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性格は変えられる?って話

note4回目は 研究 に関する事です。

●目次
1.理学療法士の落とし穴
2.性格は変わる
3.性格を変えたほうがいい理由

1.理学療法士の落とし穴

理学療法士は、身体機能の改善を図るため、その理学療法は多岐にわたります。研究の視点も非常に多岐にわたります。運動を実施した前後の下肢筋力の比較などは一番わかりやすいテーマでしょう。実際の理学療法では、話を傾聴し患者さんに寄り添う事が最大のメリットになる場合もあれば、話をしながら楽しく散歩に付き添う事で、その人の残存能力を高めたり生命兆候を確認したりしています。中には痛みの治療を行う場合、人工呼吸器に繋がれた患者さんへの対応や、呼吸器疾患で痰の喀出をする場合、運動パフォーマンスの改善を図り障害予防や疼痛発生を防いだりする場合、生活習慣病の方に対してマンツーマンで運動指導をする場合、認知症の方に対して、精神疾患の方に対して、透析中の方に対して、心臓疾患、小児疾患、ターミナルケア、職業復帰、災害時の援助、後輩指導、学生指導、あらゆる視点で「改善」を1つのキーワードにして活動を展開しています。何故なら理学療法はリハビリテーション概念の中に含まれ、リハビリテーションとは、再び適した状態に近づけるという意味合いがあるからです。こういった事柄をテーマにしながら我々理学療法士は研究の道に進んで行きます。

私の場合、経験年数20年を過ぎた頃、どうしてもうまく「改善」出来ないものがあるってことに気付きました。それは「人の心」です。「人の性格」です。

え? 人の心?性格? 性格なんて変えようがないじゃん!! そこは触れちゃいけないんじゃない? そう思いますよね。

理学療法士の仕事は、患者さんの身体機能に対してアプローチします。これが基本です。しかし目の前の患者さんや後輩に対して、教育的指導的観点で関わるときがあります。このような時、自分の力不足で相手を変えてあげる事ができず、かえって周囲に迷惑をかけてしまった事例がありました。そうです。これが理学療法士としての落とし穴だと思いました。そこから私のライフスタイルが変わりました。


2.性格は変わる 

理学療法士の落とし穴?自分自身の落とし穴? 人の性格と行動について非常に興味がわきました。

私の場合、これが研究の出発点となったわけです…

理学療法士なのに、身体機能の研究じゃないの? そう言う人もいるでしょう。でも、これが私のライフスタイルなのです。この学びを通じ、問題を解決しない事には人生全うできないという結論に至りました。もう迷いはありません。

では、性格ってなんでしょう? 

良いとか悪いとか、明るいとか暗いとか、真面目とか不真面目とか、分かっているようで分かっていない気がしました。調べてみると結構面白いです。もちろん理学療法士と絡めた話は、私のリサーチ結果では見受けられなかったので、これはチャンスと思いました。

鶴 光太郎:性格スキル 人生を決める5つの能力.祥伝社新書.2018

によれば、「性格はもちろん、生まれつき受け継いだものもあるが、性格スキルは変える事ができる。それは大人になってからも、そして年をとってからも」。と解説しています。

和田秀樹監修:アドラー100の言葉.宝島社.2016

によれば、「性格は死の1日前まで変えられる」と述べており、私たちを大変勇気づけてくれます。勝手ながら、自分自身の研究の後押しをしてくれているように思えました。笑

え~!? 性格は生まれ持ったものだから変わらないよ~!! って思う人が大半だと思います。性格は変わる事ができるという事。私はこの事にとても興味を惹かれました。何故なら私は「改善」をキーワードにして働く理学療法士だからです。

心理学の世界では性格の事を5つの因子(ビッグ・ファイブ)に分解できることがコンセンサスとなっており、それらが組み合わさって性格が形成されると考えられています。

そしてこのビッグ・ファイブとは、「開放性」「真面目さ」「外向性」「協調性」「精神的安定性」に分けられるといいます。もう少し詳しく見ていきます。

■性格スキルのビッグ・ファイブの定義と側面■
鶴 光太郎:性格スキル 人生を決める5つの能力.祥伝社新書.2018

開放性
 新たな美的、文化的、知的な経験に開放的な傾向
 好奇心・想像力・審美眼
真面目さ
 計画性、責任感、勤勉性の傾向
 自己規律・粘り強さ・熟慮
外向性
 自分の関心や精力が外の人や物に向けられる傾向
 積極性・社交性・明るさ
協調性
 利己的でなく協調的に行動できる傾向
 思いやり・やさしさ
精神的安定
 感情反応の予測性と整合性の傾向
 不安・いらいら・衝動が少ない

