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最高人格とは何か

今回のnoteは 人材育成 に関してです。

もくじ
1. 大人の人生哲学
2. マズローの最高人格と最高価値
3. マズロー・フランクル・アドラーの思考

1. 大人の人生哲学

まさか自分が哲学を語るなんて、語ると言ったら大袈裟ですかね。

哲学を勉強するということが適切でしょうか。

哲学って、なんとなく漠然としたイメージです。形あるようでないようで。分かったようでずっと分からないようで。

サラッと受け流すくらいがちょうど良いのかもしれません。

気合を入れて学ぼうとすると、これが

何故か研究活動に通じている

と理解できます。それは、学問としての哲学が対象にしているものは、人間や社会など、万人に共通の普遍的な根源的なものだからです。

人間とはなにか、社会はどうあるべきか、何が善で何が悪か、神は存在するのか・・・

神は・・・の部分は、医療業界ではなかなか扱わない分野かもしれません。

しかし、人間とはなにか、などは拡大解釈した医療のテーマであり、理学療法士として関わる日常的な疑問を集約すると、行きつくところはつまり、

人間とはなにか・・・になるんだろうと思います。

人間という対象を扱う理学療法士。これもまた人間であり、人間対人間の哲学あってこそ日常の生活が成り立ちます。

今回は、理学療法士というセラピストの立場に立った哲学について学ぶことにします。

さてさて、「大人とは」一体何なのでしょう? また「人生とは」とは何でありましょうか?

諸富祥彦 「本当の大人」になるための心理学 心理療法家が説く心の成熟 集英社新書 2017

この本によると、成熟した大人の六つの人生哲学として以下の内容を示しています。

①人はわかってくれないものである
②人生は、思いどおりにはならないものである
③人はわかりあえないものである
④人間は本来一人である
⑤私は私のことをして、あなたはあなたのことをする
⑥仲間から孤立し一人になってもやっていけないことはない

50歳を目の前にした自分には、どれも胸に突き刺さる事柄を端的に示していると思いました。パッと見た印象で少し解釈に戸惑ったもの。それは④でした。これをもう少し紐解きます。

④人間は本来一人である・・・
この本によると、ハイデッガーという哲学者は、

「人間は死に向かって生きているということをありありと実感して生きることで、自分本来の固有の生き方、在り方を取り戻すことができる」

と考えたと示しています。

これって・・・
長嶋一茂さんが前にテレビで紹介していたやつだ!

って思いました。この人随分変なことする人だなあーってその時は思っていましたが、この哲学者のいう考えに合致しているんだと思いました。

確かに・・・
よく部活の先生なんかは、「死んだ気になってやってみろよ!」なんて檄を飛ばしますが、自分らしく、本当の自分らしさを大切にして、人の目を気にせず、今を精一杯生きたほうが良い気がします。年齢を重ねた今だからこそやっと共感できる部分がありました。

人は一人で生まれて、一人きりで死んでいく。

そういう意味で「人間は本来一人である」やっと腑に落ちました。


2. マズローの最高人格と最高価値

良き大人、最高に成熟した人格とはどういったものでしょう。自分はこの良き大人に近づいて行けるのでしょうか? ときどき思います。見た目はどんどん年を重ねていくのに、精神年齢はあんまり成長してないなと・・・笑

冗談抜きにして、皆さんはどう感じますかね? 自分の場合、思考過程や感情の部分では、20代前後からあまり変化がないような気がしています。

確かに「大人の知恵」はついてきましたが、根本的な部分は変わっていないような気がしてます。

だからこそ学びたいって、変化したいって欲求があるんでしょうね・・・

さて、この本では、アブラハム・マズローがまとめた著書「人間性の心理学(邦訳)」の中で、

「最高人格」(自己実現している人間)の15の特徴を示しています。

さて、いくつあてはまるでしょうか? 早速試してみます。

①現実をありのままに認識できる。
②自己や他者、自然をあるがままに受容することができる。
③自発性、自然な心の動きに従って生きている。
④自分にあまり関心がない。問題中心である。我を忘れて大切な何かに取り組んでいる。
⑤孤独とプライバシーを好む。一人になって自分を見つめる時間を必要としている。
⑥自分が属している文化や集団から独立している。常識に染まりきっていない。
⑦毎日が日々新鮮な感覚に富んでいる。

⑧神秘体験や至高体験をしばしば体験している。白い光に包まれたりする神秘体験や、この上ない喜びに包まれる至高体験をほぼ毎日のように体験している。
⑨他者との深い結びつきを持っている。
⑩深い本質的な人とのつながりを持っている。
⑪民主的な人格構造を持っている。
⑫手段のために目標を犠牲にしていない。遠い未来、例えば10年後の目標のために今を犠牲にすることなく、一瞬一瞬を大切に現在充足的な生き方をしている。

⑬敵意のない人を傷つけないようなユーモアをよく使う。
⑭創造性がある。
⑮自分が属している特定の文化を超えている。慣習を超えたところで生きている。

自分の場合、意外に高得点。13項目に当てはまりました。よくよく考えれば14項目と言ってもいいかもしれません。ただ、⑧に関しては、神の領域のような気がします。このような体験をしている人に実際に会ってお話を伺ってみたいですね!あやかりたいです!笑

