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整理と整頓の違い

はじめに

今日のタイトルは「整理と整頓の違い」についてです。

つい先日、私の家内が祝日の時間を使ってクローゼットの大掃除というか、大片付けをしていました。もう、大変な騒ぎです。

もう、あの辺にこれがあるはずだ、こんなはずじゃない。どこに何があるか、迷宮状態です。

これは、一度、片付けや掃除について考えてみるべきだと思いました。

整理整頓をもう一度考えてみる

よく整理と整頓という言われ方をします。どちらも同じように感じますけれども、この二つ、実は違いがある。こんな指摘をした文章に出会って、なるほどなと思ったことがあります。

梅棹忠夫さんの「知的生産の技術」

私の音声配信の中でも度々登場する梅棹忠夫さんという、京都大学の教授だった人がこの点について指摘しています。

ずいぶん前の人ですけれども、この方、「知的生産の技術」という、もうライフハッカー知的ワーカーの人たちにはバイブル的な存在の著作があります。

知的生産の技術(梅棹忠夫)

そんな知識管理、知識の整理ということに関しては一家言を持った方で、大変に影響力のあった方です。

この方、仕事の現場は工場の生産現場ににているというような発言をしていました。

梅棹氏は自分自身の仕事の現場を4つの場所に分けられると言っていました。それは「仕事場」「事務所」「資料庫」「材料置き場」に分けていくというふうに言っていました。

また、その中の一番最初のところの議論で、「整理」と「整頓」というのは違うと断言しています。

「整理」というのは、いつでも後から取り出せるようにした状態のことを言う。

そして「整頓」というのは、綺麗に並べた、あるいは何かの法則によって決められたものだといいます。

だからといって、それが仕事の現場で使いやすいかというと、そうとも言えない。そんなことを言っていました。

小学校の「整理整頓」

私たちは「整理整頓」というのをかなり子供の頃から言われています。例えば、学校の黒板、あるいは壁に張り紙で貼ってあった記憶があります。

皆さんの小学校ではどうだったでしょうか。

その頃から、整理整頓というのが親からも言われたり、先生からも言われたりしていたわけですけれども、私も含めて、どうも苦手とする人が多い。

家の中がどうしても散らかってしまう、あるいはもう押入れの中がぐちゃぐちゃになってしまっている。実は私の家内も今、整理整頓で大騒ぎをして片付けをしています。

そんなところから、今日のタイトルも決まっています。

では、皆さんどのようにしてこの「整理整頓」に取り組んでいるのか、いくつかその実例から探ってみたいと思います。

こんまり、近藤麻理恵さんの場合

近藤麻理恵さん、こんまりさんと呼ばれますけれども、この方、「人生がときめく片づけの魔法」という本を書かれています。

人生がときめく片づけの魔法

この本は、日本で非常に人気が出まして、調べていくと、海外でも有名人になっています。シリーズ累計1,300万部を超える世界的大ベストセラーでなんとニューヨーク・タイムズのベストセラーとなって、大変に人気らしいんです。活動も海外に移して本格的にコーチングなども始めています。

この本の中で近藤さんは「片付けを習ったことがないから片付けられない」というような発言をしています。

なるほど、私たちは「片付け」を親にうるさく言われても、どう片付ければ良いかを教えてもらっていません

手元に本があったので家内に手渡してみると、ムッとした表情をしていました。

トヨタ生産方式

先ほどの梅棹さんのお仕事の現場、工場の生産現場に例えておっしゃってました。

そういう意味では、例えば海外の多くの製造業が日本を模範とするようなという意味では、トヨタの生産方式「Just-in-Time」というのはこれはもう有名ですね。

トヨタ生産方式

世界的にも大変に影響があって、流通とかそういったことも含めて、ガラッと海外の生産方式の考え方が180度転換したという逸話があります。日本の製造業は、私たち日本人が思うよりも影響力がありました。

この「Just-in-Time」という考え方というのは無理無駄のない、リーンな生産方式などとも言われます。後日、ITの世界でプログラム開発にも取り入れられ、アジャイルなどと呼ばれて目を見張る成果が出たようです。

このトヨタの生産方式のラインの現場では、「必要なときに必要な部品が配置されていてすぐに取り出せる」ようになっている、というようなことも言っています。

トヨタ方式をはじめとした生産方式は、日本が世界に誇れる「整理整頓」の方法かもしれません。

トラック輸送(長距離の大型トレイラー、宅配の軽トラ)

