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聞く和菓子

【スキ御礼】歳時記を旅する47〔浅春〕後*侘助てふ菓子のうす紅春浅し

虎屋十六代当主の黒川光朝さんは「日本の菓子は五感の綜合芸術である」といいます。
その中で、食べるものには聴覚が必要なのだといいます。
 和菓子には例えば春ならば「春の遠山」「春景色」などという名前、「銘」があって、その名を言ったり聞いたりすれば、ああ、もう春かという感覚が浮かんでくるからというのだそうです。
 今の季節(2023年2月)、虎屋菓寮 赤坂店でいただける生菓子の「銘」は、「仙寿」「朝」「春の山」「鶯餅」「椿餅」「八声饅やごえまん」「花林」。
八声やごえ」とは、辞書によると奈良時代に唐から伝わった雅楽の八種のリズムの名前で、そこから暁にたびたび鳴く鳥の声のことをいうようです。
「椿餅」は2月25日から「桜餅」に替わるそうです。
これだけの銘を聞けば、寒い中にも早春の感興がそそられるではありませんか。
もちろん、味覚も感じてまいりましたよ。

うぐひす餅離宮の林より来しか  耕

(岡田 耕)

☆虎屋菓寮 赤坂店は hina さんのレポートが写真が豊富で詳しいです。
 2023年11月のお菓子が紹介されています。おいしそうです。

*参考文献
  黒川光朝『菓子屋のざれ言』虎屋 1978年

写真/鶯餅 虎屋菓寮 赤坂店(岡田 耕 2024年2月 )

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