ツルでもガキでもわかる!その後のパンツ男。
まいど!ワイは鶴や!ツルヤナンボクや!
ええじゃろうだよ!
はぁ…
何も言わんでええ。オッサンが心配しとった変態中年ヒーロー『パンツマン』、先週末もアカンかったんやな。
うん…。2週目の週末も『ワンダーウーマン』に敗れてしまった…
前回も言ったけどな、わけのわからんメタボ中年オヤジの裸が、DCコミック&ミス・イスラエル(超セクシー)のコラボに勝てるわけあらへんやろ?
そないなこと真剣に悩んどんのは、世界中でもオッサンだけやで。
ちなみにこれが先週末(6/9~11)の全米興行収入ランキング。カッコ内は通算売上だ…
①『ワンダーウーマン』$57.2M($205.0M)2週目
②『THE MUMMY』$32.2M(初登場)
③『キャプテン・アンダーパンツ』$12.3M($44.6M)2週目
④『パイレーツ・オブ・カリビアン5』$10.7M($135.8M)3週目
⑤『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2』$6.2M($366.4M)6週目
2位にトム・クルーズの『THE MUMMY』が入ったな。日本では『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』ちゅうタイトルで公開される。
ワンダーウーマンとミイラ男に敗れたとはいえ、パンツマンは3位じゃんか!
今週もあの海賊ジャック・スパロウ様より上だったんだから、上出来だよ!
でも、この上位5作で『キャプテン・アンダーパンツ』だけ日本公開予定が無い…
ビデオのリリースも定かでは無いんだ…
例の「ドリームワークス・アニメーションの呪い」やな。
そう…
だから僕はパンツマンに賭けていたんだ…
パンツマンがこの夏に超メガヒットを記録し、全米のみならず世界各地で「パンツマン旋風」が巻き起こり、世界中のオヤジたちがパンツ一丁で走り回るムーブメントが起こることを…
そんな社会現象、起きんやろ…
ワンダーウーマンや海賊どもを軽く一蹴して欲しかったんだよ…
キャプテン・アンダーパンツに…
な、なんで?
3位じゃダメなんでしょうか?
2位や3位じゃダメなんだよ…
圧倒的勝利で社会現象にならないと、日本市場は動かない…
この程度のヒットじゃダメなんだ…
かつてはディズニーと2強時代を築いとったのに、会社がゴタゴタしとる間にユニバーサルのイルミネーションにあっさりと抜き去られてもうた。
もうこのディズ・イル2強体制に割り込むのは無理なんちゃうか?
イルミネーションと言えば、『Despicable Me 3』(邦題:怪盗グルーのミニオン大脱走)も公開を控えてるよね!
これも大ヒットしそうだな!
戦略も大当たりしてるしね!
はぁ…
ご、ごめん…
でも、会社のゴタゴタで作品が見れなくなるって、ファンとしては切ないね…
いいんだよ、ええじゃろう…
僕もグルーの大ファンだから…
しかしDespicable Meとミニオンズは、ほんと上手くやってるよね…
作品も戦略的にしっかり作られている…
ドリームワークスは経営のゴタゴタもあったんだけど、作品自体にも大きな原因があったんだ…
だから日本で11作も連続で劇場公開されなくなってしまったんだよね…
ほう。なんやねん、原因って?
映画が非常に宗教的過ぎたんだ…
創設者ジェフリー・カッツェンバーグの影響でね…
彼は低迷していたディズニーを立て直した立役者で、80年代後半から90年代前半のディズニー作品の多くに関わった。現在のディズニー黄金時代の土台を作った男でもある。
そんな彼がディズニーを離れ、スピルバーグらと設立したのがドリームワークス・アニメーションだった。
そして『プリンス・オブ・エジプト』や『ヨセフ物語 〜夢の力〜』などのヒットを飛ばす…
「宗教的」っちゅうか、そのまんまやんけ。
そして『シュレック』でスタジオの名声はピークになった。
おもろかったな、シュレック。
このスタジオのスタイルは、シュレックで確立された。皮肉たっぷりの設定と、ブラックジョーク満載のマシンガントークによるセリフによって。
ホントかなり際どい設定とジョークの連発なんだ。
政治や歴史、そして宗教とかのね…
日本人の苦手なやっちゃな…
カッツェンバーグの作品に込められた思想は、『マダガスカル』で頂点に達する…
そして『マダガスカル3』を最後に日本ではロードショーされなくなったんだ…
ど、どうゆうこと?
『マダガスカル』シリーズは、ただの動物コメディではないんだ…
あれはユダヤ人の歴史を動物を通して描いているんだよね…
そ、そうなんか!?