そして、例えば、もう少しわかりやすい例で考えてみれば、運送業があります。

私どもアマゾンや楽天でオンラインショッピングをしますと、翌日、早ければ当日の夕方とかにも商品が届きます。

もっと早いのもありますね。40分で届きますとか、もう信じられないような世界でやっています。

このトラックで輸送してくるのが流通ですが、よく見かけるのは道端に軽トラが止まったりしています。

あるいは、高速道路を走っていれば、輸送用の長距離トラックが列をなして走っていたりもします。

このトラックに荷物を積み込む、そして流通センターや近くの事業所などを経由して、最後にラストワンマイルで自宅やマンションの玄関まで届けてくれるわけです。

クロネコヤマト宅急便

よく軽トラの後ろの扉が開いていて、そこから取り出して運んでいくのを見かけます。

あれ見ていると、「整理整頓」のノウハウの塊のようだと思います。

一番手前というのは、すぐに取り出せるものです。逆の言い方をすれば、一番奥は一番最後に配達する荷物、そして一番手前はすぐに配達する荷物です。

荷物の形とか大きさで均等に並んでいるとか、あるいは重たいものが後ろ(運転手側)とか、じゃないんですね。

形で決めたりとかしているわけではなく、自分の仕事の流れ、つまり配達をするというタイミングに合わせて、どこの場所に置くかというのを決めています。

もう頭の中であそこに行ったらこれ、あそこに行ったらこれというふうに全部荷物の置き場所が頭の中にイメージできている。

地図と道路と建物と、どのマンションに着いたら、どの階の奥か手前か、どの順番で荷物を下ろしていくか。

そういったようなところまでドライバーの方たちは、あたかも頭の中にイメージで刷り込んであるようです。

毎日毎日仕事してる中から、日々工夫をして、試行錯誤をして刷り込まれてるところがあるんですね。

ですので、配達をしていく軽トラで、どの道でどういう順に回っていくのか、その道順に合わせて一番遠くのものを最初に奥に入れてある、だから道順の最後にちょうど一番手前に来ている

逆の順序で荷物を積んでいって、一番手前にあるものっていうのは、一番最初に届けるものになる。到着して一番最初に取り出すタイミングを見計らって入れている。

ですから、それぞれのお宅の前に到着してドアを開けたら、はいこれって、ピタリと荷物がわかる。

頭の中に、感覚的に大体この場所のここと場所も決まっているんですね。

キッチン・台所

働きやすいキッチンとは

例えば、もう一つ、キッチン、台所を考えてみます。

そうすると、「使いやすい仕事がはかどるキッチン・台所」はどういうところかとい考えます。

実は、ちょうど働きやすいキッチンは広くないんですね。それぞれ、おき場所や手に届く距離などがよく考えられています。

テレビやモデルハウスで広井が高く広いキッチンが時々出てきますが、本当に使いやすいかどうかは疑問です。

自宅でも背中側に食品棚に食器が入っていたりとか、水洗い場があって、コンロがあってオーブンがあって。まさしく食事を作る人、料理人の仕事の現場ですよね。

まさしく、パソコンでいったらデスクトップ、あるいは机でいったら机の周り、机の上に何が載っているかのような状況ということです。

コンロやオーブンの隣には、冷蔵庫があってフリーザーがあって、冷蔵もあり。冷蔵庫の中も、毎日使う食材、生の食材、パックづめや冷凍ものなどなど。

野菜などは鮮度が大事ですぐに腐ります。食べごろがあるものは、いつ食べる。いつ使う。全て順番が頭の中で想定されています。

冷凍物とか少し後からでも使えます。凍らせて保存食にしてあれば、ずいぶん先まで使わないので、奥の方に置いてあるかもしれません。

実際に料理が始まれば、もう真剣勝負です。あらかじめどの食材を切ったり、調理したり、どの順番で進めていくのか。

これに合わせて調理具も、ナイフや包丁も、調味料も全部手に届きやすいところにあらかじめおいてあるはずです。

また、何か箱に詰まった、例えばパスタであるとかあるいは小麦粉であるとかっていうのはもう少し遠くにあっても全然構わないし、逆に近くにあったら、使いづらいかもしれない。

あと保存用の食品、例えば食品といっても、保存食のようなもは、ずいぶんとその奥の棚の奥の方にあっても構わないわけです。

時々しか出さないというようなものは、棚の奥の方や高いところに片付けてあるはずです。

例えば、梅酒や漬物などの発酵ものです。時々かき回さなければいけません。

1日に1回とか手を掛けるだけで良いので、流しの下とか、台所の遠いところとか。そこそこ作業がしやすいところに置いてある。

フランス料理ではmiese-en-placeという言葉があるようです。これは、素材の配置や準備をきちっと段取りする教えなのですが、もう哲学のようになっているようなんですね。

miese-en-place, Wikipedia

実は、私たちの生活の中に「整理整頓」はすぐそばにある存在なのかもしれません。

知識のあと片づけ

知識の「整理整頓」と「あと片付け」はどうする?

こういったように整理整頓するというもの、ちょっと一度、時間がある時に考えてみるのもいいかもしれません。

そういった意味で、私たちの多くは、知的ワーカーというか、知識を使って知識をアウトプットするということをメインにしている仕事をしてるわけです。

とすると、知識の整理整頓。つまり仕事の現場で後からいつでも使えるような、そのタイミングに合わせた知識の置き場、電子ファイルの置き場、作業のしやすさというのを一度考えてみるといいのかな、と思ういうふうに思いました。

とにかく明るいやまけんがお届けする人生後半戦のハーフタイム。

今日は整理と整頓の違いという話でした。

次回の配信もお楽しみに。


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