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差別をしない自分でいたいから

歴史的に見ても”差別”は根深い問題ではあるが、SNSが普及してからというものより身近に感じるようになってきた。
マイノリティと呼ばれる人たちが現状を訴える投稿を見掛け、それがきっかけとなって知ることも調べることも考えることも増えたし、以前よりも認知や理解も広まってきたかのような印象を受ける。
反面、その投稿に対して心無い言葉を投げつける人たちの多さには辟易する。

私は京都出身で、幼い頃から母によく部落の話をされてきた。結婚するときに相手の家柄や血筋を調べるだの、どこどこ辺りは気いつけや、近づいたらあかんだの。
母としてはよかれと思って教えてくれたのだろうが、私としてはそんな話をする母は見たくなかった。

今も残る人種差別、○○人はマナーが悪いとか、あの人は障害者だからとか部落出身だからとか片親しかいないからとか、なくならない男尊女卑とか、LGBTQが足立区を滅ぼすだとか…どうしてそんなことが言えるんだろう?同じ人間なのに。

ただ、同じ人間だからこそ、自分が知らないものは怖いのかもしれないとも思った。
知らないもの、自分の理解の及ばないものは本能的に怖い。
だったら話は簡単だ。正しく知ればいいのだ。
私も恥ずかしながら勉強不足だと自覚し、まずは知ろうとしている段階だ。
マイノリティと呼ばれる人たちは、どういう人たちで、どういった文化の中で育って、どのような言葉で傷つくのか。
まだまだわからないことばかりだが、少しずつ理解できるようになれば、知らず知らずのうちに悪気なく人を傷つけてしまうことは減るはずだ。
”差別をする”ということ自体が、もはや自分の無知をさらけ出す品のない行為なのではないかと思えてくる。

そもそも、人間はひとりひとり違って当たり前のはずなのに、すぐ何かにカテゴライズするのは間違っている。
日本人であったって、みんながみんな奥ゆかしいわけでも、ルールを守るわけでもニンジャなわけでもないだろう。
人種や性別が違ったってそれと同じことなのではないか。
文化や言語や習慣は異なっているかもしれないが、それは同じ国に住んでいても家庭によって異なっている。お風呂に入るタイミング、目玉焼きには何をかけるか、家事の担当、方言など、違いをあげればキリがない。
”自分の普通は他人の異常”というやつだ。

大事なのは、違うことが当たり前という前提で、その人自身と向き合うことだと思う。
私には外国人の友達もいるし、LGBTQの友達だっている。でも別にこれといって何かが変わるわけでもない。(まぁ正確にいうと、外国人の友達とのコミュニケーションは、めちゃくちゃジェスチャーが加わるが)
マイノリティであろうとなかろうと、目の前にいるその人と接する。ただそれだけのことだ。その人たちがマイノリティだからといって、私に迷惑を掛けたのか?
答えは、否である。

もちろん、人間だから時には差別的感情を抱いてしまうこともあるだろう。軽蔑することだって、どうしても相容れないことだってある。
でもそれは、外国人だからとかLGBTQだからとか出身とかの問題では決してなくて、大抵の場合はその人自身と自分の感性や価値観が合わないだけなのだ。

くれぐれも気を付けたいのは、それが人を攻撃していい理由にはならないということ。
逆にもし自分が傷つけられて「あいつ嫌い」と思ったとしたなら、できる限り距離を置けばいいだけの話である。許す必要はないが、嫌いな人に盾突く時間と労力なんて無駄でしかないのだから。

そうやってひとりの人間として接すれば、「○○はおかしい、失礼だ」とか、カテゴライズされた大きな主語にはなりえないはずだ。ただ単に”その人が”自分に対して失礼な態度を取っただけだ。
行動を諌めはしても、その人格や在り方までもを否定するのは違うだろう。自分の意見に誇りを持っているのであればなおさら、そんな自分の価値を貶めるようなことをするべきではない。
基本的には「私はこうは思わんけど、あんたはそうなんやな。知らんけど」のスタンスでいたらええんでは?と思う。(どんな人間関係であれ、この精神は必要だ)

ところがどっこい、このように他者を受け流すのは、心に余裕がなければできないことでもある。
特に経済的にも精神的にも大打撃を受けたこのご時世、どことなくお互いを監視・牽制し合っているような、ギスギスした淀んだオーラを感じてしまうのは私だけか?
非常時に人間の本性は出るというが、うまくいかない鬱憤やストレスを、周りに当たり散らす真似だけはしたくないものだ。

善人になるのは無理だとしても、よく知りもせずに誰かを攻撃するのではなく、相手の気持ちを慮れる人が少しでも多い世の中になってほしい、と願わずにはいられない。

シンプルに、人にされて嫌なことは自分もしない。
最低限それさえ守っていれば、平和であるはずなのに。
その最低限のハードルって越えられないのだろうか?



#マイノリティ #人権 #ジェンダー #LGBTQ #差別 #エッセイ  





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