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ファクターXと日本モデルの正体-愛する者よ、死に候え

おはようございます。Xファイルマニアのアルキメデス岡本です。

さてさて、緊急事態宣言が解除されましたが、早くも各地では経路不明のクラスターが発生してしまっているようです。隣国の韓国も第2波に襲われ、セカンドインパクトは現実的に避けられない状態です。

日本モデルの実態

安倍政権は今回のコロナ対応を「日本モデル」と呼び自画自賛し成功事例として発表しましたが、残念ながらそれを裏付ける科学的根拠がありません。日本の死亡者数はG7の中では低かったですが、アジアの中では決して低いとは言えません。

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ファクターXとは

ところが、日本に限らず世界的にみてアジアだけ死亡者数が少ないという傾向があり、その要因は一体何なのか研究が進んでいます。
日本の対策は世界の中でも緩い方に分類されます。しかし、感染者の広がりは世界の中でも遅かったです。何故でしょうか?? たまたまスピードが遅いだけで、これから急速に感染が増大するのでしょうか?それとも、これまで感染拡大が遅かったのは、何か理由があるのでしょうか?

それには何か理由があるはずと仮説し、それをファクターXと呼んでいます。ファクターXを明らかにできれば、今後の対策戦略に活かすことが出来るはずです。

ファクターXの候補は以下

・感染拡大の徹底的なクラスター対応の効果
・マスク着用や毎日の入浴などの高い衛生意識
・ハグや握手、大声での会話などが少ない生活文化
・日本人の遺伝的要因
・BCG接種など、何らかの公衆衛生政策の影響
・2020年1月までの、何らかのウイルス感染の影響
・ウイルスの遺伝子変異の影響

その中でも、BCG接種の有無による比較はかなり興味深い内容です。やはりこの中で有力なのはBCG仮説。

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この図からわかる特徴は、アジアの新型コロナ死亡率が低いということだ。局地的に感染爆発が起こった中国も韓国も今では約5人以下で、日本とほぼ同じ。インドネシアも(この図にはないが)タイもベトナムも、東アジア・東南アジアの国はほとんど3人以下である。

これを「アジア人とヨーロッパ人の免疫の遺伝的な違い」とする説は、ほぼ反証されている。多様な民族の集まるアメリカでは、アジア系の死亡率は低くないからだ。原因として第1に考えられるのは、中国との交流が多いアジア諸国に新型コロナと似た種類のウイルスが拡散したことだ。2009年の新型インフルエンザのとき日本人の死亡率が低かった原因は、遺伝子配列の似たウイルスに対する免疫ができる交叉反応だったといわれるが、今回はまだ確認できない。

第2の原因としては、ウイルスの変異が考えられる。新型コロナウイルスはRNA(リボ核酸)なので変異が速く、15日に一度、遺伝子配列が変わるといわれる。武漢で発生した初期の新型コロナウイルスは強毒性で、それが変異したものが周辺のアジア諸国に入ったという説もあるが、これもまだ確認されていない。

日本モデルの正体

今の段階で確実にいえるのは、日本の驚異的な死亡率の低さの原因は緊急事態宣言ではないということである。日本の自粛より厳格なロックダウン(都市封鎖)をやっている国はたくさんあるが、 死亡率は日本よりはるかに高い。スペインは519人、フランスは369人である。

したがって死亡率4人の日本が「緊急事態宣言を解除すると感染爆発が起こってスペインやフランスのようになる」という説は、今から激増するメカニズムを説明しない限り、空想というしかない。この100倍以上の差は偶然ではありえないが、政府はこれについて今まで公式にコメントしたことがない。BCG仮説についても、菅義偉官房長官が一度「厚労省が検討している」とコメントしたきりである。

もし日本の新型コロナ死亡率の低さの原因がBCGなどの免疫要因だとすると、クラスター追跡やPCR検査などの日本の対策は無駄だったことになる。緊急事態宣言を解除しても、それほど感染は拡大しない。それがBCGをタブーにしている理由だろう。

だが防疫対策に莫大なコストが浪費され、緊急事態宣言で多くの企業が廃業に追い込まれて失業が増えると、数千人の自殺者が出るだろう。

つまり、自粛で今回の大不況を作り出したのは安倍政権であり、これは史上初めての人工不況だと言える。

いずれにしても、来たるべき第2波に備え今回の自粛効果を検証すると同時に、ファクターXの解明が待たれるところです。

ハンマーアンドダンス理論

日本モデルというからには、第2波を科学的に封じ込めた時に初めて成功モデルとして評価するべきです。今はまだ全貌が見えないウイルスと隠れ感染者の実態が把握出来ていない状態なので、油断は禁物だと思います。

政府の発表する言葉のレトリックに騙されずに、科学的データに基づいた冷静な判断が必要です。

日本の対策の基本方針であるThe Hammer and the Danceは、3月末にTomas Pueyo氏により提唱されました。彼は、新型コロナウイルスの急激な感染増加は医療崩壊をもたらすことから、一日も早くLockdownのような強力な対策で感染者数を徹底的に減らすことが必要と強調しています。ハンマーで叩きのめすイメージでこの強力な対策を”The Hammer"と呼んでいます。しかし感染がいったん収束しても、対策を緩めすぎると再び感染者が急増する危険があります。しかし彼は、最初のHammerで時間を稼ぐことにより、様々な備えをすることができ、第2波を防ぐことが出来ると提唱しています。

様々な備えとは

・徹底的な検査と隔離
・医療体制の整備(ICUベッドの増床、N95マスクや防御着の確保)
・治療薬やワクチンの開発
・人の行動変容(物理的距離をとる)

が含まれます。これらの対策を取ることにより、ウイルスとの共存が可能となります。この時期を、ウイルスとダンスを踊るようなイメージで”The Dance"と呼んでいます。
The Hammerの段階で感染者を減らせば減らすほど、次のThe Danceの対策が楽になります。

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とにかくこれまでの日本の対応は全てにおいて遅すぎました。それにも関わらず死者数が今のところ少なくすんでいるのは、ある意味、奇跡だと思います。

この偶然(ファクターXの恩恵)に慢心せず、今後の長期的な戦いに備えて万全な体制を一刻も早く構築してもらいたいと思います。


そして、


日本と世界に再び平和が訪れる日を祈って、


愛する者よ、死に候え         


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