23日目。悪性リンパ腫だった

覚悟はしていたけれど、診断がくだると辛さが想像以上で、しんどい。

おばあちゃんの右頬の下、まさに「リンパ」な場所に腫れた何ものかの細胞を先日クリっとほじって検査にかけていて、その結果を聞きにおばあちゃんと両親、叔母でがんセンターに行ってきた。

肺にある腫瘍は、肺がんと思われていたけど、もしこのリンパの場所のデキモノが悪性リンパ腫だった場合、肺にあるものもきっとそうだろう、と。肺にある腫瘍は組織検査ができないから、厳密にいうと「肺がん」とは確定はしていなかったのだ。

ただ、今日はその右頬の下にあるものは「悪性リンパ腫」となってしまった。血液のがん。先日も橋田壽賀子さんが亡くなったやつ。友達のお父さんも、それで亡くなったらしい。とりあえず、最悪ながんだった。ちなみに肺と左の背中と、鼻の奥と、右頬の下。4つの場所で確認できたそう。あとは、小さい腫瘍らしきものが転々とスキャンには映っていて、今後それが大きくなる可能性もあるし、全身をスキャンしたらもっとあるかもしれないそう。心が痛い。

私は実家で仕事をしていて、今日は忙しかったのだけど、たまに「今話を聞いてるかな」とか想像しながら過ごした。元々リンパ腫の疑いがあると聞いていたので、ある程度覚悟はしていたけど、「やっぱり悪性リンパ腫だった」そう聞いて涙が出た。

ママは帰宅そうそう、おじいちゃんとバトルをしてしまったらしい。その言い争いは聞こえなかったけど、かなりやっちゃったらしい。帰ってきてそうそう、「でかける前に、こう言って返事したのに聞こえてなかったの?」的なやつ。話の内容は大した話じゃない。けど、きっとママはおじいちゃんに当たっちゃったんだと思う。おばあちゃんの病気のダメージの鬱憤を、目の前にいたおじいちゃんにぶつけちゃったんだと思う。心に余裕があったら「また〜?」と流せるレベルの話だったのに。おじいちゃんは状況を理解していないので、ママに怒られ逆ギレ。「どうせこっちも(この先)長くない」とかそういう悲しいことを強い言葉で言って怒鳴っていたらしい。

おじいちゃんの気持ちもわかる。93歳にしてはシャキシャキしているので、みんなから「若く見える」「すごいわね」と褒められてきた。私だってそう思う。よぼよぼという表現とはほど遠い、がっちりしっかりしている。ただ、耳が遠く、物忘れだってしてきた。けど、本人はその意識がなく、いつまでも現役だと思ってる。だから補聴器を説得させるのも大変だったし、車の免許を返納する時も、めちゃくちゃバトルがあった。

そんなおじいちゃんだから、いきなり自分の自覚がないところでママに怒られて、プライドが傷つき、理解できていないのだと思う。怒ることしかできず、反省することも、問いかけることもできず、ただ、憤慨してしまう。そんなおじいちゃんを見て、ママもイライラして、余計にヒートアップしてしまう。ママもおじいちゃんの変化を客観的に見ることができず、真正面からぶつかってしまうので、同じく真正面なおじいちゃんとは反りが合わないのだ。

だろうな、とわかるので、ママが怒るのもおじいちゃんが怒るのも、すごくわかる。きっとママは、自分のお父さんで、私とおじいちゃんの距離感じゃないから。私も、パパとは度々喧嘩になる。ママに「まあまあ」となだめられても、ムカつくものはムカつくし、本当に涙が出るほどムカついて怒ったこともある。多分、ママもそれなんだよな。だから、一応、ママには「おじいちゃんにはそんなこと言っても無駄だよ。ママが疲れてストレスになるだけ。だからこちらもそのつもりで対策しないと。おじいちゃんの返事は、返事じゃないし、理解もしてないんだから」そうは言ったけど、「だって聞こえてるって、わかってるって言ったもん」となるもんだから、やれやれだ。まだ時間がかかりそうだけど、どうにか良い距離感見つからないかな。

ママとバトルしたおじいちゃんは、サンダルを履いてどこかへ行ってしまっていた。ご飯の時間の前にふらっと帰ってきたけど。ママはパパに「そんなに言うなよ」と注意を受け、ママのイライラはおさまらず、多分お皿を洗いながら(私のランチの後の。忙しくて洗えなかった。ごめん)泣いていたと思う。イライラすると、泣きたくなるもんね。今日は色々あったから、余計に悲しくて辛くなったんだよね。きっと。

夜ご飯の支度はいつもママだけど、今日はおじいちゃんとこれ以上会わせるわけにはいかないので、私の出番。買ってきたお弁当をあっためたり、お味噌汁をいれたりしようと思ったのだけど、いつものご飯の時間に用意しようと「あっためてもいい??」と聞いたら、「今日はいらない」と言われてしまった。よほどイライラしていたようで、「バカにして」みたいなことをボソッと言ってた。泣きそうになったけどこらえて「そんなことないよ」と言った。それしか言えなかった。

おばあちゃんにも「ご飯いいの?」と聞かれていたけど、おじいちゃんが無視しそうだったので「今日はいいんだって」と代弁した。お弁当に「おじいちゃんへ あっためて食べてね!」とメモを残したけど、結局食べないで寝てしまったみたい。今、いびきが聞こえる。

明日は何事もなかったかのように、いてくれるといいな。

おばあちゃんは、先生に「悪性リンパ腫」と言われても、泣くこともなく冷静だったらしい。27日にもう一度がんセンターに行って、今後の治療のことを、リンパ腫の先生とお話するみたい。

がんの疑いがあって今日で23日目。どんどん体力も体重も落ちているのに、まだがんの治療は始まっていない。

がんの治療といっても、おばあちゃんの場合やれることが限られているが、これからは、訪問看護を始めたり、自宅に酸素のやつを置いたり、いろいろあるみたい。想像しただけで辛い。

車のなかで「なんでこんな病気になっちゃったのかな」とボソッと言ったらしい。夜はママに「年内かな」とボソッと言ったらしい。悲しい。

おばあちゃんの病気の問題、おじいちゃんとの関係の問題、介護する家族のメンタルの問題、複雑に絡み合っていて、この先が不安でたまらない。

数日前まで、やっと自分のメンタルも持ち直してきたかな、と思っていたけど、ダメダメだ。どうしたら色々な問題が解決するのかわからない。辛い。

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