2024年J2第15節ロアッソ熊本-横浜FC「心濡らす雨」
今年のJ2リーグ、横浜にとっては非常に不思議な日程で前半戦のうちに九州のアウェイゲームは全て消化することになった。熊本は一時期9月の秋分の日前後に何年も連続して開催していたこともあったが、今年は大分、鹿児島、長崎、そして熊本と4県全てが前半戦、しかも5月までに終わってしまった。アウェイの何がよいかと言えば、日帰りではなく旅行、つまり非日常を味わえることである。大分なら別府温泉入ったなぁ(試合翌日は松山から帰ったけども)とか秋田では稲庭うどん食べたなぁとか、どこそこへ行った食べた体験したなんてサッカーでアウェイに行かないと中々出来ない事だったりする。
が、今年のこの九州シリーズ、大分戦を除く3試合全て雨。雨に祟られたアウェイツーリズムになってしまった。大雨だとどうしても景勝地に寄る回数は減り行動範囲は狭くなる。大雨となった熊本でもやや味気ない旅になってしまった。
重馬場
前半で伊藤と井上が交代となる。天候を睨んで、ボールを保持せず裏のスペースを衝く狙いなのだと感じていた。前半以上に雨が強くなるハーフタイム。岡山戦や鹿児島戦のようにスペースを狙ってボールを入れて勝負を仕掛けるのだと思っていた。
ただ、降りしきる雨はそれ以上の魔物だった。フィールドの中央センターサークル付近はキックする度に水しぶきが上がり、ボールがまともに転がらない。転がらないから通常以上に強く蹴らないと飛ばない。しかし、ペナルティエリア付近は逆にボールが良く転がり、強く蹴ったボールはそのままラインを割ったり、選手の想像よりも先に流れていってしまった。それをトラップして収めようとする両チームの選手で奪い合う肉弾戦が後半はほぼ展開されてしまった。
雨でボールが止まったり、雨が目に入るので目測を誤りかけたりするのは仕方ない。ただ、全体の方向性として裏にボールを出すことは殆どなかった。これではなぜ運動量のある小川を入れたのか筋が通らない。
唯一セットプレーで作ったチャンスも熊本GK佐藤優のセーブの前にゴールを割る事は出来ず。その後は惜しいシーンすら作る事が出来ないまま試合終了。小川を左ウィングバックで起用する新采配も見せたが、それも実ることはなかった。
雨に流される
では、前半に決めきれたらと思いがちだが、それも違うと思う。前半雨で程よく水分を含んだ芝は、よくボールが転がった。パスワークで切り崩しにかかる熊本を警戒してか、横浜は前線からプレッシャーにいかない。
そうなると、どうしてもラインが低くなり、ボールを奪っても後ろから前に出ていくのが遅くなる。熊本も千葉戦に続き前線が3トップになりプレッシャーに来るが、これをかいくぐる術が中々見つからない。蹴って打開するのか、それでも繋いで巻き込んでボールを運ぶのか。
前半熊本にボールを持たれたとは言え、記録上シュートはたったの2本。守備がよかったというより、悪天候でもボールをつなごうとしてミスを何度もおかした熊本の自滅でしかなかった。
空虚なまま流れる前半45分だった。失点の匂いも得点の気配も雨に流されてしまったようだ。笛が鳴ると、一目散にコンコースに向かった。この退屈な試合では雨の中に留まる理由もないだろう。コンコースにいても雨足が強くなるのがわかる。雨音がゴーッとうねりをあげていた。
浸る
後半45分は前半以上に雨足が強くなり、お互い見どころがほとんどないまま試合終了。0-0のスコアレスドロー。大雨だけでなく芝のコンディションもひどくこれは仕方ない。
ただ、九州は雨ばかり。もはや濡れる為に九州に渡っていると言っても過言ではない。雨に浸っていた九州シリーズは、4試合で1勝2分1敗の勝ち点5。今の試合内容を考えると上々と言える方ではあるが、2分の1つは勝ちに出来たと感傷に浸ってしまう。
そして2台あったうちの片方のスマホも雨水に浸り故障。液晶交換だけで購入金額より高くなってしまうので、買い替えることに。昨年買ったばかりの端末だったので思い入れはあまりないのだけど、指紋認証でブルっと反応するのがまだ生きているようで悲しい。降り続いた雨が恨めしい。
雨の試合はやっぱり楽しくない。
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