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エピローグ第13話:赤い服の女 『THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI(スリー・ビルボード)』徹底解剖


伯爵のマザコンキャラはディクソンに継承されたってわけか。

何を言ってるかわからない人は前回を未読の人ね。まずこちらから読むといいわ。

ミミズク婆さんに挨拶をした予審判事セルゲイ・ペトローウィチは中庭へ出て、遠くのほうに伯爵たちの姿を発見する。

伯爵、執事、そして見知らぬ「二人の取り巻き」の姿を…

伯爵とならんで同じそのテーブルに、大きな頭を短く刈り上げた、眉の真黒な、わたしの知らぬ太った男が座っていた。この男の顔は脂ぎっており、熟しきったマクワ瓜のように艶がよかった。(中略)太った男は上衣もチョッキも着ておらず、ワイシャツ姿だったが、そのシャツには汗に濡れたしみが黒くついていた。彼は紅茶ではなく、ミネラルウォーターを飲んでいた。

中央公論社版(訳:原卓也)より

眉の真黒な太った男(笑)

あの歯医者そのものやんけ…

しかもミルドレッドから紅茶ではなく「水」をもらったわよね。

・・・・・

そして、もうひとりの見知らぬ人物は…

執事とならんで、わたしのところに手紙を届けた例の百姓が立っていた。今になってやっと気づいたのだが、この百姓には眼が片方しかなかった。

中央公論社版(訳:原卓也)より

太った歯医者と同じようにスリー・ビルボードへ苦情を申し立てたもうひとりの人物は「目が変な女性」だったよね…

「太った歯医者」と「目の変な女性」は『猟場の悲劇』に登場する「謎の取り巻き二人組」がモデルだったというわけだ。

さて、予審判事セルゲイ・ペトローウィチが茂みから姿を出すと、伯爵は飛び上がって喜んで駆け寄ってきた。

わたしのところに駆けよるなり、とびついて、抱擁し、こわい口ひげで何度もわたしの頬をこすった。何遍ものキスのあとに、長い握手がつづき…

中央公論社版(訳:原卓也)より

伯爵はゲイなんか?

違うよ。超オンナ好きだ。

ただ精神年齢が幼くて無邪気なんだよね。

だから感情の起伏が大きく、嬉しいとこんなふうに「飼い主を待ちわびた犬」みたいになっちゃうんだ。

小さな子供も相手が同性異性関係なくベタベタしてくるでしょ?

それと同じ。

ディクソンもそうだったね…

ひとしきりベタベタした後に伯爵は、親友だと思っていた予審判事セルゲイ・ペトローウィチが、この二年間のあいだ音信不通だったことを責める。

そしてそれに対して予審判事は、こう答えた…

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