごく得します。それというのも、相手がやる気になってくれると、たくさん情報をくれるようになるからです。
大学の授業でもそうなんですよ。大学の教員は仕事として授業をしていますから、全員寝てようが、全員スマホをいじくりまわしていようが、私語がうるさかろうが、1時間半しゃべれます。
ですが、「聞いてないなぁ」ということには気づきます。教壇に立ってみるとわかるのですが、意外と受講生の様子は先生から見えてるんですよ。私も学生時代は「先生は気付いてないだろ」と思ってましたが、実はかなりはっきり、それぞれが何をしているのか見えます。
これらのことを前提にして考えるとですよ。受講生が一生懸命メモを取っていたらどうなりますか?前に立って話している人は、「お!ちゃんとメモを取ってくれているな。自分の話を聞いてくれている証拠だ」と思って、講義により熱が入ることでしょう。
「こんなに吸収してくれるなら、もっとこういう情報も入れよう。あんな情報も教えよう。普通は言わないけど、こんなに熱心な人にだったら話そうかな…」そう思うわけですね。
インタビューや就活などにも使える考え方
ここまではレクチャーとか講演とか講義といった、一対多の場面を想定していましたが、これは一対一のインタビューでもそうです。質問者が質問をするだけして、あとは「ぼへ~」っと聞いていたら、あなたはどう思いますか?
「この人、今私が話してること、全部覚えてるのかな…」
「質問されたことに答えてるけど、これ意味ある?」
と思っちゃいますよね。しっかりメモを取るなど、何らかの記録を取っている様子がわかれば、安心して話せます。
就職活動では会社説明会というのがありまして、企業が自社のことを説明してくれるんですね。そこには、その企業にエントリーしようかなという人たちが来ているわけです。その中で、しっかりメモを取って聞いている人と、口をぽかんと開けてぼんやり聞いてる人がいたら、あなたはどちらの人を自分の会社にほしいと思いますか。
もちろん、口がぽかんと開いている人がすごく優秀な可能性もありますね。その姿勢で聞いて、あとで一言一句違わず再生できるのかもしれません。ただ、その場の態度だけで判断するとしたら、熱心さが外見から伝わる方に軍配が上がるでしょう。
実はメモを取ることは情報の発信にもなる
さて、そろそろ結論です。
つまり、メモを取ることは、情報を吸収して保存しておく機能だけではなく、「メモを取っている」という姿そのものが、「あなたの話を聞いていますよ」という情報を発信することになるのです。
大学での講義は「一方向的」と言われますが、教員として前に立ってみると、実はとても「双方向的」だということに気づきます。
もちろん、先生が話している最中に、室内の全員が一斉にその先生に質問することはできませんから、そういう意味では双方向的ではありませんし、発話の量で言うと、圧倒的に教員の方がしゃべっています。
ですが、ここまで書いてきたように、受講生の行動や姿はある種の「情報」として発信され、先生に届いています。こういうやり取りのことをノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)と言ったりします。
つまり、言語ではない部分で相手に情報が伝わるコミュニケーションです。身振り手振り、表情、声色など、我々はコミュニケーションを行うときに、言語以外の様々な情報を参考にしています。
というわけで、「メモを取る」ということには、記録を取るという意味ももちろんありますが、相手からより多くの情報を引き出す力もあるということがお分かりいただけたと思います。
後は、メモ帳やペンを選んだりするのも結構楽しいですよ(^^)ということを付け加えておきます(笑)
それでは、また「その5」でお会いしましょう!皆さんによき学びの時間が訪れますよう♪
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