自分はどの傾向がありますか? 色々と学んでいくうちに、何かの突破口が見えてきたような気がしました。

しかし! 昔からよく言います。心を取り扱う場合には…

本間正人・松瀬理保:コーチング入門(第2版).日経文庫.2015

によれば、『二種類の解決不可能問題があり、一つは相手の性格や人格をかえること。二つ目は過去に起こった出来事を変える事』と示しています。

まったくそう思います!過去の事実は変えられません。本当の意味で他人は変えられないと思います。では自分の働きかけで相手が変わっていくケースでは、どのような条件が整ったとき変わるのでしょうか?

変らない!って言ったり、変われる!って言ったり、頭がこんがらがりそうですね。 笑

でもこういうことを考えていると、なんかすごく楽しい気分になってきました。研究する人は変わり者が多い!とよく聞きますが、今の自分はまさにその通りと思います。笑

他人と過去は変えられない!と言いますが、私は変えられると学びました。おいおい!いい加減な事を言うな!と叱られそうですが、私の学びでは以下のことを提案します。

過去の『解釈』は変えられる! 他人の『思考』は変えられる!

これが現在私の取り組んでいる研究の壮大なテーマですね。笑


3.性格を変えたほうがいい理由

この性格スキルを紐解くと、色々な面で関連性が見えてきました。

川本 哲也ら: ビッグ・ファイブ・パーソナリティ特性の年齢差と性差:
大規模横断調査による検討 発達心理学研究 2015,26(2):107-122

によれば、外向性と開放性(r=0.32),協調性と神経症傾向(r=-0.25),勤勉性と神経症傾向(r=-0.29)に関連があり,外向性は女性,開放性は男性,協調性は女性,神経症傾向は若い女性と関連があるとしています。

このデータは一般成人に対してのものなので、理学療法士としての専門性は明らかになっていません。でも単純に面白いな~と思いました。

では、理学療法士ではどのような関係性があるのでしょう?

これは、次回以降、私の論文を紹介します。笑

さて、そもそも教育的な視点でかかわる人は、どのような人なのでしょうか?

学校の先生、部活の先輩、職場の先輩や上司、親、などがあてはまります。このほか医療業界では、医師、看護師、薬剤師、などなどが挙げられます。もちろん理学療法士も。

では、これらの人、どんな時に教育的な指導活動を起こすのでしょうか?

それぞれの専門性や立場で細かな違いはあっても、大まかには以下の事柄で共通しています。
指導対象となる人に向けて知識や技術を教える時。ですよね!

しかし、『教えた。のに、できなかった。繰返し教えた。でも、できなかった。』としたら、自分ならどのような感情が沸きますか?

畠山朋子, 佐々木久長:看護師の患者対応場面での怒り発生とその後の行動. 
秋田大学保健学専攻紀要.2016;24(1):41-51.

によれば、怒りは「自己が想定していることとは異なる出来事や扱い方をされた時に,期待と現実とのズレ(不一致)が生じることで喚起される感情」と定義しています。つまり、教えたということは、学習者のその先の行動変容を多かれ少なかれ期待するわけで、教えたことが反映されないと、期待と現実の不一致が生じ、指導者に怒り感情が沸いてくる可能性があるのです。

怒りはとても強い感情です。怒り感情に支配されるより、怒り感情を上手に支配しないといけません。何故なら怒りは攻撃性の引き金になり、大きな事件や事故にもなりかねないからです。このような観点から、性格を変える必要があると考えています。まあ、そもそも論ですが、性格悪いね!って言われるより、性格いいね!って言われた方が良いですよね! みんなで『性格いいね!』を目指しませんか? 理学療法士としてというより、人として性格を良く変えていく必要があると考えます。

性格は変わります。経験的にも学術的にも変わります。まだ研究の途中経過ですが、色々と探ってまいります。最終的には理学療法士なので、身体機能と結びつけます。分からない事を探っていく喜び。時間をかけてゆっくりじっくり。一つの答えがいくつにも広がり関連していく。そして社会貢献へと結び付けたい。

◆研究とは、共同体感覚を育む社会貢献へのステップである。 

私の現在の持論です。

次回以降のテーマで、この研究の具体的なものにふれていきます。

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