「上野広小路」−痛すぎて空見上げたら星めっちゃ綺麗やん!−『江戸名所道戯尽』
昨晩、高校の友達たちが夜のドライブに誘ってくれました。
車は小さいながらもオープンカーなので、夏夜の生ぬるい風を浴びながら歌って大笑いして1時間ほど走らせてくれました。
帰ったら、あれやってこれやって…とせかせかしていたけれどいっときの現実を忘れる時間を過ごせて、帰ってからやるべきことを淡々とこなすことができました。
冬に同じことをやると頭が凍って死んでしまうので、また夏に連れて行ってほしいと思ってます笑
そんな生ぬるい風を懐かしむ今日も広景。今回は『江戸名所道戯尽』の「三十二 上野広小路」です。
◼️ファーストインプレッション
この絵は昨日と打って変わって非常に賑やかで微笑ましい場面ですね。
何より星空が綺麗。
一瞬のうちにどれだけの星が煌めいているのかがわかります。
江戸でもこんな綺麗に星が見られるのでしょうか。
今回は江戸の星空を見ていきたいなと思います。
その星空の下では多くの人が集まってなんだか賑やかそう。
青い台の上に赤い丸いものが散乱して、それが地面にも散乱しています。
それに集る子供たちは嬉しそうな顔をしていますね。
青い台の左側に頭に矢が刺さっていて、痛そう、、。流石に本物の矢じゃないよね、、?
多分その右側にいる茶色い着物を着た男性が持っている筒から吹かれたものでしょう。
ちゃんと見ると結構カオスな状況ですね。
周りの人々も、手に何か花のようなものを吊り下げていてお土産程度のものでしょう。
この日は縁日だったのかな。
楽しいはずの、しかも一気に稼げるはずの日が、頭に矢が刺さったおっちゃんには散々な1日となり終わってしまったみたいですね。
◼️吹き矢
私はあまり縁日などのお祭りに参加した経験があまりなく、最後のお祭りといえば6年前の夏の納涼祭とか。
しかもその時にはほとんど食べてばっか。
ちゃんとお祭りゲームを楽しんだ記憶が全然ないので「吹き矢」と言われてもピンとこないのが実情です。
今ってあるんですかね、、?
参考書によると、この絵に描かれる縁日の様子は「吹き矢」の矢を吹いた男性が、店のおっちゃんに命中させてしまったという場面であるらしい。
吹き矢というものは今ではおもちゃのようになっていて、かなりカラフル。
中に小さなピンのようなものが入っていて、筒を吹くと中のピンが吹き出るのでしょう。
それで射的のように、的の数字を当てると、その番号に応じて景品が当たるというエンタメなのですね。
当時は簡易的な矢だったのでしょうね。でも頭に刺さったら結構危ない、、?
周りは笑っている場合じゃない気がするけれど、こうして危なっかしい光景も江戸らしいと言ったららしいですね。。笑
◼️江戸の星空
歌川国貞の『浮絵両国夜景ノ図』です。
夏の両国橋の様子ですね。やはり橋の上は人が詰め込まれています。
その人々の頭の丸が浮いてきているかのように星空も斑点で埋め尽くされています。
一つ一つが等間隔で、リアルな星空というよりかは夜空を華やかにするための描写という感じがありますね。
広重の『名所江戸百景』「虎の門外あふひ坂」です。
この絵は幾度となく出てきているものではありますが、星空に着目するとかなり忠実。
不均等でしかも一つ一つの大きさが微妙に異なり、薄さも少なからず差異があります。
時代が下るに連れて、自然の描写がより細密になってきたのでしょうか。
広重の『東都名所』「日本橋雪中」です。
上の作品よりももっと前に出された作品なので順番が前後してしまっていますが、、。
雪の中の景色ですが、空に描かれる白い斑点は一体なんなのかを考えます。
雪の中の景色だから雪が降っている様子が描かれているかと思いきや、橋から下を見ると、同じような斑点は描かれません。
なので空の斑点は星だということがわかります。
けれど、雪が降っていないにもかかわらず、全員が笠を被っていることには違和感がありますね。
防寒だとしたら筋は通りますが、、。その可能性は否めないですね。
やはり国貞を除いて、広重の自然観察能力は優れていたことはなんとなくわかりましたね。
広景はそれを見習って自然描写にはそれに劣らず、一瞬を描くことに注力していたのでしょうか。
今日はここまで!
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