「なぜパパンはキスを覚えていないのか?」『バベットの晩餐会』第三章徹底解説・前篇
ノルウェーの最北端に近い村Berlevaag…
険しいフィヨルドと閉鎖的な風土は、この地と外世界を完全に遮断し、よそ者の来訪を拒み続けていた…
この村には「黄色い家」と呼ばれる場所があり、そこには、かつて「預言者/予言者」として畏怖されたDean(監督牧師/教父)が、ふたりの娘Martine(マチーヌ)とPhilippa(フィリッパ)と共に住んでいた…
カリスマ的な教父の教えは「日常生活における歓楽的喜びを拒絶する」という極めて厳格かつ特殊なもので、信徒たちは地上世界に「理想世界である新しいイスラエル」の到来を待ち続けていた…
しかし教父は年老い、信徒たちの高齢化も進み、教団はかつての勢いを失ってしまう…
教団存続のために「後継者」が必要なことは誰の目にも明らかで、信徒たちは教父に姉妹の婿取りを勧めるが、教父は聞き入れない…
なぜなら教父には「ある策」があったのだ…
その策とは、我が娘を「処女懐胎」させ、生まれた子供を「奇跡の子」だと信徒に信じ込ませ、カリスマ後継者として教団を引き継がせるというもの…
そのためには娘を「人知れず妊娠させる」ことが必要だった…
しかもその相手は、二度とこの地を踏むことのないような《完全な部外者》でなければならない…
最初に白羽の矢が立ったのは、女性問題が祟って僻地での謹慎蟄居を命じられた青年将校ロレンス・レーヴェンイェルム中尉…
教父は、女性に対して絶対の自信をもつロレンスと姉マチーヌに肉体関係を持たせようとしたが、思わぬ誤算により失敗する…
これまでマチーヌは隠していたが、彼女には亡き母から受け継いだ「second-sight(千里眼・透視)」の能力があり、その能力でロレンスの《お粗末な息子》を見抜いてしまったのだ…
自信喪失したロレンスはこの地を去り、教父は次なる来訪者を待った…
そして一年後、パリで活躍する著名なオペラ歌手パパンがBerlevaagを訪れる…
金田一さん、これまでのあらすじ紹介、ご苦労様。
せやけど、ハナシを聞けば聞くほど横溝正史の世界やな…
映画『バベットの晩餐会』とは全然別のハナシやんけ…
作者のイサク・ディーネセンによる原作(英語版)をもとに解説してるからね。
僕が「違う」んじゃなくて、みんなが本来のストーリーを「知らない」だけなんだ…
しかし『犬神家の一族』を例に挙げてくれたのはナイスだね。ちょうど僕も『犬神家の一族』の話をしようと思っていたところだったよ…
まさかスケキヨさん!?
残念でした。地井武男が演じたスケタケさんだよ。
犬神佐武
No way!怖いのヤダ~!
び、ビックリさすなボケ!
『バベットの晩餐会』と生首は関係ないやろ!
それが関係あるんだな…
第三章では、レッスン中にオペラ歌手パパンがフィリッパにキスをする…
だけどなぜかパパンは「キスしたこと」を覚えてないんだよね…
不自然だと思わない?
え…?
確か、気持ちが高揚しすぎて頭の中が真っ白になったんだよね…
そんな理由でこの僕が納得すると思う?
授業中に教師が生徒にキスをして「覚えてません」なんて有り得るかな?
ありえんな…
しかもしっかり胸まで触っとるんや…
世間はスルーしても、ワイは許さへんで!
この「パパンがキスを覚えていない」理由は、実はね…
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