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失われた口福
最初に伝えたいが、今回は生産性がとても低い話だ。
完全に個人的な食欲ノスタルジーの女々しい話になる。
2019年から始まった例の感染症で全国的にかなりの飲食店が廃業に追い込まれたのはご存知の通り。
2020年データでは全国で850件前後との事だ。しかしそれだけが理由ではなく、とても人気があったのに後継者が居ないなどの理由で廃業を余儀なくされた名店は愛媛にも沢山ある。
うさぎ焼き
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松山市でこじんまり営まれていた「うさぎ焼き」。
銅板は大判焼きを流用し、お好み焼き風の生地で目玉焼きと焼きそばをサンドするという殺傷力高めのお店。
店主のおじさんは「儲からんのよ、早く辞めたい、嫌だなー」と言いながら焼いてくれるスタイル。
ずっと笑いながら待たせてもらっていた。
もう一度食べたかった。
赤い靴
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愛媛県新居浜市にあった老舗「赤い靴」。
クリームコロッケを鉄のプレートで供してくれるのだが、コロッケを割った時の立ち上る香りは最高だった。
口内の火傷は不可避だが、それでもなお食べたくなる味だった。
としちゃん食堂
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松山市保健所の前で長年営業されていた「としちゃん食堂」。炒飯ではなく、これが焼飯だ!という優しくありつつも、しっかりとした味わいが私を依存症にしたお店。
この焼飯で500円だ。利益がいつも心配だった。
恐らく「としちゃん」ご本人と思しき店主さんは当時で80近かった。そう長くは通えないだろうと思ってたある日、皆に愛されたお店はひっそりと幕を下ろした。
桐屋
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愛媛県西条市にあった桐屋さん。
外観が明らかにお菓子屋さんではなく、文房具とか古い電気屋みたいにしか見えなかった。
だがそれがいい!慶次なら言うところだ。
ここのポモナは最高だった。例えるならガトーショコラでトリュフを挟んだような「これでもか!スタイル」。
寝る前に食べたら一晩で歯が全部虫歯になるレベルの甘さだが、本当に美味かった。
まだまだ失われた口福はあるが、ここから一軒だけ「失われやしないかハラハラしてるお店」を。
ハンター
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愛媛県今治市の「ハンター」さん。
ここのカツライスは何処にもない味。そもそもカツライス自体、食えるお店は無いのではなかろうか。
ご飯にカツを乗せて、薫香の強いデミグラスソースをたっぷりかけてある。
そしてハンターはまだ生きている。今はまだ。
世継ぎがいれば問題なかろうが、このご時世だ。食えるうちに行くのがセオリーである。行きなさい。
こんな感じで多くの名店が過去の記憶に残るだけになってしまった。
だがしかし。料理はともかくとして、銘菓についてはもしかしたら復刻出来るかもしれないと思っている。
まだ先の話になるが、立ち上げた団体の活動としてレシピの買い取りと復刻活動をできないかと考えているところだ。
もちろん黒字化出来なければ話にならないので、まだまだ検討しなければならないが、もしその日がきたならばここでまたご報告させて頂きたい。
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