エミール・シオランの著書を買った

エミール・シオランという思想家を知っているだろうか。

シオランはペシミストとして知られるルーマニア出身の作家だ。

エミール・ミハイ・シオラン(Emil Mihai Cioran, 1911年4月8日 - 1995年6月20日)は、ルーマニアの作家・思想家。若年期のエクスタシー経験と、メランコリー、鬱、不眠など、生涯にわたる精神的苦悩をもとに特異なニヒリズム的思索を展開した。

彼を知ったのは漫画家のつくみず先生経由。(経由といっても直接やりとりなどしていない。あくまで認知の流れだ。)

「生まれてきたことが苦しいあなたに」大谷崇 星海社新書

表紙絵を描かれているのがつくみずさん。この本はシオランの思想や人生を彼の著作の引用を交えて、ルーマニア思想史研究家である大谷崇氏が解説している。Twitter上の告知でこの本の存在を知ったとき、つくみずさんをフォローしている人なら共感していただけると思うのだど、つくみずさんとこの本の雰囲気がとてもマッチしているなと思った。

星海社の編集者、石川詩悠さんがシオランとつくみずさんの心情的共通項を見抜きオファーしたようだ。センス良いと思う。素晴らしい。

生まれてきたことが苦しいなどと、タイトルはなかなか重苦しいのだけど、シオランという人間の生き様・思想を知ることで、現代社会に生き辛さを感じる我々に「まあそんなに肩肘張らなくてもいいんじゃないの」とアドバイスしてくれるようなセラピー的効用を含む。

僕はこの本を読んで、月並みな表現だけど感銘を受けた。具体的にどういうことかを解説してしまうと、自分自身のアイデンティティーを大っぴらにすることになってしまうので、ここでは避けたい。よってあまりちゃんとは語れないのだけど、とても良いと、ただそう思ったことにしておく。

こうなるともう原典に当たりたくなってくる。そこで、シオランの著作の中からとりあえず2冊だけ買ってみた。「誕生の災厄」と「告白と呪詛」だ。

シオランは人の誕生こそが苦難の元凶だと考えている。なぜなら生まれてさえ来なければ苦しみを感じることもない。幸せな人生を送ったとしても、その人生が幸せであればあるほど死への絶望は大きくなる。すなわち生きている限り苦難は常について回るのだ。なるほど、確かに筋は通っている。

「誕生の災厄」ではとりわけ生まれること・産むことの罪性について述べている。人生の始点に関することだ。反対に、「告白と呪詛」は80いくつになったシオランが記した晩年の著作だ。初めの2冊にこれらを選んだ理由はここにある。人生の始点と終点、それぞれに縁の深い書籍にはよりシオランの思想が包括的に反映されているのではないかと考えた。

どちらともアフォリズムの体裁をとっている。アフォリズムとは格言と同じような意味である。よく哲学者の格言集なんかが出ているが、あれは数多くあるアフォリズムを一部引用し、解説をつけたものだ。こうやって記事を書いているが、未だこの2冊を読み込めていない。アフォリズム1つ1つはとても短く、読んでハッとするような示唆に富んだものもあれば、逆に意味がよく掴めないもの多くある。解説が欲しい。しかし、自分の解釈を自由につけるというのでも、いいかもしれない。思想研究者であれば客観的な視点が必要だろうけど、1ファンにはそこまで求められないだろう。

まずはちゃんと読もう。読んだ上でなにか感じることがあれば書いてみてもいいかもしれない。

シオランの書籍は、自宅の書架の癖が強いコーナーに置いておくとする。

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※べつにこんな本ばかり持ってるわけじゃないよ

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