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森田真生『数学する身体』『計算する生命』を読み直す。
一般的に数学は「極めて抽象度の高いゲーム」と思われているので、数学者はまるで頭の中だけで巻き起こる“純粋な思考”のようなものをしている感じがするが、数学者の岡潔は、むしろ数学における情緒の重要性を説く。それは五感で触れることのできない数学的対象に、関心を集めてやめないことを指す。
数学は、粘土板や紙とペンといった道具との相互作用を通じて発展していった、数や幾何学が織り成すある種の生態系と捉えた方
『おいしいものは田舎にある』『隠居志願』『ぼくのワインができるまで』『美味礼讃 (上)』といった、玉村豊男が書いたり翻訳した本を立て続けに読む。
何年か前に『料理の四面体』を読んで以来、玉村豊男の「多彩なライフスタイル」と「知への態度」に、勝手に弟子入りしている。弟子は師の一挙手一投足を取り込まなければならない。
『おいしいものは田舎にある』は、雑誌に掲載されていた80年代のエッセイをまとめたものだが、この本では広島風お好み焼きが意外性をもって紹介されていた。ということは、おそらくそれまで関東圏では広島風お好み焼きが知られていなかったとい
デヴィッド・グレーバーの『官僚制のユートピア』『民主主義の非西洋起源について』、イヴァン・イリイチの『脱学校の社会』Remix。
デヴィッド・グレーバーの『官僚制のユートピア』『民主主義の非西洋起源について』、イヴァン・イリイチの『脱学校の社会』を立て続けに読んだ。
以下、この3冊と自分の考えをごちゃまぜにしたRemix。
国民国家のあらゆる規制や制度は、結局のところ、権力が暴力を行使できることで成り立っている。当たり前だ。いくらルールを作っても、それを強制させる力がないとルールがルールとして成り立たない。
さて、国民国家
『生の短さについて 他二篇』を読む。
セネカにおいて、生は立派に活用すれば長く、浪費すれば短くなるものだという。
ではその生の浪費とはなんだろうか。少し長いが、多くの例を確認することで、その浪費のイメージをざっと掴んでしまおう。
“ある者は飽くなき貪欲の虜になり、ある者はあくせく精出すむだな労役に束縛され、ある者は酒に浸り、ある者は怠惰に惚ける。また、常に他人の判断に生殺与奪の権を握られている公職への野心で疲労困憊する者もいれば、