そして、この本によると、さらにマズローは

「人間性の最高価値」という著書に以下のようなことを示していると述べています。

①正義をもたらすことを喜ぶ。
②名声や栄誉を求めない。
③他者から愛されることを必要としない。
④現実離れしていない。
⑤現実的な成功を求める。
⑥世界をあるがままに愛し、その改善に努める。
⑦人間も世界も社会も改良できると信じている。
⑧子供が好きである。
⑨子供の成長に喜んで協力する。
⑩自分が幸運であることに感謝している。

⑪神秘的な体験や未知へのものへの挑戦に魅せられている。
⑫すべての人が自分の可能性を最高に伸ばすチャンスを持つべきだと信じている。
⑬若者の自己実現に喜んで力を貸す。

いかがでしょうか?
さらにこの本では以下のように示しています。

「我を忘れて 何か に取り組んでいる点、魂のミッション・人生の使命 に我を忘れて取り組んでいる点が、最高人格 の共通点なのです」

僕はありがたいことに、我を忘れて没頭できる人生の課題が見つかりました。これに取り組んでいる時、苦しい時もありますが、実に充実した幸せ感を感じています。

ひたすらサッカーボールを追いかけていた鼻たれ小僧が、少しは大人になった証拠でしょうか 笑。


3. マズロー・フランクル・アドラーの思考

ウイーン大学医学部精神科教授であったヴィクトール・エミール・フランクルは、アドラーやフロイトに師事し精神医学を学んだと示されています。

そして、マズローの自己実現説に対してフランクルは批判し、意義を申し立てたとされますが、これに対しマズローはあっさりと同意を示したと記されています。

つまり、自己実現理論の本来言わんとしている点は、

「自分のために生きる人間は幸福になり得ない。真に心が満たされた最高人格は、自分の人生に与えられた何らかの使命や課題に、我を忘れて没頭している。」

としており、この点について、フランクルとマズローは同意しているようです。

さらに、この本で何が一番私の心をくすぐったかと言えば、

私が大好きなアルフレッドアドラーとの接点です。

学生時代のフランクルは、アドラー心理学の若手スターであったとのこと。フランクル心理学の基盤はアドラー心理学だったようです。

フランクル心理学

恥ずかしながら初めて知ることになりましたが、少し調べていくと、確かにアドラーとの類似点があります。

そしてさらには、フランクル・アドラー・マズローの三者の考えに一致している点があり、それは

「人間の自己超越性」

にフォーカスしているところだと示しています。

つまり、最高人格は

自分以外の何かのため、自分の人生について与えられた使命のために、我を忘れて生きている

という点です。

私たちが人生を生きるとき、患者さんがそれぞれの人生を一生懸命生きるとき、絶えず自分がどう生きるかという、自分の生き方を「自己選択」することができるのです。

これは当たり前のことのように思えますが、実はものすごく

勇気

がいることです。

医学の世界では、医師から治療方法について説明をしたり、リハビリ的視点で私たちは理学療法における治療方法について説明を加えます。

患者さんは、どうしていいか分からない時、自分での判断が出来ないため、医療従事者にお任せになってしまう時があります。

でも、この時点でその選択を自ら選んでいるのです。中には、説明が分からないことも、判断できないことも、自身の年齢や予後についても、全てを自分自身が納得理解したうえで全ての治療を拒否する患者さんもいます。これもまた自己選択です。

私たちは日々幸せであることをすっかり忘れ、不平不満、愚痴、悪口、上司部下をバカにした話に花を咲かせ、あたかも自分だけが正しいかのように振舞っています。


不平不満や愚痴を発することを「自己選択」している訳です。

しなくてもいいのにしているんです。

これをしないと何が起きるか・・・
何か起った時の関わりとしては、メンバーシップである自分自身のフォローや働きかけの不十分さが露呈してしまいます。

つまり自分が悪者になってしまうので、不平不満や愚痴で先手を切って、自分自身を守ろうとするわけですね。

だから、どういう人生の選択をするかによっては、とても「勇気」がいることなんです。

フランクルの言葉にこのような言葉があるようです。

「すべての人間には、その人だけに与えられた固有の使命がある。この、自分だけに与えられた固有の使命という体験ほど、人間の魂を鼓舞し、精神を高く昇らせていくものはない」

また、アドラーはこのような言葉を残し、フランクルとの類似点を示しています。

「自分はこの人類という共同体の一員として意味ある事をしている」

アドラーは、共同体感覚を得ることが真の幸福の達成にも、人格の完成のためにも必要なものであるとしています。

今の自分は最高人格ではありません。
しかし目指すは昨日よりも今日、今日より輝く明日の自分です。
何かのために我を忘れて没頭できる仕事をし、
それがやがていつの日か誰かのためになっていたら良いと考えます。

「誰かのために誰かと共に」それが最高人格に誘う自己選択です。

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