19世紀末のドイツやオーストリアでは、反ユダヤ主義が吹き荒れた。「ユダヤ人排斥」を叫べば選挙で当選するような状態だったんだ。
オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世とウィーン市長ルエーガーの対立は有名だね。反ユダヤで大人気だったルエーガーをウィーン市民は何度も市長に選ぶんだけど、皇帝は断固として就任を阻止した。結局5度目の当選で皇帝が折れてしまうんだけどね。
それくらい社会で「反ユダヤ」は大きな流れになっていたんだ。
そして反ユダヤの知識人たちは、ヨーロッパのユダヤ人を丸ごとアフリカのマダガスカル島に送ることまでも考えていたんだ。
ま、マジか!?
そしてナチス・ドイツは、それを本気で計画化した…
フランス同様にイギリスも倒し、イギリスが保有する膨大な船を利用して、ヨーロッパ中のユダヤ人をマダガスカルに輸送しようと考えたんだ。
それが「マダガスカル計画」だ。
アニメ作品『マダガスカル』は、そこから名前が取られている。
げげ~っ!!!
第1作は旧約のエジプト時代の物語がベースで、第2作はモーセに率いられてカナンの地を目指すあたりの物語がベースになっているんだ。
そして例の第3作は、現在のイスラエルが建国されるまでの物語になっている。
なんで一気に話が飛ぶんや?紀元前のネタから近代まで…
その間はどないなってんねん?
そのへんはシュレックが担当しているんだ…
マダガスカル3って確か、ヨーロッパを旅するサーカス団に紛れ込む話だったよね。
そう。サーカス団は東欧・ロシア系の動物が多かった。ドリームワークスの創設者カッツェンバーグは、東欧系のユダヤ人家系なんだ。あのサーカス団は彼のルーツだね。
ちなみにマダガスカルのメインキャラであるキリンのメルマンのモデルはカッツェンバーグ自身なんだ。顔がそっくりだよね。
なんであれがイスラエル建国の物語なんや?
サーカス団は鉄道での移動中にスイスでひと休みする。そこで話し合うんだ。今後どうするかを。
そして「人間無しで動物だけのサーカスを作ろう!」ってことになる。
それがなんか意味あるんか?
これは、1897年にスイスのバーゼルで開かれた第1回シオニスト会議のことなんだ。
ユダヤ人排斥運動が巻き起こった世紀末ウィーンでは、それに対抗する形でシオニズム運動が生まれた。そしてすぐにシオニスト会議をスイスで開くことになり、具体的な行動が始まる。
ちなみに当時のスイスには、この会議だけじゃなくて、さまざまな勢力が国際会議を開いていた…
過激な民族主義者や無政府主義者もウロウロしていたんだ…
シシィことオーストリア皇后エリザベートは、こんな状況下にあったスイスへ周囲の反対をおして訪れ、無政府主義の過激派青年に暗殺される…
ロミー・シュナイダーの当たり役だった『シシー』は、そんな結末になるはずだったんだね…
ところで「具体的な行動」ってなあに?
パレスチナにおけるユダヤ人国家の建設だ。
この動きが、イギリスの外務大臣バルフォアとロスチャイルド男爵の間で交わされたイスラエル建国の約束バルフォア宣言につながる。
だからスイスで「動物だけのサーカス」構想をぶち上げて、イギリスへ渡ったんやな…
そう言えばスイスへ行く前には、バチカンで法王から指輪盗んでたよね…
もちろんあれにも深い意味が込められている…
あえて言わないけどね…
まあ、ざっくり解説だったけど、『マダガスカル』シリーズにはこういうテーマが隠されていたわけだ。
ゴタゴタ前は『マダガスカル4』製作の話もあったけど、ちょっと難しそうやな…
この流れやと、イスラエル建国後の話になるさかい…
めっちゃセンシティブやで…
見たい気もするけど…
わしに任せておけ。
どうなるだろうね…
ただひとつ言えることは、パンツマンが社会現象化しなかったんで、ドリームワークス・アニメの日本劇場公開は遠のいたまま…ということだけだ。
おい、無視するな。
わしが感動のフィナーレをお膳立てしてやるぞ。
パンツ一丁で頑張ったんやけどな…
しかも並み居る強敵を相手にやで…
ようやった、パンツマン。日本が認めんでもワイは認める。
僕はまだ諦めないよ。
もしかして第三週目に大ブレイクして首位に躍り出るかもしれないからね。
ワンダーウーマンやミニオンズも蹴散らして、2017年夏の主役に…
安心してください、それは無いですから!
き、貴様ら!
なぜこのワシを無視するのだ!
このワシを見くびるではないぞ…
人類史上最大級と言われるこの問題だが、この偉大なるワシにとってはパンツ一丁で解決できる程度の朝飯前案件なのだ!
ちょっとあなた、黙ってなさい。あなたはこの問題の難しさが…
ば、ばいば~い!
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