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「真間の紅葉手古那の社継はし」−手古那が生きる枝の間のスクリーン−『名所江戸百景』

今日は大学近くのジムで筋トレして、ゼミの資料作成して、美術史の勉強して、英語勉強して。。。

充実しました。筋トレできたのが大きかったな。

そして今日も広重。今回は『名所江戸百景』「真間の紅葉手古那の社継はし」です。

◼️ファーストインプレッション

茂みの中から町を見下ろしていますね。
目の下にも紅葉が生い茂っていて風が吹くごとにカサカサと音をたてて景色をキラキラさせてくれていることが想像できます。

日本の枝の間に山の連なりが二つあり、真ん中に黄金の紅葉が配されています。
若干のシンメトリーが画面をすっきりさせているように感じます。

真間というのはこの辺り一帯のことなのでしょう。
手古那というものの意味はわかりませんが、その後の社継はしというものはきっと、枝の間から覗く町の中の奥の方にある小さな橋のことでしょう。

その手前に鳥居があるので神社があって、そこもまた名所だったのでしょう。

この中景にある湖だか池だかに、映ったり、散った紅葉が浮かんでいくのも綺麗な景色でしょうね。

◼️真間

この題名にある通りの真間というのは、地名ではあるけれど千葉県の地名だそう。

赤線で囲われているところが真間という地区。市川市の一部なんですね。東京は目と鼻の先。小岩や柴又もすぐに行ける場所なのですね。
真間の位置を把握したところで、詳細にみていきます。

②しか

実は赤線で囲われているところの真ん中に細い川が流れています。それが上の地図の真間川です。
で、その真ん中に緑ピンで描かれている「真間の継橋」ですがこれが題名の継はしです。絵でいう垂れ下がっている紅葉の真下にある橋です。

Googleマップにあった写真を引用します。

今では橋の下に川は流れていなくて、欄干だけが残っています。

真間はこの地名の、川のことだったのでした。

あとは手古那が一体何なのかも調べないといけませんね。

◼️手古那

これもまた地名なのかな?
気になるものを見つけました。

https://kotobank.jp/word/真間-635658

千葉県北西部、市川市(いちかわし)の一地区。真間川沿いに位置し、『万葉集』にも歌われている真間の手古奈(てこな)にゆかりのある地。737年(天平9)真間山に僧行基(ぎょうき)が、大ぜいの男の求婚に耐えかねて入水(じゅすい)したという手古奈の故事を聞き、霊を慰めるため弘法寺(ぐほうじ)を開創した。1501年(文亀1)には弘法寺の日与上人(にちよしょうにん)が手古奈霊堂を建立し、今日では安産、子育ての寺として信仰を集めている。近くに手古奈が水をくんだという真間の井戸真間の継橋(つぎはし)などがある。

万葉集に記載がある場所であるらしい。
調べましたが、『江戸名所図会』になら原文が載っていたので『万葉集』からではありませんが引用します。
「真間継橋」の項目の2、3行隣にあるものを見ていきます。

万葉集の部分を見てみます。
「アノオトセズユカムコマモカカツシカノママノツキハレヤマスカヨハム」

それがこれだあああ。

【訓読】足の音せず行かむ駒もが葛飾の真間の継橋やまず通はむ
【訳】足音立てずに行く、そんな馬があったらなあ。葛飾の真間の板の継橋を渡っていつも彼女の許へ通うことが出来るのに。

この彼女というのが手古那のことなのでしょう。

この手古那の霊を慰めるために建てたのが弘法寺という寺。↓これも『江戸名所図会』に記載があります。

ワードだったら綺麗に繋がるのに、、。

『江戸名所図会』真間弘法寺の項目があったので出してみました。

「国分寺の南にあり。日蓮大士弘法の地にして六門家と称する所の其一員たり日頂上人を以て開祖とすを本堂?た驛尊の像を安ずを祖師堂は其右に並ぶ宗祖上人の像を置此像は日法上人の作なり支院十餘宇各隥道の下に列す大門は松の列樹?しみて六丁程あり」

こんな感じで翻字しました。
本堂の像の由緒について多くを占めて書かれています。

こちらが真間弘法寺を描いたものでありますが、字が潰れていてわかりにくいですね。

結構このあたりは万葉集から由緒があることがわかり少し見方が変わりました。
紅葉の枝の間から覗く景色が、まるで異世界を覗いているかのようなシーンに見えます。
そこで動いている人々の中には困惑している手古那が彷徨っていたり、水をすくったり、異時同図法的に手古那が生きているように感じる額縁に、枝は変わった気がします。

そんなこんなで全体的に中途半端な気がしますが、ここで終わり。

今日はここまで!
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