情報を収集してナレッジとして管理する(セカンドブレイン)
前回の「セカンドブレインとは?」では、読書と知識管理にブレークスルーを起こす最初の全体像をお話ししました。
今回はその2回目として、セカンドブレインの3つのプロセスの内の最初の「情報を収集して保存する」に入っていきます。
1.情報を収集して保存する(キャプチャ)
セカンド・ブレインには、テキスト、音声、動画、会議録音、その他あらゆる情報源の情報をキャプチャ(収集)します。
これには代表的なものとして、ワードやその他のテキストエディタ、動画ファイル、あとで読むアプリのInstapaperやPocket、メモアプリのEvernote、タスク管理のTodoistやNozbi、クラウドストレージのDropboxやGoogle Driveなどがあります。
これ以外にも、Googleカレンダーなどのカレンダーアプリ、KindleやiBooksなどの電子書籍アプリ、GmailやOutlookのメールやリマインダー機能、そしてあちこちのフォルダに散乱するWord、Excel、PowerPointなどのオフィスファイルなど、これ以外にも様々なツールやファイルが含まれます。
しかし、ここから得られる知識は、ほとんどの場合は偶然かランダムでしか管理されていません。
あなたの物理的な脳であるファースト・ブレインはこの真ん中で立ち往生しているのです。スケジュールに追われ混沌とした1日の終わりのストレスやうつ状態は不思議ではありません。
今起こっているのは、実際にはあなたの第一の脳はどれも信用することができないということです。どこに必要な知識があるのか確信が持てないのです。
この結果、あなたの脳はこの溝を埋めようとして情報のオーバーフローから混乱が発生し、スケジュールの遅延や先延ばし、集中力の欠如、優先順位を決められないなど、多くの生産性の問題が発生しています。
様々なアプリやフォルダに散らばったノートやメモ、メールに添付された電子ファイル、これまでに作成されたオフィスファイルや議事録など、全てが一定の目的で効率的に整理され1カ所にまとめられることで、物理的な脳のメモリは片付けられた仕事場へと様変わりします。
2.ナレッジを管理する(ナレッジ管理)
ほとんどのナレッジワーカーが抱える情報のオーバーフローの問題を解決するには、目的を持って戦略的に集中管理することが必要です。
これには、セカンド・ブレインではあらかじめ明確に決められたカテゴリーに整理し、ナレッジを1カ所に集中管理します。
セカンド・ブレインは、アメリカの有力雑誌であるタイムズ紙が世界の影響力のある100人に選んだ近藤麻理恵さんの「片付けの魔法」に似た一面があります。
収集された情報は、一定のひらめきによって取捨選択され1カ所に集められ、4つの収納箱に収められていきます。
これは、PARA(Project、Area、Resource、Archive)と呼ばれるタスクの流れに沿った大枠のカテゴリーとその中にあるプロジェクトや責任エリアの小カテゴリーにより分類します。
収納の基準は、「プロジェクト、責任エリア、リソース、アーカイブ」という4つの大きな収納ボックスの中に「仕事の行動性(アクショナブルかどうか)」の度合いによって置き場所を決めるというものです。
物理的なものの収納と大きく違うのは、収集された知識はその時々のプロジェクトやタスクに応じてカテゴリーの箱を移動していくことです。
これに検索やタグ管理を組み合わせて、いつでもどこからでも今現在進めるプロジェクトに必要な知識を取り出せるようになります。
また、1カ所に集められた知識は、段階的要約法(Progressive Summarization)と呼ばれる手法により、キャプチャした情報をプロジェクトやタスクの時間軸に沿って段階的に要約します。
これは、下の画像のように天才画家ピカソが牛のイメージを抽象化したプロセスに似ています。あの想像力の塊のような天才でも、段階的にイメージを展開する必要があったのです。
収集された情報は、必要とする知識に断片化され、段階的に要約し自分の経験や知見を加えることで将来の自分が必要とするナレッジへと転化していきます。
さきほどの「片付けの魔法」で言えば、これは「たたむ収納術」に似ています。デジタルな情報に物理的な収納スペースの問題はありませんが、必要な知識が実際に仕事で必要なときにすぐに取り出せるかどうかは、ナレッジワーカーにとっては死活問題です。
近藤麻理恵さんは、「たたむ」という一手間は洋服にエネルギーをそそぐ、またいたわり、愛情を示す行為だと言っています。
Marie Kondo, Source Times
デジタルノートに一手間かけて段階的に要約することで、第一の脳の外側にあるセカンド・ブレインに収納し、第一の脳でいつでも使えるようになります。
これが大きな効果を発揮するのは、読書やWebから収集した情報です。
何百ページにもおよぶ本から得た情報や膨大なWebサイトやPDFから選んだページから、ハイライトした部分だけを自動的に抽出してEvernoteなどのナレッジ管理ツールに自動的に転送し、段階的に要約されます。
これらの知識は現在進行中のプロジェクトや責任エリアごとに分類され、必要な知識の断片として使用できます。
さらに、これをより深く凝縮したものへと絞り込んでいき、最終的には自分自身の要約やアウトラインへと進めていきます。
これは一度に行う必要はなく、情報に出会ったときに収集し、あとから自分のプロジェクトやタスクの進行状況に応じて進めることができます。
これにより、本からいわゆる「読書ノート」が自動的に追加され、段階的にナレッジツールで要約されて残ります。Webの記事からの情報は、必要な箇所だけが抽出されていつでも使える状態になります。
第2回のまとめ
「一冊のノートにまとめなさい」シリーズで有名な奥野宣之氏は、「読書は1冊のノートにまとめなさい」と言いました。
しかし時代は劇的に変わりました。
読書から得られた知識を手書きで一つ一つ書き出してノートにまとめ、パソコンでインデックスを一から作っていたのでは、今の時代では遙か後ろへ取り残されてしまいます。
たった今進行中の仕事やプロジェクトに必要な読書ノートを今すぐに活用する、あるいは過去の全ての膨大な読書ノートを一発で検索して必要な箇所を取り出して付加価値にする必要があるのです。
まさしく、それを可能にするのがセカンドブレイン(デジタル化された第二の脳)なのです。
次回は、3. ナレッジを行動に活用して成果に結びつける(シェア) として、ジャスト・イン・タイムでナレッジとなった知識を活用する方法についてお話しします。
お楽しみに。
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