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E191:いーえ!お若いわ、の憂鬱

今日は23日目です

【連続投稿: 112 日目 ライランⅡ: 23日目】

あらあら
さっきから、ずっとやってらっしゃる。
というか、やり合ってらっしゃる。

だからといって、これはケンカではない。

こっちは、別に聞くともなしに聞いている。
大きな声なので、勝手に耳に入ってくるのである。

40歳男性「もう、オレ40ですよ…」

推定60代女性「あら、まだお若いじゃない!」

40男「いや、もうおっさんすよ」

60女「いやいや、まだ若いわ!」

40男「そうですか?もう昔のような元気がでなくて、ダメだなって」

60女「何言ってんのよ。まだまだこれからよ!そんなこと言ったらアタシなんて、どうなるのよ」

40男「あはは。いや、でもオレはダメっすわ」


ぐるぐる終わらない会話である。笑

この種の会話、

今回のように「傍観者」の立場で聞くこともあるし
若い方の立場で、参加したこともあるし
年長者の立場で、参加したこともある。

この「永遠に終わらない会話」は
いつの世も繰り返される。

一見、無駄な会話にみえるが
それぞれの立場に立つと、
非常に興味深い。


謙遜する、という文化がある。
私の実力なんて…。というアレである。


「いえいえ、何をおっしゃいますやら。たくさんの実績がおありでしょう」

うん。このやりとりに違和感はない。実力の話ならば、その謙遜を否定することで会話が成り立つ。

ただ、これが
個々の人間が、「自分自身に対する体の衰え」
を自覚した場合はどうなのだろう?

謙遜の時と同じように、

「いえいえ、何をおっしゃいますやら、まだまだお若くていらっしゃるのに」
うーん。やっぱり、ちょっとした違和感が残る。相手の思いを否定することで、かえってなんだかややこしい話にならないか?


若い、ということに、絶対的な良さを求める風潮もある。

私の場合は、歳を重ねることに感謝しているので、
一切憂鬱な気持ちはないが、

確かに、体力的に衰えることに対する焦りはある。

そうなのだ。話者それぞれに思いがある。
人それぞれ「年齢観」のようなものがある。
だから、そこに「正解」はない。


40歳の人が「走れなくなったなぁ」
なんて思いながら、「もう、おっさんっすよ」
とため息をついていたら、

それは、受け止めてあげないとな
と思うわけで。

ただ、一方で
(40の若造が何言ってんだ?)
という気持ちも、わかる。

アンタさぁ、誰の前で「おっさん」って言うとるん?
みたいな…笑

だから冒頭の会話を耳にすると
笑い出しそうになる。


なぜなら、
その40歳男性にとって、

相手が何歳かどうかなんて、どうでもいい
相手がすごく年上だろうが、どうでもいい

のだから。笑

今、彼は自分の体力低下に傷ついて
落ち込んでいるのであって

「私に比べて、まだ若いんだから!」という
こちら基準の慰めなど、
すっとこどっこいの的外れ、なのである。

相手の年齢なんて
どうでもいいのに

その人は今、
「自分の話をしているだけ」なのに

わかっていても、私たちは時々
「まだ若いんだから!」
なんて、ズカズカ入り込んでしまう。

だから、この手の会話は
無限ループに陥る。
ただ、第三者的に聞くと、なんだか妙に滑稽で
笑ってしまう。

そういえば…

ピンクレディのミーちゃんが
ネバーで
久しぶりにベストテンに来た時

久米「どうですか?久しぶりのベストテン」
ミー「この歳になっても出られて嬉しいですね」
久米「あなた、そんなこと言ったら黒柳さんの立場がなくなるでしょ!」
黒柳「まぁ…」

子ども心に
(これ、すんごい会話やな…)と思ったのを覚えてる。

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